衝撃と心地よさのハーモニー。『Future is wonderful』の持つ中毒性とメッセージ
『空にぶっ飛ばされた女の子の話』として紹介されていた、ロシア発のフラッシュアニメ。少々グロテスクで難解な部分もありますが、こんな時代だからこそ見るべき作品かと思われます。かわいい歌声とキモシュールの融合作が訴えるものとは…?
『Future is wonderful』(『空にぶっ飛ばされた女の子の話』)
もう10年以上前に作られたアニメです。元はロシアのアーティストが作ったもののようですが、6か国分の字幕を用意し、リロードするたび一部のモチーフが変化すると言った工夫で飽きさせません。それ以前に、ポップな歌声や心地いい旋律も相まって、高い中毒性を持っています。『未来は素晴らしい』といった意味合いですが、内容はひたすらにショッキング。それはもう、「閲覧注意」と言いたくなるほどに。そのショッキングさも中毒性に一役買ってるのかもしれませんが。
内容・登場キャラ
少女:爆発テロにより「空にぶっ飛ばされた」と思われます。頭蓋が割れて脳が飛び出すほどの重傷で恐らくは即死。冒頭悲痛な声で母親を呼んでいましたが、にこりと微笑んでそのまま「天」に向かいます。歌い手にして狂言回し。リロードするたび白人、アフリカ系、東洋系の3パターンの人種を思わせる姿に変化。
猫:変化するのは色だけ。単なる脇役のようですが、彼もまたテロの被害者。
雪だるま:少女とは逆に空から落ちてきます。かわいらしいものではなく、三角の目をぐるぐる回して低い声で「素晴らしい未来」を謳い文句に行進。白、黒の2パターンが存在。
象:目を閉じ、ギターを演奏。笑っているようにも見えます。
鳥:象の頭上でギターの演奏を聞いていました。鳥も象も、リロードすることでの変化はないものの、ラスト付近で共通してあるショッキングな「変化」を見せつけます。
実際の動画(ニコニコバージョンと、オリジナルバージョン)
百聞は一見に如かず。まずはニコニコ動画でアップされたものをご紹介。コメントを見れば分かる通り、歌詞を始め、劇中に登場するモチーフがそれぞれ何を表しているかについて、色々な解釈、考察が成されています。詳しくは後述。
こちらは一パターンですので、もっと見たいと興味がわいた方、「まずはコメントなしで見たい」方はこちらのサイトをご覧ください。
空にぶっ飛ばされた女の子の話 pya! (ネタサイト)
pya.cc
コメント付きの考察付き。オリジナルからそのまま引っ張って来たのか分かりませんが、リロードにより変化します。
やはり色々な説が飛び交っていますが、まとめると以下のようになります。
各モチーフが表すものの解釈(コメントより抜粋)
雪だるま:テロリスト。持っているホウキは破壊(もしくはそのための武器)を象徴。少女の脳を吸うのは「洗脳教育」との意見もあります。
象:自由の象徴。目を閉じているのは盲目だからとの説も存在。ニコニコ動画では学校を意味し、雪だるまに囲まれるシーンは学校占拠を表すとの解釈、その他平和の象徴との声もあり、その点を考慮に入れるとラストの「変化」がおぞましさを増します。
鳥:平和の象徴。
ハンバーガー:アメリカ、つまり資本主義。
唇:「閉じられている」ことから言論統制と解釈するコメントあり。
スタートボタン:ビーカー内部の脳は少女の物。電極を刺して電気刺激を与えることで死の瞬間の記憶を呼び起こすのがこのアニメ、との説があります。少女がビーカーに入っているシーンはホルマリン漬けにされていることの暗示(死体が引きずられる描写あり。テロリストによる所業かは不明)。
冒頭部分の雲:爆発テロによる死体の山。(よく見ると腕や頭が突き出しているように見える)
真っ白な画面での黒い点の巨大化:爆弾投下。
歌詞に関する解釈(コメントより抜粋)
飛ぶ:死亡。
眠る:同じく死を意味する。「眠りたくない」は死にたくないという意味。しかし、「すぐ眠る」ことは少女も知っている(死ぬと分かっている、もしくは死を受け入れた)。
未完成のキャンディ:成長しきっていない少女自身。テロによって未来を奪われた子供。「カレンダーを置いてきた」「学校へ行けない」など「死にたくなかった」ことを暗示する歌詞は多い。
まとめ
明るい曲調や歌詞、かわいい絵柄で悲惨な事実への皮肉を強調している。却ってリアルで、救いようがない印象。作者はNezhnoe Etoという人物。
予備知識なしで見ると、意味深長なモチーフが続いて訳が分からない部分もあるかもしれませんが、この引用の通り、「テロ」という劇中での事実がこの作品のキモで最大のメッセージ、なんでしょうね。曲は好き、との声も多くリピーターも多いようです。テロへの皮肉や様々なものがほとばしるこのアニメ、今の時代だからこそ見て、考えるべきではないでしょうか。