テリトリーMの住人(テリM)のネタバレ解説・考察まとめ

『テリトリーMの住人』とは2017年より南塔子が『別冊マーガレット』で連載している漫画。親の離婚をきっかけに母の地元である銀鼠町(ぎんねずちょう)にやってきた高校1年生の瑛茉(えま)。引越し先のマンションには、目つきの悪い男子、人懐っこい年下男子、クール系美少女、ゆるふわ男子の個性豊かな同年代の男女4人がいた。恋愛、友情、それぞれの想いが交差する中、瑛茉の新しい生活が始まる。少女漫画らしい胸キュンシーンがたっぷり詰まった作品。恋愛・友情など、心温まるエピソードが盛り込まれた群像劇である。

『テリトリーMの住人』の概要

『テリトリーMの住人』とは2017年より南塔子が『別冊マーガレット』で連載している漫画。タイトルに含まれる「テリトリーM」の意味は、主人公の瑛茉(えま)たちが住むマンションや、彼女たちが集うお店の名前の頭文字「M」に由来している。『テリM』という略称で親しまれている。連載期間は2017年から2020年。2020年8月発売の『別冊マーガレット』2020年5月号 - 8月号では、裏話の描きおろしが掲載されている。
親の離婚をきっかけに母の地元である銀鼠町(ぎんねずちょう)にやってきた高校1年生の主人公、瑛茉(えま)。引越し先のマンションにて瑛茉は、郁磨(いくま)、宏紀(ひろき)、怜久(りく)、のえるの4人と出会う。郁磨に惹かれる瑛茉、のえるに片想いする郁磨、そんな郁磨の想いを知る怜久。個性豊かなご近所さんたちと共に、友情と恋愛が交差する5人の青春物語がここから始まる。
少女漫画らしい胸キュンシーンがたっぷり詰まった作品。恋愛・友情など、心温まるエピソードが盛り込まれた群像劇である。2022年に実施された20代向け転職メディア「じょぶおたく」を運営する株式会社LANYと、エンタメコンテンツの情報発信メディア「お前は笑うな」を運営する株式会社ロビンソン・クルーソーとの合同アンケート調査では、実写ドラマ化を希望する作品の1つとして『テリトリーMの住人』が選ばれた。

『テリトリーMの住人』のあらすじ・ストーリー

出会い篇

親の離婚をきっかけに母の地元である銀鼠町(ぎんねずちょう)にやってきた高校1年生の主人公、瑛茉(えま)。父親と離れて暮らすことになり傷心の瑛茉は、新しい学校でも同級生になかなか馴染めず、居場所のなさを感じていた。そんな折、ひょんなことから同じマンションに住むのえると仲良くなる。のえるには、郁磨、宏紀、怜久の3人の幼馴染がいた。
目つきが悪いものの根は優しい郁磨。クールでサバサバした性格ののえる。そんな2人に瑛茉も徐々に打ち解けていく。また、5人の中で唯一中学3年生と学年が違う宏紀だが、持ち前の人懐っこさで、瑛茉との距離を縮めていく。一方で、人一倍仲間意識が強い怜久は最初こそ突然現れた瑛茉のことをなかなか受け入れられない様子。ある時、怜久の女関係のトラブルに巻れてしまった瑛茉は、怜久と共に空き教室に閉じ込められることになる。その際に初めてしっかりと話した2人だったが、瑛茉のあまりにもはっきりとした性格に、敵対視するのも馬鹿らしくなった怜久。この事故をきっかけに徐々に瑛茉を受け入れていくことになる。「ここが自分のテリトリー」だと、徐々に新しい居場所が見つかった安心感を感じる瑛茉。個性豊かな5人が揃い、それぞれの物語がここから始まる。

走り出す恋心篇

実は幼い頃に一度出会っていた瑛茉と宏紀。幼き宏紀にとって、当時の瑛茉は天使のような存在だった。初めは自身の気持ちを自覚していなかった宏紀だが、再会を機に、瑛茉への恋心を確信する。一方の瑛茉は、昔から仲が良かった郁磨の母と自身の母との再会を機に、郁磨の自宅にお邪魔することになる。その際に、瑛茉の母が父のことを悪く言っているのを聞いて、悲しい顔をする瑛茉。父が大好きだった瑛茉は、母が悪口を言っていることが許せなかったのである。すると、そんな瑛茉に気付いた郁磨。「だからね、そんな風に自分を責めて苦しまなくていいんだよ?」と瑛茉に優しい言葉をかける。そんな郁磨の優しさに触れて、徐々に自身の郁磨に対する恋心を自覚するのであった。
瑛茉の様子にいち早く気付いた怜久。郁磨がずっとのえるに片想いしていることを知っている怜久は、瑛茉の恋を邪魔しようとする。怜久の様子から、のえると郁磨が両想いなのかと思い悩む瑛茉だったが、のえるは怜久のことが好きなことが判明し、自身の気持ちを諦めないことを決意。郁磨がのえるに告白し失恋したことをきっかけに、瑛茉は「考える暇もないくらい、私のことでいっぱいになればいい」と郁磨に猛アタックする。

瑛茉と郁磨の交際篇

瑛茉の強い気持ちが勝ち、付き合うことになった郁磨と瑛茉。郁磨自身ものえるに振られたことをきっかけに、瑛茉とは真剣に向き合って交際することを決意する。瑛茉を好きだった宏紀は、交際を知った当初はその事実が受け入れられない様子。特に郁磨がのえるのことを好きだと知っていただけに、なぜ瑛茉と交際するのかともやもやする。そのため宏紀は、2人とはしばらく距離を置くことにする。
一方ののえるも、郁磨と瑛茉が付き合い始めたことにどこかモヤモヤした気持ちを抱えている自分に気づく。怜久のことが好きなはずなのに、振った郁磨のことが気になる自分に戸惑うのえる。自身の気持ちを誤魔化すように、他の友達と遊んだり、郁磨と距離を置き始める。
瑛茉と郁磨の交際をきっかけに、5人の気持ちが動き出すのであった。

瑛茉の失恋篇

順調に交際を重ねているように思える瑛茉と郁磨だったが、宏紀を除く4人で出掛けたお祭りの際の出来事をきっかけに2人の関係も変化していく。お祭りの当日、体調が悪いのえるに気付き、2人で抜け出して帰った郁磨とのえる。郁磨にやましい気持ちはなく、ただのえるを心配してのことであった。しかし、のえるの様子の変化にいち早く気づくところなどから、郁磨がまだのえるに未練があることに気づく瑛茉。郁磨のことが好きだからこそ、少しの表情の変化や言葉でのえるへの想いが続いていることを知ってしまう。一方ののえるも、郁磨から告白されて以降、どこか郁磨のことが気になっている様子。
のえるは、自身の気持ちをはっきりさせるためにと、怜久に告白することを決意する。怜久と2人きりになったタイミングで自身の想いを口にするのえる。怜久はのえるのことを友達としてしか思っておらず、そのことはのえるも理解していた。一方ののえるも、告白したことにより怜久への気持ちが過去形になっていたことに気付く。
のえるが怜久に振られたことを知った瑛茉。瑛茉は、のえるが郁磨のことが気になっていることに気付く。どこか無理をして郁磨と瑛茉の関係を応援している様子ののえる。そんなのえるの姿を見た瑛茉は、「こまちゃんにふられて落ち込む櫛谷に笑っていてほしくて強引につきあいはじめた。最初は櫛谷のためっていう気持ちがたしかにあったはずなのに。いつの間にか自分のためだけになってた」と思う。(※櫛谷は郁磨の苗字)
郁磨とのえるが両想いになっていることに気づいた瑛茉は、郁磨と別れることを決意する。郁磨に自分の気持ちを伝えた瑛茉。100パーセント自分のことが好きな人でないと嫌だと、一見突き放すような言い方をしつつも、郁磨には瑛茉の気持ちが伝わった様子。こうして2人は別れることになる。

のえると郁磨の恋愛篇

瑛茉と別れた郁磨。のえるもその事実を知っていたものの、2人は瑛茉のことを気にしてなかなか交際に踏み込めない。2人が両思いであることに気付いている瑛茉は、度々2人が付き合ったのかと怜久に確認するも、一向に進展がないことにもどかしさを感じる。見かねた瑛茉はついにのえるに対して、自分はもう郁磨のことはなんとも思っていないこと(本当はまだ未練があったがのえるのことを思っての発言)、のえるが郁磨のことが好きなことにも気付いていることを伝える。そこで初めて、瑛茉がのえるの気持ちの変化に気づいて身を引いたことを理解したのえる。
瑛茉の後押しもあり、のえるは郁磨に告白することを決意する。これで上手くいくと思ったが、郁磨はのえるのことは好きであるものの、瑛茉と別れたばかりということもありのえると付き合うことはよくないと考え、のえるのことを振ってしまう。
郁磨の気持ちは理解できるものの、瑛茉が2人を思って身を引いたことを知っている怜久は、居ても立っても居られない様子。怜久からの後押しもあり、もう一度郁磨と話し合うことを決めたのえる。そこでようやく、郁磨ものえるのことをずっと好きだったと認め、2人は付き合うことになる。

怜久の初恋篇

一方で、失恋した瑛茉を一番はじめに宥めたのは、これまで犬猿の仲でもあった怜久であった。まだ郁磨のことが好きにも関わらず、郁磨とのえるを想って別れを決意した瑛茉に怜久も思うところがあった様子。悲しみに涙する瑛茉を見た怜久は、思わず瑛茉のことを抱きしめる。怜久は、瑛茉の失恋をきっかけに、自身が瑛茉に惹かれていることに気付くのだった。
瑛茉のことがずっと好きだった宏紀はもちろん、怜久の気持ちの変化を見逃さない。これまで恋愛に本気にならなかった怜久の初恋を応援したい気持ちは宏紀にもあったが、相手が瑛茉となると話は別。怜久には負けないと決意する。しかし宏紀は失恋した瑛茉を気遣う様子を見せつつも、焦って瑛茉にアプローチするのではなく、瑛茉に必要とされる男になりたいと、グッと我慢するのであった。
そんな中、ほぼ初恋に近い怜久は、瑛茉へのアプローチの仕方がわからない模様。むしろ、女子からの告白途中に遭遇した瑛茉を「こいつとつきあってる」と紹介したりと、身勝手な振る舞いに瑛茉を怒らせてばかりであった。そんな一方で、マイペースにアプローチを進める宏紀。瑛茉もいつの間にか宏紀の隣が心地よいと感じるようになっていた。どんどんと距離が近づく宏紀と瑛茉の様子にもどかしさを感じる怜久。自分なりに怜久がアプローチしてもまったく靡かない瑛茉に「おまえ俺の彼女になれよ」と俺様な告白をするも、冗談だと思われてしまう。一向にアプローチされていることにすら気づかない様子の瑛茉に、ついに怜久が真剣に告白する。「好きなんだ」「冗談と思ってるかもしれないけど、そうじゃない」真っ直ぐな怜久の気持ちはようやく瑛茉にも伝わる。しかし瑛茉は、怜久の告白を聞いて自身が宏紀のことを好きになっていることを確信し、怜久のことを振る。
瑛茉が宏紀に惹かれていることになんとなく気付いていた怜久。しかし瑛茉本人からはっきりと振られるとやはり失恋の悲しみが勝った様子で、涙を流しながら帰るのであった。こうして怜久の初恋は幕を閉じる。

瑛茉の新しい恋篇

怜久からの告白をきっかけに、自身の気持ちを確信した瑛茉。初めこそ宏紀の馴れ馴れしさを鬱陶しいとさえ思っていたが、瑛茉の味方としていつも優しく寄り添ってくれていた宏紀のことを、いつの間にか好きになっていたのであった。その事実に気付いてからは、宏紀にぐいぐいとアピールしていく。瑛茉からの突然のスキンシップに、初めこそ勘違いしないようにとグッと自制を保っていた宏紀。しかし長く片思いしていた相手からの好意的な態度についに宏紀も我慢ができなくなる。ある時、悩んでいる宏紀に対して、「宏紀が自分を嫌いになりそうだったとしても、私は好きだよ」と発言した瑛茉。まさかの「好き」の言葉に、思わず宏紀は瑛茉にキスをしてしまう。
すぐに自制を保てなかった自分に反省する宏紀。しかし、いい加減な気持ちではなかったことを伝えたい宏紀は翌朝、「テストが終わったら改めて伝えたいことがあるから、話をきいてほしい。」と改めて瑛茉に伝えるのであった。

瑛茉と宏紀のカップル篇

そして迎えたテスト最終日。初めて瑛茉と出会った公園で宏紀が告白する。「好きです。俺と付き合ってください」と真っ直ぐな気持ちを伝える宏紀。振られることを前提に考えていた宏紀だったが、瑛茉からの答えはもちろんイエス。まさか付き合えると思っていなかった宏紀は一瞬パニックに陥るものの、瑛茉の気持ちを聞き、ようやく2人はカップルとなるのであった。
その後も順調に交際を続ける2人。旅行に行ったり、お祭りに行ったりする中で、宏紀への好きの気持ちが積もっていく瑛茉。宏紀の仲間達からも、宏紀の長年の片思いが実ったことを祝福され、くすぐったさを感じるものの、幸せだと瑛茉は思うのであった。
宏紀との交際後、瑛茉の両親が再婚したりと波瀾万丈な出来事はありつつも、順調に宏紀との仲を深めていく瑛茉。そんな2人の様子を見た怜久は、瑛茉のことをいつの間にか「ひろくんの彼女」と認識している自分に気づく。(※ひろくん=宏紀)上手くいった2人を見ているうちに、怜久の瑛茉への思いはしっかりと吹っ切れていたのであった。

大学篇

その後、無事に高校を卒業し大学生になった4人。のえる、郁磨、怜久の幼馴染組は同じ国立大学に進学、瑛茉は3人とは離れ私立大学に進学する。交友関係があまり得意ではない瑛茉であったが、宏紀から誕生日にもらったピアスをお守りに、新しい友人たちとの関係を自分なりに作っていく。友人からの誘いをきっかけにバスケサークルに入った瑛茉は、バスケ部の宏紀と少し近づけたようで、離れていても繋がりを感じてうれしく思うのであった。
郁磨やのえるたちと学校こそ離れてしまったものの、瑛茉なりにこれまで作っていた壁をなくし、大学生活を楽しむことを決意する。その後、宏紀も大学に入学。大学こそ瑛茉とは違うものの、同じバスケサークルに入るなど、2人の交際は順調に進んでいく。
実る恋、実らない恋があるものの、5人はそれぞれ悩み、その中で幸せを見つけながら、「小さなテリトリー」から抜け出し、広い世界での新たな生活に向かうのであった。

『テリトリーMの住人』の登場人物・キャラクター

主要人物

奥西 瑛茉(おくにし えま)

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