食べ物連載 くいいじ(安野モヨコ)のネタバレ解説・考察まとめ

『食べ物連載 くいいじ』とは、安野モヨコによる「喰いしん坊」の食生活を綴ったエッセイ集。安野モヨコが自らの「食い意地」を描いた、初の食べ物エッセイ集である。
「食事」に対して、どのようなイメージを抱いているだろうか。口で食べ、舌で味わう行為。そんなイメージを描く者も少なくないはずだ。『食べ物連載 くいいじ』は、そんな食事を「脳」を通じて堪能させてくれるエッセイである。

『食べ物連載 くいいじ』の概要

『食べ物連載 くいいじ』とは、安野モヨコによる「喰いしん坊」の食生活を綴ったエッセイ集。『週刊文集』平成18年8月31日号より連載が開始され、2009年に単行本が上巻、下巻の全2巻で刊行された。
上巻は『週刊文春』平成18年8月31日号~平成19年3月15日号分を、下巻は週刊文春平成19年3月22日号~平成19年10月11日号分を収録している。
2013年には上下巻の内容を1冊にまとめた文庫本が刊行されている。

「食事」に対して、どのようなイメージを抱いているだろうか。口で食べ、舌で味わう行為。そんなイメージを描く者も少なくないはずだ。
美食家でもコメンテーターでもないが、とにかく「食べることが好き」な漫画家・安野モヨコ。「喰いしん坊」を自称する彼女が、自らの「食い意地」を描いた、初の食べ物エッセイ集である。一般的な"食事者"の目線から「おいしい」を綴る。

「食い意地」について

「食い意地」とは、「食物を食べたいという気持ち。」
「食欲」が自然本能的な欲望であるのにくらべて、「食い気」「食い意地」は、その人に固有の性向のようなもの。「食い意地」は多く「食い意地が張る」の形であまりよくない意味で使う。

『食べ物連載 くいいじ』の目次・テーマ

おもてなし

客が訪れるも、夏バテ気味で料理を作る気力がビタイチ湧かなかった安野に、客人たちが差し入れた料理の数々を描く。

「ロックアイスの大袋くらいある大量の豚の角煮とレトルトのハンバーグ4つ。生ハムスライス一袋とだし巻き卵。葉山の老舗『日影茶屋』の可愛らしいお弁当が何故かひとつ。そしてケーキ3つとおせんべいが2袋。」(本文33ページより引用)

これは手作りではない。面白いチョイスだが完全にジャンクであるため、水分と野菜が恋しくなりそうである。

カボチャとの対峙

幼いころから甘いものが苦手で、イモ・クリ・ナンキンを敬遠している安野。そんな彼女が、どうしても南瓜(かぼちゃ)を料理しなければならない場面に遭遇したエピソードが描かれている。

嫌いなかぼちゃを前に意を決し、煮付けづくりを試みる安野。しかし、完成したのは水浸しでべちゃべちゃになったかぼちゃであった。料理において、"食材に対する愛情"は必須の材料であると言えるかもしれない。

椎茸

昔から『キノコ♡キノコ』という漫画や、宮沢賢治の描く抒情的な表現によって、キノコに対して「カワイイ」イメージを抱く安野。石突きを切る際、「あまりのかわいさに切ったら『痛いよう』と泣きだすんじゃないかと心配になる」との語りからは、ただならぬ愛情の深さが感じられる。

また、この項目で紹介されている、秋になると高尾山の直売店に並ぶという山で採れたアケビや銀杏の話も印象的である。

漫画と食事

安野の思い出の漫画・アニメご飯について語られる項目である。

『サザエさん』に登場する喉を詰まらせるまんじゅうや、『ガラスの仮面』にてマヤと亜弓がオーディション中に食べ続けていた大福、『うる星やつら』のお好み焼き、そして『悪魔の花嫁』にてヒロインがわざと太るために食べていたケーキなど、なじみ深いものからコアな作品まで多種多様に挙げられている。
『サザエさん』に出てくる何てことない白い饅頭も、普通のお好み焼きも、漫画を通してみるとふと食べたくなる不思議がある。それはプロが成す魔法のようなものかもしれない。

菜食

思想や宗教上の理由からなる「菜食主義者」というわけではなく、純粋に肉や魚の味を好まないという夫の庵野 秀明(あんの ひであき)さん。ラーメン屋では「豚骨ラーメン、チャーシュー抜きで」、お好み焼き屋では「豚玉一つ、豚抜きで」と注文するという。

庵野監督の代表作である『エヴァンゲリオン』シリーズに登場する「ラーメン、チャーシュー抜きで」という台詞は、ファンの間でも名セリフの一つに挙げられている。

京野菜

壬生菜(みぶな)や聖護院大根(しょうごいんだいこん)、金時人参(きんときにんじん)など、東日本の人間にとってはときめきを禁じえない「京野菜」を、安野(やすの)さんの最近の健康事情と絡めながら綴っている。

仕事柄、甘いものや脂肪分といった“不摂生”が続きがちな彼女にとって、京野菜を食すことは精神的なデトックス効果(意訳)があるとのことだ。
「京野菜・とまと」と名付けられた野菜を、その名前に惹かれて購入してしまうというエピソードには好感を覚える。

空豆

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents