その話題、触れていいの? タブーに切り込む新書5選

触れてはいけないことが暗黙の了解として広がっている「タブー」。「なんとなく話題にしちゃいけない」ことが分かっていても、でも気になる……そんな現代日本の「タブー」をピックアップしてしまった、切れ味の良い新書をご紹介いたします。

赤川学「子どもが減ってなにが悪いか!」(ちくま新書)

近年嘆かれている少子化問題について、男女共同参画社会など様々な取り組みがなされています。それらは実は「少子化問題を解決に導く」ための根拠などなかった――!?

2004年の著書とあり「10年以上前のデータなんて古いのでは?」と思われてしまうかもしれませんが、社会制度への不安・不満がある方は目を通してみてほしい一冊。

宮本みち子「若者が≪社会的弱者≫に転落する」(新書y)

青年社会学、家族社会学に精通する著者による現代若者論。「お金がない」「家を離れられない」「結婚できない」などの問題に悩む若者たちを読み解く本は、「近頃の若者は○○でまったくけしからん!」という結論にたどり着いてしまい、実際の若者が手にとっても共感も危機感もなく読み終わってしまうかもしれません。

しかし著者の主張には悪い意味での「説教くささ」もなく、身近な問題として起こりがちな上記の問題に対してそれぞれが考える契機を与えてくれるでしょう。

高崎真規子「少女たちはなぜHを急ぐのか」(生活人新書)

初体験の低年齢化・援助交際・彼氏やセックスフレンドとの関係などの性教育についてを、ノンフィクションライターである著者が暴いていきます。

今、若い世代にとってもあまりに身近なものになりすぎている性の問題に対し、女性ライターならではの赤裸々な文章が魅力です。

高山文彦「少年犯罪実名報道」(文春新書)

講談社ノンフィクション賞などの受賞経験を持つノンフィクション作家の著者は、かつて少年犯罪の加害者実名を書いたことで人権侵害として訴えられた経験を持っています。

その経験から少年犯罪に対する実名報道の規制について疑問を投げかける内容となっていますが、決して「少年犯罪でも実名報道すべき」という内容ではなく、すべての犯罪報道についての曖昧な部分に切り込んでいきます。

山内昶「ヒトはなぜペットを食べないのか」(文春新書)

もし子どもに「どうしてヒトは牛や豚を食べるの?」と聞かれたら、また「どうして犬や猫を食べちゃいけないの?」と聞かれたら、あなたはどう答えられるでしょうか?

まさに「タブー」な人間の欲と動物の関係性について、これまでの歴史を紐解きながら考察していく一冊。食の歴史はもちろん、近親相姦など別種のタブーも絡めながらさらに踏み込んでいきます。

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