ナニワ金融道(ナニ金)のネタバレ解説・考察まとめ

『ナニワ金融道』とは、青木雄二によって1990年から『モーニング』(講談社)にて連載された漫画、および漫画を原作としたドラマ作品である。2005年と2022年には映画化もされている。商人の街大阪を舞台として、主人公・灰原達之が消費者金融会社「帝国金融」に入社し、様々な事情から債務者になって行く人々と関わりながら、消費者金融営業マンとして成長していく作品。作中で描かれた挫折や良心の葛藤がとてもリアル。

『ナニワ金融道』の概要

『ナニワ金融道』とは、青木雄二によって1990年より『モーニング』(講談社)にて連載された漫画、および漫画を原作としたドラマ作品である。
1992年には講談社漫画賞を受賞のほか、1998年には手塚治虫文化賞も受賞している人気漫画。
1996年からフジテレビによりドラマ化されスペシャルドラマとして放送された。2005年と2022年には映画化もされている。

舞台は商人の街大阪。主人公の灰原達之は勤めていた印刷会社が倒産してしまい、転職先として消費者金融会社の面接を受けるが不採用になってしまう。
不採用になった理由も教えてもらえず、釈然としないまま他の会社を受けるがことごとく不採用になり、ここを最後にしよう思い訪れた「帝国金融」に入社することになる。
入社した会社には先輩社員・桑田澄男を筆頭に、関西弁でアクの強い社員達が揃っており、桑田と一緒に行動をしながら仕事を覚えていく事になる。

消費者金融会社(マチ金)には様々な事情で借金をする人々が登場する。零細運送会社社長の借金を返すために内緒でソープランドに勤める社長の恋人、浮気が原因で作った借金を返す為にバイトを始める中年サラリーマン、欲に目がくらみ先物取引に手を出し借金を返せなくなった小学校の校長先生などだ。
主人公は債務者とのやり取りを通じて、お金が無い事で起こる世の中の不公平さや理不尽さを目の当たりにする。その度に何度も挫折や自分の良心との葛藤を経験しながらも、消費者金融営業マンとして成長していく姿を描いた作品である。

『ナニワ金融道』のあらすじ・ストーリー

帝国金融に就職

帝国金融に入社する事になった主人公灰原

大阪にある小さな印刷会社で働いている主人公の灰原達之(はいばらたつゆき)は、資金繰りに苦しんでいる印刷会社の社長に度々代わりに会社の運転資金を借りて来るよう頼まれている。その場しのぎで自転車操業の社長は、結局は手形の不渡り(決められた期日までに支払いができない事)を出してしまい、会社は倒産して社長は夜逃げをしてしまう。

新しい転職先として消費者金融会社(マチ金)を選び面接に行くが、事前に勉強をして筆記試験で満点を取ったにもかかわらず不採用になってしまう。以前勤めていた印刷会社で社長の代わりに借金をしていた履歴が残っていたのだ。
そのことが原因で不採用になったことを知らない灰原は、理由を聞くが教えてもらえず釈然としないまま他の会社を探すが、ことごとく不採用になってしまう。
これを最後にしようと思い帝国金融に面接に行くと、そこは怒鳴り声の聞こえるガラの悪い消費者金融会社だった。
そこでたまたま追い込みの現場(借金の取り立てをすること)に同行することになり、最終的には自分で決めて帝国金融の社員として働くことになる。

初仕事で抱いた葛藤

仕事を始めてまず最初に「建築会社名簿」を渡されて、片っ端から営業電話を掛けるよう命令される。初めは断られてばかりだったが、高橋という見込み顧客を初日からつかむことができた。高橋は零細の土木会社を経営していたが、資金難のため帝国金融から300万円の融資を受ける事になり、仕方なく保証人として公務員である娘の高橋正子を付けて融資契約を結ぶ。
その後高橋が飛んだ(借金を返せなくなる事)ため先輩社員・桑田澄男(くわたすみお)とともに自宅に取り立てに行くが、家族で夜逃げをしたために高橋はおらず、他の債権者たちも集まっていた。

正子の勤務先で上司から夜逃げ先を聞き出し取り立てにいくが、債務者である高橋本人は既に弁済力が無く、娘の正子から取り立てを行う事になる。
桑田の入れ知恵で、公務員である正子は信用力があるため他の消費者金融から保険証の生年月日を偽造してお金を借り、帝国金融の借金を返済させてしまう。灰原はその際に他の債務者の債権を代わりに高橋から取り立てる事によって、給料以外の副収入を受け取った。

以前桑田から「この仕事は副収入が多い」と聞いていたが、高橋の借金が自分の給料以外の副収入になったことに心を痛める灰原。良心の呵責を感じていた灰原は最終的に「罪滅ぼしをさせてくれないか」と正子に言い、自己破産の手続きを教えて借金をすべてチャラにさせてしまうのだった。

『ナニワ金融道』の登場人物・キャラクター

灰原 達之(はいばら たつゆき)(演:中居正広(ドラマ)/杉浦太陽(2005年映画)/高杉真宙(2022年映画))

この漫画の主人公、もとは小さな印刷会社で働いていたが、その会社では資金繰りが苦しく社長から度々代わりにサラ金でお金を借りて来るようにお願いされていた。
結局会社が倒産をして社長は夜逃げをしたために、新しい就職先として消費者金融会社に面接にいく事になるが、社長の代わりに借金を繰り返していたことが原因でどの会社も不採用になってしまう。
不採用になった理由も教えてもらえないまま、ここで最後にしようと思い「帝国金融」に面接にいく事になる。その場で先輩社員の桑田とともに借金の取り立ての現場を体験をして、最後は自分で決めて帝国金融に入社することになる。
その晩入社祝いとして桑田と飲み屋のクラブで「同じやるなら大阪一の営業マンを目指そうや」と誓いを立てる。

「帝国金融」はガラの悪い消費者金融で、その中でも最もガラの悪い桑田に付いて仕事を教えてもらう事になるが、本来好青年で性格の優しい灰原は度々債務者に情けをかけて下手を打つ(へまをする)事になる。その度に桑田に叱られて非情になるように注意されるがなり切れず、非常にならなくても営業成績を上げれるやり方はないかと摸索していく。
物語の中でマルチ商法でベンチャービジネスの債務者を応援したいと言い、帝国金融社長の金畑の逆鱗に触れてこっぴどく叱られる場面も出てくる。
漫画の登場人物は大阪を舞台としているため皆関西弁だが灰原は標準語を話す為、余計に読者に消費者金融業界に擦れていない好青年の印象を強く抱かせている。

桑田 澄男(くわた すみお)(演:小林薫(ドラマ)/杉本哲太(2005年映画)/加藤雅也(2022年映画))

帝国金融の先輩社員で灰原の教育係。
ベテラン社員で債務者には常に非情になる事ができ、非情になれない灰原を叱る場面が頻繁に出てくる。
大雑把な性格に見えて実は、毎月銀行に10万円貯金をして将来の独立の為に備えているという堅実で抜け目ない一面も見せている。
灰原の初めての顧客である高橋の取り立てをする際にも、他の債権者の債権を回収する代わりに副収入を貰うというベテラン社員ならではの金融業界の裏の稼ぎ方も熟知している。
債務者に対して温情をかける場面は一度もないが、灰原からの信頼は厚く仕事では大事な場面で度々アドバイスをしている。
灰原とコンビを組んで殆ど二人で行動している漫画の中で中心的な人物。

市村 朱美(いちむら あけみ)(演:池脇千鶴(ドラマ))

灰原の恋人となる女性。帝国金融が所有しているビルのテナントに入っている広告代理店で働いていて、偶然が重なり灰原がティッシュ配りのアルバイトを始める事になり出会う。
灰原と知り合う前に暴力団の恋人と付き合っていたが、その時に恋人に合わせるために全身に刺青を入れた過去を持つ女性。
容姿端麗で頭も良く、灰原の顧客のつながりでマルチ商法の仕事をアルバイト感覚ですることになるが、ものすごい勢いで売り上げを上げていく。
肝が据わっていて度胸もあり、灰原の敵対している消費者金融会社との戦いで暴力団に拉致されるが、無傷のまま自力で脱出した。
灰原と一緒に帝国金融の所有しているビルの最上階で同棲をしている。

金畑 金三(かねはた きんぞう)/金子 高利(かねこ たかとし)(演:緒形拳(ドラマ)/津川雅彦(2005年映画)/宇崎竜童(2022年映画))

ドラマ版および2005年の映画においては、名前が金子 高利(かねこ たかとし)に変更されている。
帝国金融の社長で海千山千の大ベテラン。金融業界や他の業界にも広い人脈を持つ人物。
普段は社員のしている事にあまり口出しをしないが、大事な場面では的確な指示を出し社員のコントロールが上手く信頼も厚い。
「この仕事は焼き畑農業と一緒」や「この仕事は常に新規開が必要」などの信念を持ち、顧客との付き合いは最後は借金の取り立てで終わると考えている。
灰原がベンチャービジネスの債務者に融資をして、金畑の考えに反対した時には灰原を一喝する場面も出てくる。

高山 和夫(たかやま かずお)(演:綿引勝彦(ドラマ)/赤井英和(2022年映画))

帝国金融の社員でナンバー2。
灰原が帝国金融に面接に来た時初めて会った人物。
社長である金畑の代わりに社員の舵取りを行っている、消費者金融業界の大ベテラン。

吉村 定雄(よしむら さだお)

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