【裏S区】日本各地に伝わる古い都市伝説まとめ!ゾッとする怖い話が満載【八尺様】

ネットで見つけた日本各地の怖くて不思議な伝承や民話などを集めました。九州が舞台の「裏S区」や、ネットで有名な「八尺様」、東北の伝承「アカエ様」など、ゾッとする怖い話を紹介していきます。

私がまだ小学校低学年の幼い子供だったころに、趣味で怖い話を作っては家族や友達に聞かせていました。

「僕が考えた怖い話なんだけど、聞いてよ。」

ときちんと前置きをしてからです。
特にじぃちゃんが私の話を喜んで聞いてくれました。
私はそれがとても嬉しかったんです。
熱心に聞いてくれるのと同時に、こわがってくれたから。

そんな折、私の作った話がクラスの中で流行りだしました。
放課後の男子トイレで個室を叩くとノックが返ってくる。
といったありがちな話です。

クラスの女子の間であっという間に流行り、噂は学年中、学校中へと広まりました。

「男子トイレの前で手招きする男の子を見た」

とか言い出す女子も出てきていて、私がやっとその噂を知って

「僕の作り話だってば」

と言ってもきかず、その後もまことしやかに囁かれ続けました。
ついにはそこで肝試しを始めるグループまで現れてしまいました。

その肝試しでしたが、なにも起きるわけがないのに、グループの子供が皆

「ノックの音が返ってきた」

と言うんです。
大変な騒ぎでした。
そんなワケないだろ!?と思って作り話だということをアピールしようとしたのですが、当時の私は皆に冷たくされるのが怖くて言い出せませんでした。
しかし、そのうち私は自分の話が本当になってしまったのではないかと思うようになり、すごく恐くなって自作の怖い話をすることをやめました。

その騒動があってからしばらくしてじぃちゃんが、怖い話をしなくなった私に

「もう怖い話しないのかい」

と聞いてきました。
私はもう泣きじゃくりながらその話をじぃちゃんにしたんです。
ほうかほうか、とやさしく聞きながら、こんなことを話してくれました。

それはな、みんなが坊の話を本当に怖いと思ったんだ。
坊の話をきっかけにして、みんなが勝手に怖いものを創っちゃったんだよ。
怖い話を作って楽しむのはいいけど、それが広まってよりおそろしく加工されたり、より危険なお話を創られてしまうようになると、いつの日か「それ」を知ったワシらの目には見えない存在が、「それ」の姿に化けて本当に現れてしまうようになるのかもな。
あるいは目に見えるものではなく、心のなかにね。

「おそれ」はヒトも獣も変わらず持つもの。
「おそれ」は見えないものも見えるようにしてしまう。
本能だからね。
だから、恥ずかしくないから、怖いものは強がらずにちゃんと怖がりなさい。
そして決して近寄らないようにしなさい。
そうすれば、本当に酷い目にあうことはないよ。

私は、じぃちゃんも何かそんな体験をしたのかと思って

「じぃちゃんも怖い思いをしたの?」

と聞きました。
すると、予期しなかったじぃちゃんのこわい話が始まったのです。

昔、じぃちゃんは坊の知らないすごく遠くのお山の中の村に住んでいたんだよ。
そこで、じぃちゃんの友達と一緒に、お山に肝試しに行ったことがあるんだ。
そうだね、じぃちゃんが今でいう高校生ぐらいのころかな。

お地蔵さんがいっぱい並んでいたけど、友達もいるし全然怖くなかった。
でも、帰り道にじぃちゃんの友達が、お地蔵さんを端から全部倒し始めたんだ。

「全然怖くない、つまらない」

って言ってね。
じぃちゃんはそこで始めてその場所に居るのが怖くなったよ。
なんだかお地蔵さんに睨まれた気がしてね。
友達を置いてさっさと逃げてきちゃったんだよ。
そうしたらその友達はどうしたと思う?
死んじゃったの?

ううん、それが何も起こらないで普通に帰ってきたんだよ。
でもじぃちゃんはもうそれからオバケが怖くなって、友達と肝試しに行くのを一切やめたんだ。
その友達はその後も何度も何度も肝試しといってはありがたい神社に忍び込んだり、お墓をうろうろしたりお地蔵さんにイタズラしたり色々するようになってね。
周りの人からは呆れられて相手にされなくなっていったよ。
人の気をひくために「天狗を見た」なんていうようになってしまった。
じぃちゃんに「見てろ、噂を広めてやる」なんて言って、笑っていたよ。

そして、ある日ふっと居なくなったんだ。
じぃちゃんもみんなと色々と探したんだよ。
そしたら…
山の中の高い木のふもとで、友達は死んでた。
木の幹には足掛けに削った後がてんてんと付いていてね。
友達は自分で木に上って、足を滑らせて落ちたんだ。
ばかなやつだよ。

坊、世の中には人が入ってはいけない場所っていうのがあるんだ。
それは怖い場所だ。
坊だったらタンスの上もその場所だよ。
落ちるのは怖いだろ。
そういうことだよ。
じぃちゃんの友達には、怖い場所が見分けられなかったんだ。

怖いね。
ばちがあたったのかな。
いいや、怖いのはここからさ。

友達が死んでから、村の中のひとたちが次々に「天狗を見た」って言い出したんだ。
じぃちゃんは「あれは友達のでまかせだ」と言ったんだけどね。
友達が天狗の怒りに触れた、祟りだ、呪いだ、と皆は自分達でどんどん不安をあおっていった。
夜通しで見張りの火まで焚いたんだ。
皆が顔をあわせるたびに天狗の話をするので、村の中がじめじめしていた。

そんな時に限って具合が悪くてね、村の中でケガをするのが4件続いたんだよ。
どうってこともないねんざまで数に数えられてね。
どう見てもあれは皆おかしくなってた。
さらに噂に尾ひれがついて、「天狗に生贄を出さなくては皆殺される」とまで酷い話になっていた。

そしてついに、本当に生贄を出そうという話をするようになったんだ。
友達が死んだのは木から足を滑らせて落ちたからなのに、完全に天狗のせいになってた。
村の中の皆も、人が入ってはいけないところに踏み入ろうとしていた。
それはね、人の命だよ。
誰にもそれを奪う権利なんてないだろうに。
じぃちゃんはね、天狗よりも村の中の皆がすごく怖かったんだよ。
だからね、じぃちゃんは、その村から逃げてきたんだ…

じぃちゃんのこの話は、その後もねだって2度程聞かせてもらいましたが、「絶対に内緒だぞ」と言われ、両親の居るところでは決して話しませんでした。
でも、今でも私の家には父方の実家はありません。
農家の次男のじぃちゃんが、庄屋の娘のばぁちゃんと駆け落ちしてきたからだよと、私の両親からはそう聞いています。

じぃちゃんが私に自作の怖い話を聞かせてくれたのかとも思いましたが、多分違います。
その長い話が終わった時、じぃちゃんは大粒の涙をぼとぼと、私の小さな手の甲に落としたのですから。

忌箱

出典: hemon.net

これは高校3年の時の話。
俺の住んでた地方は田舎で、遊び場がなかったんで近所の廃神社が遊び場というか、溜まり場になってたんだよね。
そこへはいつも多い時は7人、少ない時は3人くらいで集まって煙草を吸ったり酒飲んだり、たまにギター持って唄ったりしてた。
その廃神社は人がまったく来ないし、民家や商店がある場所からはけっこう離れていたから、高校生の俺達には、もってこいの溜まり場だった。

ある日学校が終わって、まあその日も自然と廃神社に溜るかぁみたいな流れで、俺と他の3人の計4人で自転車で廃神社に行ったんだ。
時間は4時過ぎくらい。
そこで煙草吸ったりジュース飲んでたりしてた。

11月頃で、ちょっと寒いなぁなんて言いながらくだらない話に花を咲かせて溜ってたんだよね。そしたら、ザッザッザッザッって神社の入り口から足音が聞こえてきたんだ。

最初は他の連れが溜まりに来たのかなぁと思ってたんだけど、神社の境内に入ってきたのは、70代位のおばあさんだった。
俺を含めた4人とも会話がピタッと止まってね。
その廃神社に溜まり始めたのが高校1年の頃からで、約2年間溜まり場にしてたけど、これまで一度も人が来た事がなかったんでビックリしたというか、人が来る事自体が意外だったんだよね。

俺たちは神社内の端側にある段差のある場所に溜まってたんで、おばあさんは俺たちの存在に気づいてない。
俺や俺以外の連れも、なんとなくバレたらいけない気がしてたのか、みんな黙ったままジッとおばあさんを見てた。

おばあさんは神社の賽銭箱(賽銭箱には落ち葉やゴミしかないのは2年前にリーサチ済みです)の前に立って拝んでた。
拝んでた時に聞き慣れない言葉で何かを呟いてた。
1分くらい拝んだあとに、賽銭箱の後ろのほうに、片手に持っていた鞄を置いて帰っていった。

「おぉビックリした!」
「まさか人が来るとはww」
「ちょっと怖かった~」

とか話してたんだけど、当然気になるのは、おばあさんが放置した鞄。
俺はなんとなく嫌な予感がしてたんだけど、連れのAが賽銭箱のとこまで走って鞄を持ってきた。

「札束が入ってたりしてw」

とか言ってるんだけど、俺はわざわざ神社に置き去ったものだからロクでもないモンなんだろうなぁと思って、

「そんなもんあそこに置いとけよぉ~」

とか言ったんだけど、他の3人は興味しんしん。
仕方なくA達が鞄を開けるのを見てた。

「なんだコレ」

と言うBの手には古新聞。
相当古そうなのは新聞の黄ばみ方で分かったんだけど、記事はよく覚えてないけど「なんたら座礁」「○○が逮捕」みたいな文字が書いてあったのは覚えてる。
新聞の日付は1972年って書いてあった。

「なんで24年前の新聞が…」

ってみんな不思議がってた。
Cもちょっと気持ち悪くなったのか、

「やめとくか?」

と言い始めたんだけど、AとBは更にガサゴソと鞄を物色しはじめた。
今度は財布。
Aは

「おぉ金入ってたら○○ストアで酒買って宴会するかw」

と言いながら財布を開けた。
見た事もない札が一枚(昔のお札じゃなくて外国の札?)とお守りとレシートと紙切れが入ってた。
AとBはすぐに興味なくして

「なんだよ~金入ってねぇよ」

と言ったんだけど、俺は中身に興味があったんでCと一緒に見てみた。
お札はたぶん中国か韓国のかなり昔の札。
レシートはボロボロでよく読めない。
お守りには梵字みたいな、たぶん梵字ではないけど、中国語か韓国語で書かれたお守りかなぁって感じの物。
俺とCが財布をくまなく調べてると、Aが中から小さな木製の箱を取り出した。

「なんだよコレ!お宝っぽくないか!?」

と言ってAは開けようとするんだけど開かない。
俺は

「やめとけよ。どうせロクなもん入ってないって」

って止めて、Cも

「気持ち悪くなってきた…」

って言うのに、AとBは必死に開けようとしてる。
最初はコイツら馬鹿だなぁwって思ってたんだけど、AとBはその箱を地面に叩きつけたり、二人が引っ張り合いをし始めたりして、開けようとする行為がだんだん激しくなり始めた。

「ちくしょぉぉ開けよコノヤロ~」
「なんで開かないんだよぉぉぉ」

AとBはそう叫びながら必死に木箱を開けようとしてるんだけど、その姿が尋常じゃないって感じになってきて、俺もCも唖然として見てた。
力づくで止めさせようとも思えないくらい、目が血走ってて必死なんだよ。

「お、落ち着けよ」

と言ったんだけどAとBには、俺やCの存在すら目に入ってないみたいな感じで木箱をガンガン地面に叩きつけたり踏んづけたり、引っ張り合いしてる。
ヤバイなコレと思ってさすがに止めに入ったんだけど、Aはガグガッと口からわけのわかんない声というか音を出して俺を突き飛ばした。

俺とCだけじゃどうしようもないから他の連れを呼ぼうにも、当時まだ誰も携帯電話を持ってなかったから、誰かを呼ぶにもその場を立ち去らないといけない。
俺もCも一人になりたくないけど、仕方ないからCとジャンケンして俺が勝って、俺が他の連れ達を呼んで来る事になった。

もう五時過ぎくらいで、少しずつ夕陽が落ちかけて暗くなり始めたんで、Aたちの行動とか周りの雰囲気がすごく気味悪く感じた。
2年間溜まり場にしてた場所がまるで別の空間に思えたんだよね。
AとBがコンビプレーしながら木箱を必死に開けようとしてる異常な姿を見ながら

「じゃすぐ戻る!」

と走り去る俺に、

「頼むから早めに帰ってきてくれよ~」

とCは泣きそうな感じで返事した。
神社の階段をダッシュで降りて、自転車を置いてる場所まで走って自転車に跨いで走り出そうとした時にギョッとした。

さっきのおばあさんが神社の向かい側の道でニタニタ笑ってた。
俺の方じゃなく神社方向を見て笑ってた。

俺は神社に戻るわけにもいかず、おばあさんに話かけようなんて事も怖くて出来ず、必死に自転車をこいで、神社から一番近いDの家に向かった。
家から出てきたDは最初

「は?なにそれw」

と言っていたが俺が必死に説明してたら、ようやくヤバイ状況に気づいたみたいで、

「早く行こう!いや、Eも呼ぼう」

とDの自宅からEに電話して、

「早く家に来てくれ」

と頼んでEの到着を待ってたんだけど、Eは20分以上待っても来ないし、外がかなり暗くなり始めた事に焦って、Dの弟にEが来たら神社に来るように伝言を頼んで、俺とDだけで神社に戻る事にした。
二人で自転車こいで、神社に到着した時は、さっきいた場所におばあさんはいなかった。
俺とDは神社の階段を駆け上がった。
以下、記憶はここまで。

次の瞬間俺は病院にいた。
エッと思って起き上がろうとしても起きあがれない。
一生懸命起き上がろうとしたら、足にギプスがはめてあって、腕には手首に包帯。
急に全身に鈍い痛みが走って「うぉぉ」って小さい声が自然に出て、寝たまま苦しんでたら、しばらくして病室に看護婦か入ってきてそこからもよく覚えてないけど、とりあえず家族が来たり先生が来たりして慌ただしい感じになった。

どうやら交通事故に遭って4日間、目を覚まさなかったらしい。

「Aは?Bは?神社は?Dは?」

とまくしたてて聞く俺に、母さんは最初は

「今はいいの。今はゆっくり休みなさい」

とか言ってはぐらかしてたんだけど、何度もしつこく聞いたら、

「A君もB君も亡くなって…D君は重体で…」

と言われた。
意味が分からずポカーンとしていると、ABD俺の4人が自転車に乗って歩道を帰っていたら、トラックが突っ込んできて、AとBは即死。
Dは意識不明の重体。
(後日、図書館で地元新聞読んだらたしかにそう書いてあった)

駆けつけた担任の先生はボロボロ泣きながら、

「よかったなぁよかったなぁ」

って言ってくれてるんだけど、

「おかしい…俺は神社に向かってたんだけど。AとBは箱を開けようとしててDに助けを呼んで神社に行ったんだけど」

と説明した。
支離滅裂だったのか親や先生は理解してくれなかった。

その日の夜は寝たり起きたりを繰り返しながら、連れが死んだショックより(もちろん悲しかったけど)「おかしい…」という感情が強かった。
翌朝一番でCとEが見舞いにきた。
Cは泣きながら

「すまん!俺、30分待ってもお前が帰って来ないからAとBを置いて逃げた」

と言った。
俺は

「あ~そうなのかぁ」

としか返事が出てこなかった。
せめて神社付近で待っておけよと思ったけど言えなかった。
Cは

「あの後、Aが『もう少しで開く!開く!』って叫び出したんだよ。Bも『開く!開く!』って…それが怖くて逃げたんだ」

と言った。
Eは

「よく分かんないけど、Dの家に行ったら、Dの弟から神社に行くから来てくれってお前らが言ってたって聞いて、すぐに神社に行ったんだけど、お前らいなくて、別のがいたから仕方なく帰ったら、次の日事故ったって聞いて驚いたよ」

「別のって?」

「いつも溜ってる場所に何人かいて、暗くてよく見えなかったけど、お前らの自転車はないし、雰囲気がなんかおかしかったからすぐ帰ってきたんだよ」

CとEと神妙な顔をしたまま、20分くらい話して帰っていった。
その後は、刑事が来ていろいろ聞かれたから正直に全部話したけど、神社の話より事故の瞬間の話しか興味がないみたいで、

「事故前後はまったく覚えてないです」

って言ったら、残念そうに帰っていった。

後日、何度かまた刑事や相手の保険屋や弁護士が来て、話を聞かれたけど、神社のくだりより、事故の時の話しか興味ない感じだった。
事故を起こしたトラック運転手は精神的な疾患を持ってたらしくて、事故後に逃走して自殺を図ったらしい。
でも死にきれずに病院にいて、会話にならない状態だって聞いた。

重体だったDは結局あの後亡くなった。
Dの弟は俺を恨んでいるみたいで、退院後にDの家に線香あげにいった時も無視された。

俺は、もともと東京の大学に進学が決まってたから、一月から学校に登校して3月に卒業した。周りは妙に優しくしてくれたけど、俺は気まずくてCやEとは距離を置いた。
Cは4年前に自殺したらしいけど、俺は長い間地元に戻ってないから疎遠になってて詳しい話はしらない。

いろいろあったから地元とは距離を置いてきたけど、昨年11月に親父が亡くなったから12年ぶりに地元に帰った。
大学卒業の時に一度帰ったけど日帰りで一時間位しかいなかったから、じっくり帰るのは12年ぶり。
葬式など全部終わって、すぐ東京に帰ろうと思ったけど、母さんがなんか不憫でギリギリまで実家にいる事にした。

昼間やる事もないんで、12年ぶりに徒歩で田舎町をウロウロしてたら、急にあの廃神社が気になった。
本当は思い出したくもないんだけど、その気持ちに反して神社が気になる!行きたい!と強く思った。

あの時の関係者といえばEだけど12年間疎遠になっていたし、連絡しにくい。
仕方なく一人で行った。
歩いてみると、神社は家や学校からかなり遠かったんだなぁと思った。
神社に比較的近かった行きつけのスーパーは潰れてビルになってたり、近くにコンビニや大きなショッピングモールやマンションが出来てたり、12年前とは景観がかなり変わってた。

神社はまだあった。
あの日以来の神社だった。
俺は急に怖くなった。
心臓が高鳴り、手のひらは汗でジトッとしてきた。

引き返そうと思ったけど、わざわざここまで歩いて来て今さら引き返すのも抵抗があって、思いきって恐る恐る階段を昇った。
変わらない風景のはずだった。

でも変わっていた。
神社は綺麗になっていた。
賽銭箱や社や石造りの道も綺麗になっていた。

近くに若い女の子が箒を持って掃除していた。
可愛い娘だった。
俺は人見知りするタイプだから、普段は絶対に声をかけたりしないんだけど、神社のこの変貌っぷりを目の当たりにして、迷わず声をかけれた。

「すみません。あの…あのですね。10年以上前に神社に来てた者なんですが」

すると女の子は

「はい?」

と答えた。
関係ない話だけど顔はアッキーナにソックリだった。
髪のとても長いアッキーナだった。

「10年くらい前に神社によく来ていたんですよ、実は」

と言ったら

「少しお待ち下さい」

と箒を置いて誰かを呼びに行った。
俺は周囲を見渡した。
12年前にはなかった神社の横のアパートのバルコニーで洗濯物を干している主婦が見えた。

「どうされましたか?」

神主さんなんだろうけど、私服を着た上品な顔立ちの年輩の白髪のじいさんが近寄ってきた。
アッキーナは箒を持ってお辞儀して別の場所を掃除し始めた。

「すみません。12年前に…」

と説明をしたら、神主さんは驚いた表情をしながら聞いていた。
一通り話をした。
二年間溜り場にしていた事や、おばあさんの話、事故の話。

「あ~なるほど…。実はこの神社は3年前に○○神社(よくわかんない)から分祀されて復興したんです。」

俺は

「はぁ…そうですか…」

と答えた。

「まさかそんな話を聞けるなんて思いもしていませんでした。その箱はその時におそらく開いたんでしょうなぁ…。アレは冥界の門みたいなもんで、私も実際に手にとった事はないんですが…」

「なんですか?冥界の門って?あの箱どこに行ったんですか?」

「いやぁアレにはいろいろな呼び方があって私どもは忌箱(キバコ)と呼んでます。私がここに来たのが半年前で前任の者が失踪したんですよ。詳しい事は私も聞かされていないんですが、前任者が忌箱に取り込まれたという話を聞きましたが…」

「ええ~!!忌箱ってなんなんですか?Aたちが死んだのも何か原因があるんですか?!」

「分かりません。う~ん…命をとる事もあるのかもしれませんね…申し訳ないですが…」

それから神主さんはお祓いをしてくれた。
神主さんは神主衣装に着替えて、30分くらい物々しい雰囲気の中でお祓いの儀式をしてくれた。

アッキーナはたまに様子を覗きにきた。
俺は正座してお祓いをしてもらいながらアッキーナにさりげなく微笑んだ。
アッキーナはたぶん微笑み返してくれて、出て行った。

「忘れなさい。アレはあなたの人生にたまたま通りかかった通り魔のようなものですから」

と言われた。
俺は話せて良かった事と、お祓いのお礼を言って帰った。

その後は東京に戻って普通に生活している。
東京に戻ってしばらく経った頃から夢をよく見るようになった。
3日に一回は見る。

あの日、Dと神社に到着した後の光景だった。
神社に到着した後から事故に遭うまでの内容が断片的に夢に出てきた。
この前は、トラックにひかれたのは運転手の責任じゃなく、俺とDがAとBと車道で揉み合いになっていたところに衝突してきた内容だった。

他にも神社の境内でのおぞましい内容の夢を見た。
内容は誰にも言っていない。
夢の内容を口にしたら、とても恐ろしい事が起こりそうだからだ。
最近になって俺はこれは夢じゃなく記憶なんじゃないかと思い始めている。

なまけもの

出典: occugaku.com

出典: po-co.net

あのさ、かなり昔の話になるんだけど、俺が田舎に来てた時の話でさ、なんか近所の山の上に鉄塔があってさ、あの電線とかかかってるやつなんだけど、ただその電線に逆さまにさ、鉄棒で言う豚の丸焼きみたいな感じで動くものがいたんだよ。

のうのうと頭とか掻いてるから、昔の話で俺は子供で、なんでかナマケモノだと思ったわけで家に居たのがじいちゃんだけで、ばあちゃんはもう死んでて、兄貴はどっか探検で、父さん仕事、母さんは買い物でさ、じいちゃんしかいなかったのよ。

のんびりお茶飲んでたのを今でも覚えてるね、仏壇の前でさ。
前にも言ったけどナマケモノだと思ってたから、じいちゃんを呼びに行ったんだけどもね、ふつう電線にナマケモノはいない。

のんびりお茶をすするじいちゃんを家の前まで連れてきて、ナマケモノだよって指差したんだよ。
電線にナマケモノなんかいなかったけどね、当たり前の話なんだけどね、でもじいちゃん驚いちゃってね。

柱、といってもただの柱じゃなくて、玄関入ってすぐの柱、あれがいわゆる大黒柱って後で聞いたんだけど、にも関わらずなんか壊し始めたの、しがみついて殴ったり蹴ったり、驚いたね。
もう子供心にヤバいと感じた俺は家から逃げたしたのに、家から音がすんの。

いつのまにかナマケモノがぶら下がってたんだけど、しかもすぐそこの電線、もうすぐそこ、また驚いた。
またまた驚くことに、ナマケモノだと思ってたらなんか違ったのな。
すぐにわかっちゃったんだけど、死んだっていうばあちゃんの顔したやつ、毛むくじゃらだったよ。
指先までも、ただ顔だけ人間みたいで、、、

気持ち悪くなってさ、子供ながらにアレはヤバいとわかったのかもしれないけども、逃げようとしたの。
が、足がすくんで動かなくて、ばあちゃん笑ってて、、、
ついでに笑い声あげてどっかいっちゃった、電線つたって、するする。
かなり目立ってたけど、騒ぎになった覚えは無いからさ、なんでだろうね。

なんとかなったと思ったら母さん帰ってきて、じいちゃんに気付いて気付いてご近所と取り抑えたらさ。
いつの間にか普段通りに戻ったらしい、俺は実家に帰ってたから聞いた話でさ、お茶飲んでるってさ。

だからじいちゃん死んだことも知らないんだけどさ、じいちゃん地震で家崩れて死んだらしいけど、けっきょく、俺じいちゃんばあちゃんの死体見た記憶が無いんだわ。

案山子の神様

出典: hemon.net

出典: world-action.net

俺が高校の時の話。
田舎住まいなので通学するときにはいつも田んぼの脇道を通っていた。

その日も家に帰る為、いつものように田んぼの脇道をカエルの鳴声を聞きながら歩いていた。
すると田んぼの中にピンク色の割烹着のような服を着た人が立っているのに気が付く。

「ああ、田植えか何かしているんだな」

そう思って良く見てみると、何か動きがおかしい。
片足で腰をクネクネさせながら、白いビニールの紐のようなものを新体操をしているかのように体の回りでグルグルさせている。
何と言うか、フラフープをしているような、そんな動き。

変な汗が俺の体中からフツフツと湧き出てきた
しかもソレは片足でケンケンしながら、少しずつコチラに近付いて来ている。

ゲコゲコと蛙の鳴声が響く夕焼けの田んぼの中で俺は何故か動けずにソレを見ていた。
腰をクネクネさせて、ピョコピョコとコチラにやって来るソレに顔は無かった、と言うか見えなかった。

写真でブレた時みたいな、激しく顔を振っているそんな感じ。
体は普通に見えるのに、まるで顔の部分だけぼやけていると言うか…。

俺は目がかすれたのかな?と思い何度も目を擦ってみたがソレの顔は相変わらず見えない。
しかも、もう目の前まで来ている。

「ああ、こらもう俺の人生終わったな」

そう思ったと同時に涙が物凄い勢いで流れた。
目が痛くて開けていられない程に…

俺はその痛みと恐怖で気絶してしまったらしく、次に目を開けた時には自宅の布団の中でした。
そこには俺を囲むように親父と祖父、祖母と近所の坊さんが居て、なにやら念仏のようなものを声を揃えて唱えている。
なんだかその状況が可笑しくて

「ブフッ!」

と、吹き出すと祖母が

「ジッとしてろ!」

グッっと俺の体を押さえ付けて低い声でそう言った。
結局それは俺が目覚めてから1時間程続いたのかな。

その後、祖母に聞いた話しでは、俺が出会ったアレは「案山子の神様」とかなんだけど、その案山子は寂しかったのか何か知らないが、俺を自分の仲間にしようとしたらしい。

「連れてかれたら一生泥の中で暮さなきゃいけねえんだぞ」

と祖母は最後に言いました。
おかげで今でも田んぼに案山子がポツンと立っていると恐くてしょうがないです。

一風変わったお盆の行事

出典: occugaku.com

これは今から約15年前、南伊豆の小さな村で私が実際に体験した、怖いというより少し不思議な話です。

小学3年生の夏。
私たち家族(父・母・私)は、お盆休みを伊豆のK村という場所で過ごすことになった。
かつては漁業と民宿業で栄えたこともあったようだが、今では過疎化も進み人口わずか百人足らずの小さな村である。
私の母はこの村の出身だが、幼い頃に東京に引っ越してしまったため、現在は遠い親戚が残っているだけだ。

それでも、田舎の村というのは親戚間のつながりが強く(村人のほとんどが親戚なのだが)、着いた翌日には顔を合わせていない人はいないのではないかと思う程、私たちが泊まっている民宿(これも親戚の家)を、たくさんの人が訪ねて来た。
子供の私にとって、見知らぬ大人たちに会うことは楽しいものではなかったが、この民宿に同い年の女の子(Mちゃん)がいたので、退屈な思いをすることはなかった。

村に来て4日目の夜。
私たち家族は、この村のお盆の恒例行事に参加することになった。
お盆の行事と言えば、夏野菜で動物を作って飾ったり、玄関の前で火を炊いてご先祖様をお迎えしたりと、地方によってさまざまな風習があると思うが、この村の行事は一風変わったものだった。
まず、フラフープぐらいの大きさがある数珠を、大人たち5,6人が横にして持ち、その中に子供が入る。

この年、数珠の中に入ったのは私とMちゃんだった。
そして、その状態のまま、お経とも歌ともつかない不思議な言葉を唱えながら、数珠を回しつつ村を練り歩くのだ。
村には都会の街のような街灯やネオンもなく、真っ暗な道を提灯の灯りを頼りに歩いていく。
正直、私は逃げ出したいほど怖かったのだが、隣で平然と歩いているMちゃんがいる手前、そんな泣き言をこぼすわけにもいかず、ただただ大人たちの不気味な声を聞きつつ、暗い夜道を歩き続けるしかなかった。

そんな調子でどれくらい歩いていただろう。
私はふと、周りにいる大人たちの数が異常に増えていることに気がついた。
さっきまで周りにいた人たちは、この数日間で顔見知りになった人ばかりだったが、今は見たことのない顔がたくさんある。
その人たちに何かうまく言葉では表現できない違和感を覚えつつも、人が増えたことは私を少し安心させてくれた。

そうして、約一時間は歩いただろうか。
最後に村のお寺でロウソクに火を灯して、ようやく私たちは解放された。
火をつけたロウソクは、提灯に入れて各人がそれぞれの家へ持ち帰る。
私たちも親戚と一緒に提灯を持って民宿に帰り、火を仏壇のロウソクへと移した。

その時である。
私は仏壇に置かれている遺影の中の人が、さっき私の周りを歩いていた人の中にいたことに気がついたのだ。
さすがに小学3年生といえども、遺影が亡くなった人のものであることは知っている。
私はもう泣き出さんばかりの勢いで母にそのことを伝えると、母は

「だって、そういうお祭りなのよ」

と笑った後に、

「お母さんも子供の頃に、死んだおじいちゃんを見たのよ」

と教えてくれた。

それ以降、お盆の時期にこの村へ行ったことはない。
いつかもう一度、あの不思議な行事に参加してみようと思っている。
大人になった今、亡くなった人の姿が見えるかどうかは分からないけれど、、、

daisukekun
daisukekun
@daisukekun

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