日本が世界に誇る花鳥風月の極致“七宝焼き”「並河靖之」の世界
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七宝家 並河靖之(なみかわ やすゆき、1845年10月1日~1927年5月24日)は、日本の七宝家。明治期の日本を代表する七宝家の一人で、京都を中心に活躍。近代七宝の原点である有線七宝にこだわり続けてこれを極め、東京で活動した無線七宝を得意とするライバル・濤川惣助と共に、二人のナミカワと評された。
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日本が世界に誇る並河靖之の「七宝焼」を知って何年になるでしょうか。七宝焼─絶品の美しさの一語に尽きるその神業の超絶技巧は金・銀・銅・鉄などの金属製の下地の上に釉薬(鉱物性の微粉末を水とフノリでペースト状にし、焼き上げるとクリスタルとなる)を乗せたものを摂氏800度前後の高熱で焼成することによって、融けた釉薬がまるで宝石の様な輝きを放ち美しい彩色を施され完成するものなのです。
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並河靖之の七宝焼は特に「黒」の表現に秀でていて、その透明感と吸い込まれそうに成る程に深みのある黒は独特で、欧米では「並河の黒」と呼ばれ数多の賞を受賞している。
その制作風景は実に細密・緻密の極限を感じさせ、観ているだけで思わず息を殺している自分自身に驚いてしまう。おそらくミクロ単位の薄さにした板状且つ線状の金属を、意匠された下絵の上に這わせていき、前述の釉薬を面相筆でたらし込んで彩色していくという、気の遠くなるような作業を続けて一つ一つの柄のパーツが出来上がっていく。
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京都で活躍した並河靖之はその有線七宝焼において右に出るものを持たなかったのに対し、東京で活躍した線を使わない七宝焼で、同じく他の追随を許さなかった無線七宝焼の名人─濤川惣助と共に“二人のナミカワ”と世界的な賞賛を浴びている。
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完成した七宝焼きはまるで宝石をちりばめた様な、或いは七宝焼き自体が宝石であるかの様な印象を持っている。