現代とんぼ玉アートの世界

日本の伝統工芸とんぼ玉。職人が色ガラスでつくり、かんざしや帯留めなどを彩ってきた技術を、現代では世界中のガラス工芸の研究も重ねられ、技を磨いたアーティストたちが豊かな発想のもとできらめくビーズの世界を追求しています。

手作りのガラスの宝石

とんぼ玉はガラス工芸の誕生とともに古くから始まりました。
世界の歴史的な遺跡からは、多くのとんぼ玉が金銀などの金属の装飾品とともに
出土されています。
とんぼ(蜻蛉)玉という日本での名前の由来は、蜻蛉の目玉に似ているからと考えられていますが、
外国では主に「グラスビーズ」と呼ばれています。
古代メソポタミアやエジプトでは、紀元前15世紀ごろにはガラス製のとんぼ玉が作られており、
ローマ時代になると精巧なモザイク玉や人面玉など、かなり手の込んだものが作られていたようです。

ケルト(ハルシュタット)文化(B.C450頃)のとんぼ玉。
1846年オーストリア・ザルツブルク南東ハルシュタット出土。
ローマ人以前の高度な文化が判明。

ケルトの貴族はとんぼ玉に紐を通して装飾品にしたようです。

とんぼ玉は棒状のガラスをバーナーの火で溶かして成形したものです。
全体の形には、丸、棗、管、臼状などの基本のものがあり、地域によって様々な特性があり、
中央の穴でひもを通してネックレスや耳飾りにしたり、また棒を通して装飾品にしたりします。
模様のつけ方には単純な同心円紋やマーブル、ツイストなど基本的なものがあり、
さらに地域によって好まれる模様が独自に発達しているところが面白いです。

日本最古のガラス玉は勾玉(まがたま)で、ヒスイなどの貴石に代わるものとして、
弥生時代中期ごろに作られるようになりました。
江戸時代にはヨーロッパから高度な技術のガラス工芸品がその技術とともに輸入され、
とんぼ玉は「オランダ玉」とも呼ばれ、
かんざしや根付の装飾として、庶民にも普及したようです。

模様のつけ方には単純な同心円紋やマーブル、ツイストなど基本的なものがあり、
さらに地域によって好まれる模様が独自に発達しているところが面白いです。
とんぼ玉は基本となるガラスの球に、色や透明度の違うガラスで様々な装飾を施します。

日本の伝統的な同心円模様のとんぼ玉

マーブル

わずか数ミリ~数センチの世界

金魚、花弁を違うガラスで作り、さらに気泡を透明なガラスの中に入れ、
水中の光景を作り出しています。ガラス工芸の歴史的な技術の積み重ねと職人の長い経験が、極小の世界に驚くべき美の風景を作り出します。

現在ではさらに金銀などの粉などを用いて、また複数の球を溶融してくっつけたり、
その細工は職人の繊細で緻密な工夫と技術で、単純なとんぼ玉から複雑なガラス工芸と融合したものへと、
新しい展開を見せています。

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