かつて「悪童」と呼ばれたサッカー選手たちの成長の軌跡
有名サッカー選手の中には、若い頃問題行動が目立ち、「悪童」と呼ばれた選手が少なくない。彼らは様々な経験を経て大人へと成長していった。ここでは「悪童」と呼ばれたサッカー選手の成長の軌跡を振り返り、大人になるためのヒントを探してみたい。
サッカー界には、そのあふれ出るパワーを間違った方向に向けてしまったことから、「悪童」と呼ばれる選手が何人もいます。しかし、彼らもさまざまな経験を経て、少しずつ大人へと変わっていきます。そんな彼らから、大人になるためのヒントを学んでみたいと思います。
<CASE1> デビット・ベッカムの場合
出典: www.geocities.jp
ベッカムの「悪童伝説」
1998年に行われたフランスW杯。イングランド代表として出場していた若きベッカムは、決勝トーナメントの1回戦、対アルゼンチン戦という重要な試合で、レッドカードによる一発退場を受けてしまった。それも、ファウルを受けた際に、相手への報復として足を引っ掛けるという軽率な行為によるもの。一人少なくなったイングランドは、アルゼンチンに敗れ敗退。ベッカムは戦犯として、多くの批判を浴びたのだった。
ベッカムが「大人になった瞬間」
上記のフランスW杯から4年。
日韓W杯出場を目指すイングランド代表で、当時の監督エリクソンは、
ベッカムをキャプテンに任命した。
その信頼に、彼はプレーで応えてみせる。
W杯最終予選の試合では、試合終了直前のロスタイムに、直接フリーキックによるゴールを決め、
そのゴールによって、イングランド代表は2002年のW杯出場を果たしたのだった。
そして迎えたW杯本戦。イングランドはベスト8でブラジルの前に惜しくも敗退。
その試合終了後、ベッカムがすぐに向かったのは、キーパーのシーマン選手のもとだった。
ミスともとれる内容で失点していたシーマンは、戦犯扱いされかねない状況だったが、
自分も似た経験をしていたベッカムは、いち早くそれを察知し、
彼のもとへ向かい、慰める言葉をかけたのだった。
ベッカムのキャプテンとしての振る舞いのおかげで、
シーマンは大きな批判を浴びることがなかった。
W杯出場を決めたベッカムのFK
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<CASE2> アントニオ・カッサーノの場合
カッサーノの「悪童伝説」
■監督が自分をスタメンから外した事に怒り、口論の末、試合中にも関わらず勝手に帰宅
■キャンプの紅白戦で、チームメイトの股をドリブルで抜いた後に「お前の股はいつも開いてる、お前の母親みたいにな」と侮辱
■無免許にも関わらずローマ市街を自動車で暴走。スピード違反で検挙される
■ゴールを決めたあと上半身裸になり何故かコーナーフラッグを蹴り破壊する
などなど、数知れず。
カッサーノが「大人になった瞬間」
カッサーノの素行が落ち着き始めたのは、結婚してからだった。
自身、カロリーナ夫人の存在が「落ち着きとバランス」を与えてくれると話す。
結婚後には、かつての監督に、過去の自分の振る舞いを詫びたという。
現在は、「チームが勝てるなら自分が試合に出なくてもいい」という発言までしている。
インテルの試合では、長友とも抜群のコンビネーションを見せている。
<CASE3> 柿谷曜一朗の場合
柿谷 17歳時のスーパーゴール
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柿谷曜一朗の「悪童伝説」
しかしその後、クラブでの練習にたびたび遅刻したり、
試合で交代させられると、チームが勝利しても輪に加わらないなど、
自分勝手な行動が目立ち始める。
天狗になっていると取られても仕方がない行動だった。
柿谷曜一朗が「大人になった瞬間」
そんな彼は、セレッソ大阪のクルピ監督から、
修行してこいというメッセージを込めて、J2の徳島にレンタルに出された。
移籍当初は変わらず自分勝手な行動が目立っていたが、
思い切って監督が副将に選ぶと、意識が変わり始める。
チームがどうしたら勝てるか、自分本位ではなく、チーム本位で考えプレーするようになった。
仲間のために相手を引きつけスペースを空ける、味方が奪われたボールを必死に取り返しにいく。
気付けばクルピ監督が求めていた理想的なプレーを彼はするようになっていた。
その後、活躍が認められセレッソに戻った彼は、今シーズン大爆発。
2ケタ以上のゴールを決めている。それも、試合終盤の逆転ゴールなど、
チームを救う重要なゴールが多い。それは決して偶然ではないと思う。
彼の日本代表入りのニュースは、間違いなく、近いうちに聞けるはずだ。
≪人が大人になる瞬間とは…≫
彼らの経験から見ると、人は誰かから信頼されたり、
守るべき人ができたときに、少しずつ、
人によっては一気に、大人へと成長するのかもしれません。
まだまだ大人になれない、もっと大人になりたい、
と思っている人は、規模は小さくても、
何かのリーダーなど、周りの人の信頼が必要な場所に、
積極的に挑戦するといいかもしれません。
また、近くに、もっと大人になってほしいと思う人がいる場合は、
その人を信頼してあげることが、近道なのかもしれません。
<※番外編> マリオ・バロテッリの場合
出典: www.goal.com