懐かしの味から珍奇な思い出まで厳選!!ドーナツ・アンソロジー『なんたってドーナツ』
あなたにとってドーナツとはどんなものですか?美味しいおやつ、懐かしい家庭料理、あるいは大嫌いな食べ物…何て考え方もあるかもしれませんね。そんなドーナツにまつわる様々なエピソードをかき集めてギュッとひとつの本にまとめた作品・『なんたってドーナツ(ちくま文庫、早川茉莉編)』の中から、5編ほどオススメの話を紹介します。(注:敬称略)
『ミルクホールとドーナツ』吉沢久子
戦争が始まる少し前から始まる、著者の青春とミルクホールにまつわる思い出がつづられています。
一抹の寂しさを禁じえない話です。
『始まりは、ドーナツ屋さんのあるところ。』三島邦弘
ミシマ社社長・三島邦弘さんが独立したばかりのころのエピソードです。
起業したての労苦とそのドーナツ屋さんが果たしてくれた受け皿としての役割を描いています。「ドーナツのような周縁部の仕事」と言う言葉が印象的。
『高度に普通の味を求めて』堀江敏幸
芥川賞受賞作家・堀江敏幸さん。彼の「プレーン味」に対するあくなき愛を語ります。
やがて成長し、ミスドや留学先・フランスなどでジャム、チョコ、クリーム入りの様々な揚げ菓子を端から端まで吟味した堀江さん。けれども最終的に「プレーンがイチバン」と感じたとか。おふくろの味にはどんなものも敵わない、と言うところでしょうか…
『ドーナツも「やわらかーい」』東海林さだお
全世界に店舗展開する「クリスピー・クリーム・ドーナツ」についてのエピソードがつづられています
ドーナツと言うと堅いイメージの方が先行しますが、確かに「クリスピー~」のものは艶々でなおかつフワフワ。東海林さんの文章によってその贅沢な味を追体験できるような気分になります。
『ドーナツの穴が残っている皿』片岡義男
個人的にあまり馴染みがないのですが、「ドーナツの穴」と言う食べ物が存在するとか。そのドーナツの穴について、どこか懐かしさを感じられるエピソードがつづられています。
いまだに知らなかったモノの発見を得た一編でした。ミスター・ドーナツにあるD・ポップはもしかすると「ドーナツの穴」かもしれませんね。
まとめ
スーパーマーケットやファストフード、パン屋など割合どこでも手に入る焼き菓子・ドーナツ。食べる時に想いを馳せたい、そんな一変がギュッと凝集された1冊です。気になった方は書店、あるいは図書館にてお手に取ってみてください♪