新井素子(1960~)は、東京練馬区の出身。両親がともに出版社に勤めていたため、幼い頃から本に親しんで育ちました。高校2年のとき、SF雑誌「奇想天外」の新人賞に応募し、『あたしの中の……』が佳作入選。星新一に絶賛されたことで佳作ながらもデビューが決定しました。その後、雑誌「高一コース」で「星へ行く船」を連載。コバルトシリーズでデビュー作ともども文庫化され、現在のライトノベルの草分け的存在になりました。
あたし、新井素子。19歳のSF作家志望の女の子。新人賞のために『絶句』ってタイトルの原稿を書いている。読者が絶句するほどおもしろい話になるはずが、なぜか突然、小説のキャラクターたちが実体化してしまった!?滅法強いヒーローやマッド・サイエンティスト、超能力者の美少女風男子や素子に瓜二つの人猫が、それぞれ現実世界で生活を始めて…
「絶句」は上下巻とも新装版で発売中ですが、発表当時は新井素子のエッセイなどで挿絵を描いていた、吾妻ひでおのイラストが表紙になっていました。当時の雰囲気がよく出ている味わい深い装丁です。
当時、SF小説を書く人といえばオジサンばかりの中、高校2年生でデビューしたSF作家というのは衝撃的でした。同じ10代の少年少女たちから絶大な支持を得て、“素子姫”や“素ちゃん”と親しみを込めて呼ばれることも。ついにはなんと、こんなPCゲームまで発売されました。
超能力を持った主人公たちが、異世界に飛ばされて大活躍する「扉を開けて」。今ではライトノベルの定番となっている設定ですが、当時は新鮮でした。本作は大人気となりアニメ化もされましたが、現在は残念な事に絶版です。
これは地球さんの余命いくばくもない、最後の一週間の出来事‐あたしの恋人、朗の様子がおかしい。鎌倉の朗の家に向かって、混乱のなか、正気と狂気、現実と非現実の長い旅が始まる。(赤川次郎)
女子大生の圭子は、恋人・朗から突然の別れを告げられた。自分は癌にかかって余命いくばくもない、と言うのだ。翌日、こんなニュースが届く。「一週間後、地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない」圭子は決意した。最後にもう一度、朗に会いに行こう。練馬の家から、彼の住む鎌倉を目指し、彼女は徒歩で旅をはじめた。道中での4人の女性との出会いを経て鎌倉にたどり着いた圭子は、何を思うのだろうか。
お互いのことはお互いが一番よく判っている―――特別な関係で強い絆を持つ真美と祥子。小学校からの付き合いで、二十三歳になった今でもふたりには誰にも言えない秘密がある。しかし、綾子と名乗るカウンセラーと出会ってから、祥子の様子がおかしくなり、忽然と姿を消してしまった。“祥子が私を拒絶するはずなんてない!!"そう強く信じずにはいられなかった真美だが、現実はもっと深刻なもので…。感涙の青春長篇小説。
作品傾向としては、20代前半までは同年代の女性を主人公とするSF小説が主だった。25歳で結婚した後は、自らの結婚体験を元にした『結婚物語』などのコメディや、『おしまいの日』などのサイコホラー小説のような新たなジャンルにも挑戦した。また、自身の不妊体験を下敷きにしたかのような「産むということ」や「不妊ということ」「女性というもの」について独特の視点に基づいた小説を発表するなど、執筆活動の幅を拡げていった。そしてそれらの文体はジャンルや読者層にあわせており、デビュー当時の斬新なものとは一線を介している。
出典: ja.wikipedia.org
三津子と忠春は結婚七年、夫婦仲よく、絵に描いたように幸せな生活を送っていた。ただ一つ、忠春が仕事で毎晩、深夜をまわるまで帰宅しないことを除けば―。忠春を案じるが故に、三津子は少しずつ正気の淵から滑り落ちてゆく。そしてとうとう「おしまいの日」がやってくるのだが…。
20年前、母になった私(若葉)は、ふたりの子供と優しい夫に囲まれて、いつまでも幸せな日々が続くとおもっていた。けれど1996年の夏、ある事故が起こってしまう。そして2012年1月、成人式を迎えた“ひとり娘”の菜苗から、旦那と私は思わぬお願い事を告げられた。「かなちゃんのお仏壇を、だして」―覚えていたのか、菜苗!あの日から、いままで家庭内で触れずに過ごしてきた菜苗の双子の姉・香苗の存在を…この日をきっかけに、母と娘の不思議な日々が幕を開ける。双子姉妹と母親の愛あふれる感動長篇。
新井素子の初期の代表作ともいえる「星へ行く船」シリーズ。舞台は人類が宇宙に進出し、移住や旅行が当たり前になっている近未来。主人公の森村あゆみが、家出して宇宙へ旅立つところから始まります。紆余曲折の末、火星の探偵事務所で働くことになった主人公の、恋と冒険と成長が描かれます。本シリーズは、今では残念ながら絶版となっております。しかし2015年現在、復刊に向けての動きが出ているようです。できることなら当時の雰囲気を残したまま、竹宮恵子さんの表紙絵で復刊して欲しいところです。
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