未知なる大穴に挑む少年少女の出会いと運命が残酷すぎて泣ける
「メイドインアビス」はつくしあきひと作の漫画で、2017年に全13話にてアニメ化された作品です。主人公リコ・レグ・ナナチが謎の大穴アビスの深層を目指す物語で、今回の劇場版はアニメ版のその後にあたります。可愛い絵柄と可愛いキャラクターが特徴の作品ですが、実は大変に恐ろしい物語です。さらなる深層に潜るため、ナナチに「祝福」を与えたボンドルド卿と主人公たちは出会います。しかもボンドルドは自分の娘・プルシュカを紹介し一晩の休養をすすめるのです。不審に思う主人公一行ですが、プルシュカの強いすすめもありボンドルドの基地で一度休憩をとります。しかし、それがボンドルドの罠でした。レグは拉致され人体実験にかけられ、ナナチはボンドルド卿に再びここで手伝いをするよう、ボンドルドに迫られていました。どうやらボンドルドはまだ目的があるようです。深層を潜れば潜るほど、上昇時に「呪い」がかけられ、死に至るアビス。ボンドルドはその「呪い」の克服のために、自分の代わりとして「呪い」を受け止めるカートリッジを装備していたのです。カートリッジの中身、それはボンドルドに強い愛慕を向ける者です。つまりカートリッジの中身は、人間だったのです。それを知った主人公たちはボンドルドと対決します。ボンドルドは冷酷な人間ではなく、むしろ人類のため、「呪い」の克服のために娘すら手にかける人間でした。カートリッジに詰め込まれたプルシュカは、ボンドルドの「呪い」除けのために造られ、最後に死を迎えます。プルシュカの強い冒険への憧れは、カートリッジとして消耗されたのちリコの「白笛」になりました。6層へ降りる時に必ず必要となる「白笛」を手にした一行は、先を目指します。「白笛を作る材料は人間である」「呪いを打ち消すには他人に呪いを押し付ける」「特に愛慕の感情が強いほど、呪いが和らぐ」など、ハードな設定と愛らしいキャラクターの造形、大穴であるアビスの風景などはぜひ劇場で見るべきでしょう。ロボのレグがボンドルド卿と戦うシーンは迫力満点です。人体実験シーンやグロテスクな表現があるため、R15指定となっているので劇場に行く際は年齢に気をつけましょう。