死因や最期の瞬間が印象的な日本の文豪たち

文学界に生きた人々の多くは、世間に大きな影響を与えその思想や活躍は時代を越えて語り継がれています。しかし、精神の面で達観しすぎるあまり自殺やその他残酷な最期を遂げている人も少なくありません。最期があまりに印象的な日本の文豪たちをご紹介します。
川上眉山

明治時代の小説家。「墨染桜」ほか。
社会の矛盾を題材にした小説で人気を博すが、1908年、文学的ゆきづまりののち、頸動脈を剃刀で自ら切って死亡。
有島武郎

「カインの末裔」「或る女」など。
創作力に限界を感じ筆を絶ったあと、愛人女性と軽井沢の別荘に滞在中、情死。
一ヶ月後に発見されたときには腐乱が進み、ウジすらも湧いていた。遺書の存在でようやく本人と確認される。
島田清次郎

「島清」などの略称でも親しまれた小説家。「地上」「改元」など。
統合失調症により、警察の手で精神病院に収容後、31歳という若さで亡くなる。
生田春月

詩人、翻訳家。
石川三四郎との交友によってアナーキズムに傾く。
不倫旅行中、大阪発の船に乗った後、船から身を投げ瀬戸内海へ沈んでいく。
島崎藤村

小説「破戒」、詩集「若菜集」ほか。
脳卒中の発作で倒れ、床に伏してからも「もう少し書きたい」と繰り返す。
「涼しい風だね」との呟きを最期の言葉として、帰らぬ人となる。
田中英光

無頼派の小説家。
強い結び付きのあった太宰治の死後、彼の墓の前で焼酎一升をたいらげ、アドルム十錠入り三箱をあわせ飲み、手首を切って自殺。
佐藤春生

小説、文芸評論、随筆、童話、和歌など様々な分野で活動。
朝日放送の「一週間自叙伝」というラジオ番組の録音中、息苦しそうにしはじめる。
「私は幸いにして……」という言葉を発した直後、突然倒れ意識も失いそのまま死去。死因は心筋梗塞だった。