住めば都のコスモス荘(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『住めば都のコスモス荘』(すめばみやこのコスモスそう)とは、阿智太郎によるライトノベル。へっぽこヒーローと宇宙犯罪人たちの日常を描いたもので、1999年より電撃文庫から全6巻が発売された。漫画版も存在し、2003年にはufotableにより『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』のタイトルでアニメ化を果たす。
桜咲鈴雄は、銀河連邦警察のパワードスーツのテストを依頼され、宇宙犯罪人と戦うこととなる。彼らは実は全員ご近所さんで、互いの正体を知らぬまま良き隣人として交流してもいたのだった。

『住めば都のコスモス荘』の概要

『住めば都のコスモス荘』(すめばみやこのコスモスそう)とは、阿智太郎によるライトノベル。同作者による2作目の長編シリーズで、へっぽこヒーローと宇宙犯罪人たちの日常をほのぼのとしたコメディチックに描いている。
1999年より電撃文庫から全6巻が発売され、イラストを担当した矢上裕による漫画版も存在する。2003年にはufotableにより『住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー』のタイトルでアニメ化を果たした。

保父を目指す青年・桜咲鈴雄(さくらざき すずお)は、銀河連邦警察の次期正式採用パワードスーツ候補のテストを依頼される。成り行きからこれを引き受けることとなった鈴雄は、ライバル会社のパワードスーツを装備したネルロイドガールと競うようにしながら宇宙犯罪人の起こす事件を解決するようになる。
しかし実はネルロイドガールの正体は鈴雄と同じ専門学校に通う野菊朝香(のぎく あさか)であり、宇宙犯罪人たちも彼と同じコスモス荘に住む住人ばかりなのだった。彼らは互いの正体を知らないまま交流し、良き隣人となり、毎度のようにドタバタ騒ぎを繰り広げていく。

『住めば都のコスモス荘』のあらすじ・ストーリー

銀河連邦警察のコンペティション

ドッコイダーに変身した鈴雄(右)は、「宇宙犯罪人と戦ってほしい」とタンポポ(左)に頼まれて大いに戸惑う。

銀河連邦警察では、次期正式採用パワードスーツのコンペティションが行われていた。最終的な候補として残ったのは株式会社オタンコナスとエメラルドカンパニーのパワードスーツで、それぞれに優れた点があり甲乙つけがたいと判断される。そこで彼らは、実戦形式でこの2つのパワードスーツの性能を比較検証することを決定する。
そんな宇宙の果ての話など全く無縁の地球人である桜咲鈴雄(さくらざき すずお)は、コスモス荘という古いアパートで一人暮らししながら保父を目指して専門学校に通う普通の青年だった。そんな彼の前に、タンポポ・トコドッコ・ポポールと名乗る少女が現れ、「当社のコンペティションのために協力してほしい」と言い出す。同じタイミングでDr.マロンフラワーなる人物が操る巨大なロボットが出現し、鈴雄はタンポポに言われるまま謎のパワードスーツを身に着ける。

パワードスーツによって「ドッコイダー」へと変身した鈴雄は、そのパワーに振り回されながらもロボットに立ち向かい、大して役には立たなかったが途中で駆け付けたネルロイドガールというスーパーヒロインによってロボットは撃破される。
実はこの大騒動こそは銀河連邦警察の次期正式採用パワードスーツを決める最終コンペティションであり、無罪放免をチラつかせた宇宙犯罪人たちを「特定地域でのみ暴れていい」という条件付きで地球に放ち、これを株式会社オタンコナスとエメラルドカンパニーのパワードスーツを装着した地球人たちに立ち向かわせるというのがその内容だった。

コスモス荘に集う仲間たち

その後も宇宙生物を操る女傑ヒヤシンス、ゴーレムを駆使する幼き女帝エーデルワイスといった新手の宇宙犯罪人が次々と街に出現。頼まれた以上は嫌とは言えない鈴雄は、サポートのために桜咲小鈴(さくらざき こすず)という名で"鈴雄の妹"として一緒に暮らすようになったタンポポと共に、ネルロイドガールに負けじと宇宙犯罪人たちに立ち向かっていく。
しかし実はそのネルロイドガールの正体は鈴雄の専門学校の友人にして同じコスモス荘に暮らす野菊朝香(のぎく あさか)なのだった。宇宙犯罪人の面々もコスモス荘の住人だったが、彼らは互いの正体には全く気づかず、良き隣人としての交流を続ける。

鈴雄は気弱な性格で、誰かを守るために立ち塞がる程度ならともかく自ら戦いに飛び込むことなど普通ならとてもできなかったが、ドッコイダーに搭載された熱血α波発生装置によって変身中は勇猛な気質を掻き立てられていた。運動音痴な鈴雄だったが、タンポポのサポートによってドッコイダーの機能を少しずつ理解し、徐々に戦果を挙げていく。
一方、誠実で優しい鈴雄は日常的な交流を重ねると魅力が分かるタイプの青年で、喧嘩っ早い朝香、Dr.マロンフラワーのサポートアンドロイドである栗之華栗華(くりのはな くりか)、家族も仲間も失って孤独の中にいたエーデルワイスこと梅木瑠璃(うめき るり)といった女性たちから想いを寄せられるようになる。鈴雄自身は女性関係にはとにかく鈍く、自分が好意を寄せられていることも知らないまま「朝香は怖いけど頼れる、栗華さんは清楚で優しい、瑠璃ちゃんはいつも一生懸命で微笑ましい」と着かず離れずの関係を続けていた。

ドッコイダーの凱旋

鈴雄のドッコイダーが成績を上げ始めたこと、ネルロイドガールが圧倒的な戦闘力を持ちながらも周囲の被害を顧みないこと、宇宙犯罪人たちが「ドッコイダーとネルロイドガールの正体を突き止める」という無罪放免の条件を突き止めることより地球での生活を謳歌し始めたことなどでコンペティションはなかなか進まず、業を煮やした銀河連邦警察は、新たな宇宙犯罪人を送り込む。
スイートピーという名のその宇宙犯罪人は、「頼まれた以上は派手にやってやろう」、「この自分を利用するということの意味を銀河連邦警察や地球の人間にも教えてやろう」と当初の想定を遥かに超える被害を生み出す。鈴雄はドッコイダーになって立ち向かうが、熱血α波発生装置を破壊されて戦う勇気を失い、戦場から逃走。ネルロイドガールも破れ、「新人が生意気だ」、「世話になっている地球の人間を傷つけさせてたまるか」と応戦したDr.マロンフラワーたちも返り討ちにされる。

それでも「このまま地球を好きにされてたまるか」とネルロイドガールとDr.マロンフラワーたちが立ち上がる中、鈴雄もなけなしの勇気を振り絞る。"小鈴と瑠璃の友人"という形で交流のあった小学生たちに、熱血α波発生装置の効果中に流れていた「ドッコダーの主題歌」を熱唱してもらうことで必死に己を奮い立たせ、スイートピーに挑んだのである。鈴雄たちの奮起によりスイートピーは倒され、地球の危機は去るのだった。
しかしこの事件は、銀河連邦警察に今のやり方でのコンペティションを見直させる結果となり、タンポポやDr.マロンフラワーは地球を去ることとなる。良き隣人たちがいなくなったことを寂しがる鈴雄と朝香だったが、そんな彼らの前にDr.マロンフラワー、ヒヤシンス、エーデルワイスが再び現れる。彼らは「今度は本当に脱獄してきた」と得意げに語り、自分たちと一緒に来ないかと鈴雄と朝香を誘う。直後にタンポポも地球を来訪し、「Dr.マロンフラワーたちを捕まえるために、もう1度ドッコイダーとネルロイドガールになってほしい」と2人に依頼。鈴雄が戸惑う中、朝香は「どっちを選ぶにしてもお前についていく」と快活に笑い、鈴雄にキスするのだった。

『住めば都のコスモス荘』の登場人物・キャラクター

桜咲鈴雄(さくらざき すずお)/ドッコイダー

CV:浪川大輔

保父を目指して専門学校に通う20歳の青年。住居はコスモス荘の5号室。
優しくて誠実、気弱で運動音痴でおよそ戦闘には向いていないが、「だからこそ当社のパワードスーツのテスターとして最適である」との判断から株式会社オタンコナス製のパワードスーツ・ドッコイダーを着て戦うこととなる。交流を重ねると良さが分かってくるタイプの魅力があり、朝香、栗華、瑠璃など複数の女性から好意を寄せられている。

タンポポ・トコドッコ・ポポール/桜咲小鈴(さくらざき こすず)

CV:石毛佐和

株式会社オタンコナスの社員。地球人によく似た外見の宇宙人で、見た目は小学生くらいにしか見えないが地球人換算で25歳。本名はタンポポ・トコドッコ・ポポールで、鈴雄のサポートのために彼と同居するようになってからは、"鈴雄の妹の桜咲小鈴”を名乗っている。
普段はよくできた妹として献身的に兄を支えるが、社会人として必要な場面では譲らず、あれこれと鈴雄を説得しては戦闘に向かわせている。一緒に暮らしているだけに鈴雄の人柄の良さもよく理解しており、異性としても多少意識している。

野菊朝香(のぎく あさか)/ネルロイドガール

CV:清水香里

鈴雄と同じ専門学校に通い、保母を目指して勉強している娘。住居はコスモス荘の4号室。缶ビールが好きで、自室の冷蔵庫だけではスペースが足らず、鈴雄の部屋の冷蔵庫にも大量に入れている。これを飲む関係で、たびたび鈴雄の部屋を訪れている。
高校時代はかなり有名なヤンキーだったらしく、腕っ節が強い上に喧嘩っ早い。エメラルドカンパニーのパワードスーツのテスターで、ネルロイドガールの正体でもあるが、正体について明確に描かれたのは漫画版のみである。

鈴雄のことはかなり気に入っているらしく、彼が自分以外の女性を頼ると不機嫌な様子を見せる。

Dr.マロンフラワー/栗之華栗三郎(くりのはな くりざぶろう)

CV:緒方賢一

かつて宇宙各地で大暴れしたA級宇宙犯罪人。Dr.マロンフラワーが本名で、栗之華栗三郎は地球で暮らすための偽名である。住居はコスモス荘の1号室。
いわゆるマッドサイエンティストで、様々なロボット兵器を作ってドッコイダーやネルロイドガールと激しく戦った。「2人の正体を暴けば無罪放免を与える」という銀河連邦警察いら言い渡された条件にもっとも忠実ではあったが、地球の居心地がいいことに加えて競争相手であるはずのヒヤシンスとエーデルワイスが積極的に動かないため、次第に焦る必要を感じなくなっていった。

クリーカ0C5型/栗之華栗華(くりのはな くりか)

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