筒井康隆氏の傑作小説・旅のラゴスは是非読んで欲しい最高のおススメ本
筒井康隆氏の傑作SF小説、旅のラゴス。シニカルな主人公の語り口が我々に感情移入をさせません。旅を通して何を得て何を失うのか? 人生そのものを旅にささげた主人公は何を求めていたのか?
日本SF作家の大家・筒井康隆氏
小松左京、星新一と並んで「SF御三家」とも称される。パロディやスラップスティックな笑いを得意とし、初期にはナンセンスなSF作品を多数発表。1970年代よりメタフィクションの手法を用いた前衛的な作品が増え、エンターテインメントや純文学といった境界を越える実験作を多数発表している。
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1993年には『無人警察』内の癲癇の記述が差別的であるとして、日本てんかん協会から抗議を受けたことをきっかけにした騒動で断筆を宣言しました。その後96年には断筆を解除し、従来のSFに加えて、老いるということをテーマにしたものも増えていきました。
名作・旅のラゴス
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
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文明を失った代償として超能力を得た世界。
ラゴスはその世界を旅しています。行く先々で色々な人と出会い、体験をするのです。
本を開いた人はラゴスとともに、不思議な世界を旅しているような気分になることでしょう。
本当に不思議な魅力のある物語です。
この本を読んだのは20代前半でした。主人公ラゴスの語り口と訪れる街々の奇想天外なエピソードと、ロードムービーのような乾燥した手触りがなんとも言えない魅力を感じました。主人公は旅をしながら色々な人に出会いますが、とても冷静な視点、ともすれば他人事のような距離感です。旅の目的は語られてはいるのですが、それが世界を救うわけではなく何か壮大な世界へ繋がるものでもありません。ただただ個人的な理由と言えるものなのです。そして唐突に旅の目的は達成され、それからの世界も語られていきます。
人生は続くものであり、目的を果たした主人公も同じなのです。私はまだ人生の目的は達成していませんし、達成したとして人生は続くのだろうと確信しています。これからも旅のラゴスは何度も読み返すだろうし、そのたびに新しい考えが生まれると思います。
私の人生の一冊と言える旅のラゴス、貴方にも是非読んで欲しいのです。