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8

透明な愛の物語

Twitterで好評だったので見に行きました。
思わず泣いてしまうくらい、とてもいい作品でした。
大学生の四年間、渚と付き合っていた迅。けれど、卒業の寸前、渚からあっけなく別れを告げられてしまいます。
一般企業に就職した者の、同性愛者という秘密を抱えたまま都会で生きることに疲れた迅は、岐阜の白川にIターン。
自給自足と物々交換を中心とした、スローライフをスタート。
しかし、そんなある日。突然、子供を連れた渚が迅のもとを訪れるのです。
「やっぱり、好きなのはお前だけだ」
そういわれても、迅は渚を信じることができません。
渚の連れてきた子供は、正真正銘渚の血を引く子供だからです。
同性愛者のカップルが、親権を獲得するために奮闘する。対立するのは、血を分けた母親…。
海外の映画『チョコレートドーナッツ』と似た設定ですが、完全に違うのは母親が『悪役』ではないという点でしょう。この物語では、母親に経済力も家事能力も、子供への愛もきちんとあるのです。
この物語で、完全な悪役を作らずにストーリーを纏めてくれた脚本の方・監督に感謝します。
日本の映画にしては珍しく、叫ぶようなシーンも、説明的なセリフも少ないです。演者の方の演技力を信じてくれた点でも、脚本の方・監督に感謝したいです。