アビスの深みにハマると抜け出せません
漫画原作でアニメ化、アニメ映画化された人気作品です。
僕は原作は未読ですが、アニメと劇場版は観ました。アニメ作品はおそらく100作品以上観てきましたが、個人的にトップ3には確実にランクインします。
簡単に言うと、めちゃくちゃでかくてめちゃくちゃ深い、洞窟を縦にしたような穴に冒険に行ったきり帰ってこない母親に会うために主人公の12歳の少女が記憶喪失の少年を連れて穴に潜っていくという話です。
僕がこの作品を好きな理由は主に以下の2つです。
・細かい設定から成るリアルな世界観
・可愛い絵柄と重たいストーリーとのギャップ
まず、世界観についてですが、このアニメでは「アビス」と呼ばれる巨大な縦穴が主な舞台となります。
このアビスの設定がワクワクしてたまりません。
・直径1kmのでかさで、深さは未だ解明されていないほど深い
・深度によって様々な環境がある(森、断崖絶壁、海など)
・地上では手に入らない「遺物」の存在と、大昔の人間の痕跡
色々ありますが、一番この作品を面白くしてると思うのは「アビスの呪い」です。
アビスを底へ向かって下っていくぶんには問題ないのですが(物理的な障害だけ)、
地上へ向かって登ろうとするとアビスの呪いというものを受けます。深度が深いほど呪いは重くなっていきます。アビスの浅いところから地上まで登るぶんにはめまいや吐き気程度で済みますが、深いところでは数メートルの上昇が命に関わってきます。具体的には身体中から血が吹き出たり、醜い化物に変わり果ててしまいます。ある一定の深さより下ると二度と生きて地上に帰ることはできないということです。
完全に片道切符で戻れないことが確定している冒険に12歳の少女が挑むというところに悲しさを感じるし、
ストーリーがぐっと重くなります。
そして、絵柄とストーリーのギャップもこのアニメの特徴です。キャラクターデザインは頭身が低く、ぷにぷにした可愛い感じになっているのですが、そんなキャラクターが思いっきり血を流したり、絶叫するような展開になっていきます。そういったわかりやすいグロ表現もあれば、視聴者の精神をえぐるような残酷で悲しい展開もあります。僕はグロや過激な表現にそれなりに耐性があると自負していますが、この作品は視聴しながら目を覆ってしまうシーンもありました。
しかし、そういった表現は一部のマニアを喜ばせるためだけに用意されたものというわけではなく、リアルな冒険の過酷さを容赦なく伝えており、その困難を乗り越えるからこそ母親に会いたい、アビスの真相を知りたいという主人公の意思をより際立たせることに繋がっています。ストーリー上とても意味のあるグロ表現だと思います。
また、それ以上に感動のシーンもあるのでかなり泣けます。
絶望と希望、冒険と止められない憧れ、萌えとグロと涙、すべてが詰まった最高のアニメです。