何でも知ることができるのは大変?「二亜クリエイション」
自分の知りたいことを何でも知ることができるんなら、こんな面白いことはないと思っている人も多いでしょう。でも、もしそんなことができたとしても、それはそれでしなくてもいい苦労を抱え込んでしまうことでもあるのです。先日、劇場版アニメが公開された人気ライトノベル「デート・ア・ライブ」の最新作「二亜クリエイション」では、そんな皮肉な話が書かれています。あなたはそれでも「全知の天使」の力がほしいですか?
何でも知ることができるのは幸せか?
人気ライトノベル「デート・ア・ライブ」(作・橘公司、イラスト・つなこ)の最新刊「二亜クリエイション」では、知ろうと思ったことは何でも知ることができる「全知の天使」が登場します。
「森羅万象全てをあたしに教えてくれるんだよね。今世界のどこで何が起こっているのか。誰が何をしているのか」(「二亜クリエイション」78ページより引用)
このセリフは「全知の天使」の力を得た漫画家「二亜」のものです。知ろうと思ったことは何でも知ることができるなんて、すごくうらやましいと思えるかもしれませんが、実際にはそれはそれで大きな問題があったのです。
「あたしには過ぎた力」
それは、知ることができるのはあくまでも「知ろうと思ったこと」であって、その中には知りたいこともあれば、知らなければ良かったと思うこともあるのです。二亜の場合は、それが人間不信の原因になってしまったのです。
「どんなに優しい顔をしていても、その裏には残酷な本性が潜んでいる。どんなに愛を囁いていても、腹の底では黒い感情が渦巻いている」(「二亜クリエイション」179ページより引用)
知らなければよかったと思うような人間の醜い面を見せつけられ、その結果、二次元以外には恋愛感情を持てなくなってしまったのですから皮肉なものです。最終的に二亜は「全知の天使」の力をこう結論づけています。
「きっとあたしには過ぎた力だったんだねぇ」(「二亜クリエイション」339ページより引用)
意外とシビアな現実を見せてくれる作品
「デート・ア・ライブ」という作品は「二亜クリエイション」に限らず、人間という生き物のシビアな面を平気で見せてくれる一面があります。美少女いっぱいというのは世間一般でいう「ライトノベル」のイメージなのですが、そういう「違い」が売れる要素だったのかもしれないと思ったりしています。