夏の終わりに沁みいる一句
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ひぐらしが鳴いて、日も翳り、稲穂が揺れる月、8月… どこかうら寂しい気持ちになっている方も多いのではないでしょうか。そんな夏の終わりにピッタリな名句を、長谷川櫂さん著の『麦の穂』より抜粋して紹介します。
恐ろしき咄の後の水羊羹
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寄席で怪談を聞いて後、甘味処で水羊羹を頂くワンシーンを切り取った一句。ゾワッとする話の後のひんやりした羊羹の感触を想像すると、うっすら寒気を覚えます。
夏蝶が獣の面ひるがへし 花狩りてゆく 花尽きるまで
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木々の間をかいくぐって花をつばむクロアゲハの様子を切り通ったもの。言われてみれば、アゲハの羽の模様ってライオンなど"獣"に似ているような気がします。
空のほか何もなし ひるがほの花
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真っ青な空、ほんのりと桃色に色づいた昼顔、緑色の蔓…夏らしく美しい情景です。
ソーダ水 ストロー折つて別れけり
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かつてひとつのソーダ水を二人で分かっていたカップルの、夏の終わりの別れの情景。悲しい恋の思い出です。
彗星のはなし白桃すすりつつ
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夏の終わり、観測した彗星の話をしながら白桃をすする。季節の情景を端的にうつくしく切り取っています。
異なれり 葱と茗荷を刻む音
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そうめんの薬味に、ネギや茗荷を添える人は多いのではないでしょうか。包丁で刻む音の違い、分からないでもないような気がします。
まとめ
夏の末ゆえか、別れや終わりの気配を感じさせる一句が多いように感じました。ちょっぴりおセンチな気持ちになっている方々(特に学生さん)、この気持ちを俳句に乗せたら思わぬ名句が生まれるかもしれませんよ…?!!
麦の穂―四季のうた〈2008〉
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