アメリカの田舎に住みたくなるゲーム
海外で制作され、日本語版は2016年に発売されたアドベンチャーゲームです。
アメリカの田舎の専門学校に通う女子学生マックスが、突如時間を巻き戻す能力を手に入れ、それを駆使して町で起こる問題や事件を解決したりしなかったりするという物語です。プレイヤーは主人公マックスを操作し、3DCGの世界を歩きながら行動を選択し、物語を勧めていきます。
僕が感じたこのゲームの魅力は以下のとおりです。
・いきなり過去に飛ぶのではなく、リアルタイムで数秒だけ時間を巻き戻す面白さ
・グラフィック、音楽ののどかな空気感
・主人公マックスの人間味
まず、タイムリープというと数日前の世界にいきなり飛んだりするイメージがありますが、このゲームで主に使われる時間操作は、数秒間だけ巻き戻すというものです。例えば、コップの飲み物がこぼれて友達から借りた本を汚してしまったら、こぼす前まで巻き戻してコップをどかす、というように時間操作を手軽な使い方で活用するシーンが多いです。そして、時間が戻っている間は世界が逆再生のように動いているので、本当にこの能力が手に入ったらこんな感じなんだろうなととてもワクワクします。また、時間を戻しても自分の位置や持ち物は戻らないという性質があるので、瞬間移動のようなこともでき、謎解く際の発想が面白いです。
また、独特なグラフィックやおしゃれなカメラワークなどもこのゲームの特徴だと思います。この世界の人や物は非常にリアルに表現された3DCGというわけではなく、どこか温かみを感じる色味や質感をしています。そして、マックスの専攻が写真や映像に関連した分野であることもあり、ゲームのあらゆる場面でそういったアート的な技術を感じる部分があります。例えば本来見えないはずの風が、イラストで表現するときのように白い線で見えるように描かれていたり、プレイヤーの操作するキャラクターが常に画面の真ん中から横にずれた位置にいるように表示されているので、プレイを放置して画面を眺めているだけでもおしゃれな雰囲気があります。
個人的にかなり好きなポイントはゲームの至るところで、ただ座るというだけのコマンドが選べる点です。これを選ぶとマックスが座り込んで、その段階でのマックスの心情を独り言で語り始めます。その間カメラは景色を映したり、マックスを遠目から映したりしています。この時間が、このゲームがただクリアを目的としただけのものではないのだと感じさせてくれて、とても癒やされます。
そして主人公の、普段はおとなしいけど好きなことには夢中になってしまうオタク少女感も個人的にかなり好きです。例えば、学校に張り出されているポスターを読んだりすると、誰もが考えるような感想ではなく、マックスだから言える独特の単語選びや皮肉めいた感想だったりが聞けます。プレイヤーはマックスの心の声を常に聞けるので、キャラの見た目ではわからない面白さや可愛さを感じることができます。
小説や映画では表せない、ゲームの利点をふんだんに盛り込んだ癒やしの作品だと思います。