聖地を目指すは、名も無き村の少年たち

古屋兎丸先生の描く少年十字軍の物語、『インノサン少年十字軍』を紹介します。

少年十字軍って?

少年十字軍(しょうねんじゅうじぐん、Children's Crusade)は、第4回十字軍の後、フランスやドイツにおいて神の啓示を受けたとする少年エティエンヌの呼びかけにより少年・少女が中心となって結成された十字軍。
1212年のフランスの少年十字軍では、少年少女が十字軍として聖地奪還に向かう途中、船を斡旋した商人の陰謀によりアレクサンドリアで奴隷として売り飛ばされた。

出典: ja.wikipedia.org

あらすじ・ストーリー

11世紀のフランス、農村に住む羊飼い・エティエンヌは比類なき心の優しさを持つ美しい少年。彼は裕福ではないながらも、幼いころから共に過ごす友人たちに囲まれ穏やかな日々を送っていた。そんなある日のこと、彼は草原で不思議なラッパの音を耳にする。その音に導かれるようにして向かった先に待っていたのは、十字に掛けられたイエス・キリストと、彼からの"イェルサレムへ向かえ"と言う啓示だった…

登場人物・キャラクター

エティエンヌ
ごく普通の羊飼いだったが、ある日神の啓示を受けてイェルサレムへと向かうことを志し、少年十字軍のリーダーとなる。虫も殺さぬ気立ての良さと、奇跡を起こす神通力を持ったカリスマ少年。モデルは実在の少年十字軍のリーダー・エティエンヌ。

ニコラ
騎士にあこがれる少年。エティエンヌの優しさを慕っており、真っ先に少年十字軍に入る決意を表明する。モデルは実在したドイツ少年十字軍のリーダー・ニコラス。

ルーク
明るく快活な兄貴分。十字軍についてきた動機は「家業をサボれるから」。

アンリ
泣き虫で気弱な少年。

クリスチャン
女性のような顔立ち、しゃべり方をする少年。イェルサレムへ向かう動機は、「"ある秘術"を求めて」とのこと。エティエンヌにただならぬ想いを抱いているようだが…?

ギヨーム
領主の息子。父親に「名誉を得るチャンス」とせっつかれて十字軍に入る。鼻もちならない性格の持ち主。

ピエール
ギヨームの腰ぎんちゃく。

レミー
かつて綺麗な顔立ちの少年だったが、ハンセン病によって皮膚がただれてしまい、包帯、仮面が外せなくなっている。十字軍に参加したのも「病を治す」ため。

リリアン(左)とロラン(右)
「女が二人の男性と関係を持った時に双子が生まれる」との迷信に惑わされた村民から責められ、自殺した母を持つ双子の少年たち。亡き母の汚名をそそぐために十字軍に参加する。

ギ―
元々はエティエンヌらの住む村を襲撃した盗賊団の一味。エティエンヌに命を救われたことをきっかけに十字軍に参加表明する、義理堅い少年。

ミカエル
少年十字軍をバックアップする教会から派遣された、たどたどしい言葉遣いの修道士の少年。クリスチャンを警戒している。

ユーゴ
少年十字軍を金銭的にバックアップするテンプル騎士団の男。豪胆で頼もしい男のように見えるが、ニコラに「異教徒は悪魔」と吹聴するなどなかなかに危なっかしい。

中世のドロリとした闇

暗黒時代とも呼ばれる中世ヨーロッパ。この時代のカースト上位層本位なめちゃくちゃなモラルにはあきれるばかりですが、魔女狩りや十字軍、迷信に興味があるとついついページを繰る手が止まらなくなる、非常に魅力的な作品です。

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