主人公の思いか、作家の本音か……「妹さえいればいい。」

「僕は友達が少ない」で大ブレークし、いまや超人気作家の1人となった平坂読氏。その平坂氏が書いた業界モノ「妹さえいればいい。」が人気になっています。「はがない」の作者らしいダラダラとした日常描写の中に、もしかして平坂氏の本音なんじゃね?と思いたくなるような創作への熱い思いが込められていて、平坂氏らしい毒を含んだ作品になっています。でもなぜ「妹さえいればいい。」のでしょうね?

「はがない」の作者が書いた業界モノ

平坂読氏といえば「僕は友達が少ない」(略称・はがない)の作者として有名です。「はがない」がそうであるように、毒がなさそうに見えて実は強烈な毒を含ませているのが特徴で、評価の分かれやすい作家だといえるでしょう(私はその「毒」こそが好きですが)。そんな平坂氏が実体験と思えてしまうようなエピソードを盛り込んだライトノベル作家ものがこの「妹さえいればいい。」(作・平坂読、イラスト・カントク)です。

もしかして……作者の……本音?

主人公「羽島伊月」はライトノベル作家。「妹もの」が大好きで、一歩間違えば(というか間違わなくても)気が触れてるのではないかと思いたくなるような作品が冒頭に紹介されるのがお約束になっています。作品内容は同じ作家やイラストレーター、編集者、大学時代の友人、税理士らとの日常的な交流を描いており、同じ作者だけあってノリは「はがない」に似ています。ですが、主人公の作品にかける思いは凄いものがあります。

「俺はそんな凡愚どもの声になど屈しない! ぶっ飛びすぎと言われたからといって切れ味を鈍らせていては究極の妹には辿り着きようもない!」
(1巻66ページより引用)
「俺たちは、アニメの原作を作ってるんじゃない! 小説を書いているんだ!」
(2巻257ページより引用)

もしかしてこれ平坂氏の本音なんじゃね?と思いたくなるほどです。まあそんな邪推をしても意味はないのですが、モノを書くことへの真剣な思いは伝わってきます。

そしてこの肌色率の高さ!

さすがはカントクさんです(意味不明)。

この登場人物・キャラクターのモデルってもしや……

どうでもいいことですが、この作品に出てくる後輩作家「可児那由多」なのですが、作中での評価が「さくら荘のペットな彼女」の作者、鴨志田一氏を連想させます。

「登場人物はライトノベルの読者に好まれるような高いヒーロー性を持つ人物など皆無で、むしろ欠点ばかりが目立つ人物が多い」
「ファンの間では〝可児節〟とも呼ばれているユニークな言い回しが多く」
(いずれも1巻179ページより引用)

このあたりが何となく引っかかるのです。性格も「さくら荘」のヒロイン「椎名ましろ」に似たところがありますし、もしかして平坂氏はああいうタイプの作品が書きたいのでしょうか……という邪推をしてしまうのも、こういう業界ものの怖いところでしょうか。

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