ショートケーキケーキ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ショートケーキケーキ』とは、2015年より森下suuが集英社のマーガレットコミックス(2016年1月25日発売分)にて連載を開始した漫画作品。高校一年生の主人公、芹沢天(てん)が友達の下宿先で生活を始め、同じ下宿先の男子高校生との出会いをきっかけに恋に目覚め、成長していく物語。

『ショートケーキケーキ』の概要

『ショートケーキケーキ』とは、2015年より森下suuが集英社のマーガレット(2016年1月25日発売分)にて連載を開始した漫画作品である。森下suuは原作担当のマキロ・作画担当のなちやんによる漫画家ユニットである。2009年にユニットを結成し、同年の第57回NEWまんがゼミナールで『僕の星を君へ』が第1位期待賞を受賞。2010年に『ザ マーガレット』に掲載された『あのて このて』でデビューを果たした。

主人公の芹沢天が、あることをきっかけに親友の春野あげはと同じ下宿先に住み始めるところから物語はスタートする。天は下宿所で出会った水原理久からの告白を一度は断るが、理久の一途な優しさに触れていくうちに両想いになる。同じ下宿先のメンバーで天に片思いをしていた千秋の後押しもあり、天は理久に告白をし2人は付き合うことになる。理久は血の繋がらない兄と何年も険悪な関係が続いており、自身の出生に関して暗い過去を持っていた。天は、そんな理久を救うため下宿所のメンバーの笠寺千秋と協力して理久と兄を仲直りさせようと奮闘するが、育ってきた環境が違うことから2人の距離は次第に開いていき、理久から友人関係に戻ろうと言われ落ち込む。しかし、どんな関係であっても純粋に理久を救いたいという天の想いが実り最終的には理久と兄を仲直りさせることが出来るのであった。家族の問題が解決し、天と理久は改めて気持ちを確かめ合い恋人同士に戻る。2人の恋愛模様だけでなく、家族の確執という大きなテーマに真剣に向き合うキャラクター達の姿が丁寧に描かれている恋愛&成長ストーリー。

『ショートケーキケーキ』のあらすじ・ストーリー

理久・千秋との出会い

主人公の芹沢天は、猫千谷高校の一年生。毎日バスで片道2時間かけて学校へ通っており、放課後に友達と過ごす時間を充分に取れないことを不便だと感じていた。ある日、親友の春野あげはの住む星野下宿所へこっそり泊まることになった天は、そこで同じ下宿生の笠寺千秋と出会う。翌日あげはに一緒に住もうと誘われるも決心がつかないままの天であったが、千秋の「乗りかけた船にはためらわず乗ってしまえ」という言葉に後押しされて星野下宿所への入所を決意するのであった。
下宿所へ泊まった翌朝、もう1人の下宿生である水原理久と出会っていた天。初対面からスキンシップが激しい理久に天はあまりいい印象を持たなかった。理久は普段から女の子に優しく誰にでも「可愛い」と言っており、それゆえかなりモテるようであったが告白される度に断っているようであった。

理久からの告白

下宿してしばらく経った頃、いつものように理久が女の子を振っている場面に遭遇した天は、理久の思わせぶりな態度に思わず物申してしまう。理久は、自分が本当に好きな人とでないと付き合えないと言い、それを聞いた天は、下宿に住むという事は自分と価値観の異なる人たちと一緒に生活することなのだと考えるのであった。対して理久は、率直に意見をしてくれる天がほかの女の子とは違うと感じ、ある日何気なく天に褒めてもらったことをきっかけに天のことを特別な女の子として意識するようになる。天に対してだけほかの女の子と同じ扱いが出来ないことに焦る理久であったが、ある日、天・あげは・理久・千秋の4人で遊びに出掛けた際にバスの中で千秋に天のことが好きだと打ち明ける。眠っていると思っていた天がその会話を聞いていて、理久に私のことが好きなのかと問いただす。天は、理久がいつもの調子でほかの女の子に対するのと同じように「好き」と言っているのだと勘違いしていたのだが、そうではなく本気だと気づき、その場で「ごめん」と断るのであった。

ある日、天と理久・千秋とあげはの4人は近くの神社に出かけることになった。そこで千秋から天のことが好きなのかと問われた理久は、そうだと答え流のであった。帰りのバスの車内でもそのことについて理久と千秋が話していると、寝ていると思っていた天が起きており、理久に自分のことが好きなのかと問う。理久に好きだと言われた天は、いつも他の女の子に

謎の男・水原鈴との出会い

理久から告白された日、天はみんなで遊びに行った神社の洞窟で黙々と石を積む男に出会っていた。

その男は理久を見るやいなや理久に暴言を吐き、天に向かって「ブス」と叫んで去っていった。

後日、その男に自分の女になれと迫られた天。
彼は水原鈴といい、理久のことを嫌悪している彼は理久の好きな相手である天を自分のものにしてやろうと考えていたのだった。
鈴は天に大量の花束を送りつけたり、やたらと天にしつこく付きまとう。

後日改めて交際を迫ってきた鈴を振るが、なかなか諦めない鈴に対し、
その場にいた千秋は天を助けるため思わず天は自分と付き合っているのだと嘘をついてしまうのであった。

気持ちの変化

鈴を諦めさせるために千秋と付き合っていることになった天は、下宿生のみんなにその事を打ち明ける。
理久は、例え嘘だとしても2人のことをどういう風に見れば良いのかわからずモヤモヤしてしまう。

水原兄弟の事情を深く知っていそうな下宿長の星野蘭から理久を振った理由を問われた天。
また、理久の気持ちを知っている千秋からも同じような質問をされ困っていると、話を聞いていた理久が現れて気まずい雰囲気になる。
理久は千秋に対しおせっかいだと怒るのであった。

しかし、千秋のおせっかいにより理久がまだ自分のことを好きでいることを知った天は、少しだけ理久のことを少し意識するようになっていた。

ある日、夕食の席で雷による停電が起こり怖がっている天を、理久はさりげなく気遣う。
理久の優しさに触れて天はさらに理久のことを意識するのであった。
そして、2人で懐中電灯の電池を取りに行った時、理久は思わず天にキスをしてしまう。
キスされた事により、本格的に理久のことを意識し始める天。
恋愛に疎い天は、あの時なぜ理久がキスしてきたのか理由が分からずに困惑していた。

鈴は相変わらず天に鬱陶しい態度で接してくるが、その都度千秋が天のことを助ける。

一方、千秋はいつの間にか天のことが好きになっていた。

天への気持ちに気づいた千秋は一度天に告白しかけるが、天はそれが告白だと気付かない。
代わりに千秋は自分がある人に片思い中だと打ち明け、そして天は千秋のことを応援すると言ってしまう。

その後千秋は、天が好きだということを理久にも打ち明ける。

夏休み、天・理久・千秋の3人は海へ遊びに行き、そこで天は改めて理久のことが好きになっていると自覚する。
その後実家に帰省した後もずっと理久の事を考えていた天は、理久に早く会いたくて下宿所へ戻る日程を前倒ししてバスで戻るのであった。
下宿へ戻ってきた天は、恥ずかしくて理久の顔をまともに見ることが出来ない。
理久の事が好きだが、同じ下宿に住んでいるので他の下宿生達に気を遣わせてしまう事を恐れ、なかなか行動にうつせずにいる。

千秋は、自分の好きな人には別に好きな人がいるが、諦められないため頑張りたいと天に打ち明け、天は遠足のとき千秋と一緒に千秋の片思い相手へのお土産を選ぶのであった。

その後、理久の通う高校の体育祭をこっそり見に行った天と千秋。

天が千秋に「理久の事が好きだ」と打ち明けるが、天の事が好きな千秋は思わず天にキスをしてしまう。
千秋の好きな相手が自分だと気づいた天は、その場で千秋のことを振るが、
今後下宿内で千秋とどういう風に付き合っていけばよいか分からず、思い悩むあまりやつれてしまう。

そんな中天は思い切って理久を買い物へ誘い、2人は初めてのデートへ行く。
はっきりと理久に好きだと伝えていないこともあり、お互いがお互いの気持ちに答えを見出せない2人を見かねて、
千秋は「天が自分の恋愛を成就させようとするのは自然な事」だと天を勇気づける。

千秋のおかげで元気を取り戻した天は、神社で理久に好きだと告白する。
そして、最初理久に告白された際に断ってしまった事で理久を傷つけてしまったので、
今度は理久が自分に振り向いてもらえるように頑張るから待っていてほしいと伝えるのであった。
天は、あげはの協力を得てキレイになろうと努力し始める。

学校の友人たちからアドバイスももらい、
どうすれば理久に好きになってもらえるかを必死に考え試行錯誤をする天。
理久と一緒に登校するため、委員会の仕事も始めるのであった。

理久の言動から、もしかすると理久も自分のことを好きでいてくれているのではと感じた天であったが、
一度理久からの告白を断っている手前、なかなか信じられずにいる。

そんな中、理久のストーカーをしている女の子から
「水原くん、あなたの事好きじゃないですか」と言われたことをきっかけに、
理久が何度も天の事を好きだというサインを出していたことに気付く。

しかし、理久から直接好きだと言われたわけではないので浮かれてはいけないと思い直し、
引き続き理久に振り向いてもらえるよう頑張るのであった。
その頃千秋は、理久を呼び出し体育祭で天にキスしてフラれたことを告白。
「殴っていいよ」と言う千秋を、理久は殴れなかった。

そして季節が変わる頃、天は再び神社で理久に告白をする。
天の告白に対し、理久は「あの時からずっと好きだよ」と答えたのであった。

付き合うことになった2人は下宿長の蘭に報告。

蘭は、普通の下宿生同士として過ごすことを条件に2人の交際を認めるのであった。
そして、天にだけこっそりと「理久を分かってやってくれ」と伝えた。
嘘をつくのが苦手な天は、下宿生たちに理久と付き合っていることを隠すのに四苦八苦する。

クリスマスイブに久しぶりに恋人同士として過ごせることになった天は、その日が楽しみで仕方なかった。
そして、「遠いところに行きたい」と言う理久を連れて、天の地元である竜乃原へ行くのであった。

天の実家へ行き、母と兄に理久を紹介した後2人は天の部屋へ。

天は「私の事をもっと知って欲しかった。だからここに来た」と言い、
ずっと気になっていた鈴との関係に踏み込んではいけないと思いつつも、
「理久の事ももっと知りたい」と言うのであった。

「俺は冷たい人間だから優しくできる」
「俺のことずっと好きでいてよ」
と言う理久。

天は、時折理久が見せる翳った表情を愛しいと思い、
もう少し理久の影に踏み込みたいと思うのであった。
バイト先の黒木商店で鈴と白岡に会った天。

理久と鈴の関係を聞こうとするが、何と聞いていいのか分からず困ってしまう。
その様子を察した白岡から「知りたきゃ俺が教えますよ」と言われ連絡先を渡された天。

天は理久の事を何か知れるのでは、と貰った連絡先を握りしめるのであった。

理久の過去

大晦日、理久は蘭と2人で下宿所で年越しを過ごす事になっていたが、
蘭は同級生の集まりに呼ばれ、「すぐ戻る」と言って飛び出していった。

ひとりぼっちの理久の元に、一度は実家へ戻ろうとしていた天が息を切らしながら帰ってきた。
蘭は朝まで戻ってくる気配がなく、2人きりで下宿所で年越しを迎えることに。

年越しの瞬間、「(家に)帰らないんじゃなくて帰れない」と話す理久に
天は「私がずっとそばにいる」と伝える。

理久の力になりたいと思った天は、
意を決して白岡から話を聞くことに。

白岡からは彼氏と一緒に来るよう言われ、
付き合っているフリをしてもらっていた千秋に同行してもらい、白岡に会いに行くことになった。
喫茶店で白岡と会う天と千秋。

白岡は、天と千秋が本当は付き合っていない事に気付いていた。

天たちは話を聞こうとするが、白岡は理久の事を知る代わりに交換条件としてある林の剪定をするよう2人に言う。
そして、そこで何を見ても絶対に木を切り続けるよう言いつけるのであった。

翌日、言われた通りに林の剪定をする天と千秋。

すると、そこへ喪服姿の理久が墓参りにやって来た。
程なくして鈴と白岡もやってきて、鈴と理久はまた言い争いを始める。

お墓は、鈴と理久の両親の墓であった。

その様子をずっと見ていた天と千秋は、
想像以上に根深そうな理久の問題に直面し、
これまで理久が笑顔の鎧を纏ってずっと何かと戦っていたのだと知った。

そして、理久に心から笑ってほしいという気持ちから
2人で理久の問題に向き合う決意をするのであった。

後日改めて白岡と会い、
墓地での出来事を詳しく聞きたいと言う天と千秋。

白岡は理久と鈴の幼少期の写真を見せ、
2人に何か違和感はないかと問う。

理久と鈴は全く似ていなく、白岡は
2人は全く血の繋がっていない兄弟であることを告げる。

そして、「2人の長い兄弟ゲンカを止めてくれませんか」と天たちに頼むのであった。
天は白岡に、理久と鈴が仲が悪い理由を尋ねる。

水原家の実子は鈴であり、理久は捨てられた子供だった。
鈴の母、真幌は39歳の時に結婚し長い不妊治療の末やっと鈴を授かった。

真幌は自宅でクラフト教室をやっており、真幌の出産とほぼ同時期に
そこの生徒だったあやめも高校生にして人知れず子供を出産。

あやめは真幌の出産を知らず、
産まれた子が男の子だったため水原家の跡取りとして育ててもらえるのではないかと思い
クラフト教室にその男の赤ちゃんを置いていくのであった。それが理久であった。

そのうちあやめが赤ちゃんを迎えにくるだろうと思い
しばらくは鈴と一緒に理久を育てていた真幌だが、
結局あやめは現れず、理久と養子縁組し自分の子供として育てることにしたのだった。
鈴と理久が小学生になった頃、
白岡は2人の送迎係として水原家に雇われることになった。

理久はその頃から自分が水原家の本当の子供でない事を知っていたが、
鈴とは本当の兄弟以上の絆で結ばれていた。

理久より少し早く産まれた鈴は、理久の兄として習い事や勉強を一所懸命がんばるが、
努力しなくても鈴より何でも上手く出来る理久にライバル意識を燃やすようになる。

そしてある日、
祖父の部屋の前で何かを聞いた鈴は理久に向かって
「お前なんかゴミみたいに捨てられたくせに」と言ってしまうのであった。

そして2人が仲直りをしないうちに、両親が事故で亡くなった。
葬儀の日に水原家を訪れたあやめを鈴は追い返すが、実の母親が会いに来たことを知った理久は、
引き止める鈴の手を振り払い母親の後を追う。

結局あやめと会う事はできなかったが、
この件をきっかけに理久は鈴から家を追い出されてしまったのだ。
鈴に水原家を追い出された理久は、しばらくは白岡の家で暮らし、
高校進学を機に星野下宿所に入所する事になったのであった。

これまでの経緯を白岡から聞かされた2人は、
それぞれに理久のために出来る事を考える。

天は千秋と共に理久の実の母親を探すことにした。

少ない情報の中理久が産まれた産院を突き止めた天は早速その産院へ行ってみることに。
途中で鈴と白岡に会い、天は鈴に「お前には理久を開放する事は無理」だと言われる。

また、鈴に部外者だと言われた天は、自分が理久の心のどのあたりにいるのだろうかと不安になる。

理久の心の一番深いところにいるのはおそらく鈴であり、
部外者である自分に一体何が出来るのか悩むのであった。

実姉の登場

そろそろ新学期を迎えようとする頃、下宿所に新しいメンバーの皆谷琉が加わった。
琉は「紹介したい人がいる」と言ってある女性を連れて来る。

その女性は理久の実の姉、藤吉蛍といった。

自分に血の繋がった姉がいることを知らなかった理久は動揺するが、
蛍は「ずっと会いたかった」と言い、理久に母親に会ってほしいと伝える。

蘭と理久・蛍・琉の4人で別室で話し合う事になったが、
そこでもまた天は自分は部外者である事を痛感するのであった。

下宿所に白岡が駆けつけ、
理久は水原家の人間だから行かせられないと蛍を突き放す。

白岡は理久を自分の家に連れ戻そうとするが、理久は
これ以上白岡には迷惑をかけられないと一度は拒む。

しかし、白岡の
「お前のこと弟ぐらいには思ってんだよ」という言葉に説得され、
しばらく下宿所を出て白岡の家に住む事を決意した。
後日、天は鈴に会いに行き理久を連れ戻すよう説得をするが、
鈴は自分にはもう無関係だと言うばかりで埓があかない。

白岡に合鍵を渡され理久に会いに行った天。

理久は、優しい家族がいて幸せに育ってきた天には
自分の暗い過去を絶対に知られたくなかったと言い、悲しげに笑う。

天は、理久の言葉にショックを受けながらも
これからも理久のために自分に出来る事を探し続けると泣きながら伝えるのであった。
その後千秋の強引な誘いにより、一晩千秋の実家に泊まることになった理久。

母親に会いたいかと千秋に問われて、
白岡を裏切る事は出来ないと言うが、それを聞いた千秋は号泣。

理久の本当の気持ちを大事にしてほしいと訴えるのであった。
千秋に勇気づけられた理久は、母親に会うことを決意。

そして、全てをまっさらにするまで友達に戻ろうと天に言うのであった。
天は、ただ待つ事は出来ず自分に出来る事を考える。
そして、白岡と協力して鈴の気持ちを聞こうと奮闘する。

鈴に「理久は鈴が迎えに来てくれる事をずっと待っている」と伝えるが、
「あいつは産みの母を選ぶ」と頑なに拒む。

鈴もまた、両親の葬儀の日に理久が真幌や自分でなく実の母親を優先した事に深く傷ついていたのだった。

幼き頃、真幌から理久が本当の弟でない事を聞かされた鈴は、
それでも理久は自分の大切な弟であり、自分はかっこいい兄になりたいと思っていた。

しかし、努力をしても理久より出来の良い兄になる事が出来ず、徐々に距離が空いていく事に焦っていた。
そんな中、大好きで尊敬していた祖父が理久の事を実の孫だと話しているのを聞いてしまい、
理久に「お前なんかゴミみたいに捨てられたくせに」と言ってしまうのであった。

両親の葬儀の日、鈴は理久と仲直りをするつもりだった。

しかし理久が自分よりも血の繋がりを優先した事で理久に裏切られたと感じた鈴は、
さらにひどい事を言って理久を追い出したのだった。

母親との対面

理久が実の母親であるあやめと会う日がきた。

あやめは、理久に会った瞬間「ごめんなさい」と頭を下げる。
そのとき、そこへ鈴と天が現れた。

理久と仲直りするために来た鈴だったが、理久の顔を見ると素直になれず
つい傷つけるような発言をしてしまい、部屋から追い出されてしまう。

そして、あやめは理久を捨てた理由を語り始めるのであった。

あやめの過去

蛍と理久の父親はとても優しい人だったが、
厳格な家の育ちだあったため蛍を妊娠した時に世間体を気にして「一緒には育てられない」と言われた。

それでも、彼の事が好きだったあやめは
たまに会いに来てくれるだけで幸せであった。

しかし、高校生という若さで蛍の母親になったあやめは、
だんだんと1人で子育てをしていく事に不安を感じ、寂しいと思うようになる。

2人目を産めば彼の実家にも認めてもらえると思ったあやめは、理久を出産する。

しかし、彼の実家から息子と縁を切るように迫られ、
ついに彼と会えなくなってしまったあやめは世間から置き去りにされた気分になる。

そんな中、あやめは真幌の事を思い出した。

真幌が子供を望んでいた事を知っていたあやめは、
男の子なら水原家の跡取りとして大事に育ててもらえるだろうと信じ、
理久を水原家に託したのであった。
「私の事を憎んでるでしょう」と言うあやめに、
理久は「ずっと会いたかった。顔も声も何度も想像した」と答える。

あやめは理久に一緒に暮らそうと言うが、
理久は、幼い頃体の弱かった自分を一生懸命世話をし、
深い愛情を持って育ててくれた真幌こそが母親だと答え、
あやめに「産んでくれてありがとう」と伝えるのであった。

蛍は、姉としてこれからも理久の事を支えると伝えた。

仲直りした兄弟

その様子を部屋の外で聞いていた鈴は、思わずその場から逃げ出す。

理久は急いで後を追うが、
鈴は「あのクソババアのとこに行けばよかった」と言ってしまう。

しかし、天に再度背中を押されついに理久に本当の気持ちを打ち明ける。

「お前がいなくなったあの日から、俺の世界はぐちゃぐちゃじゃ」と鈴は言う。

そして、二度と自分から離れないでほしい、
弱くてもカッコ悪くても理久の兄でいたいと泣きながら伝える鈴。

理久も、泣きながら「ずっと待ってた」と答え、
長い兄弟喧嘩がやっと終わった。
水原家に戻る事になった理久。

翌週、鈴と理久の祖父が海外から帰宅し、
理久は祖父に将来は弟として当主となる鈴を支えると伝える。

鈴の事を出来が悪いと言う祖父に鈴は、
机をひっくり返しながら自分を認めるよう祖父に詰め寄る。

その太々しい態度を見て、祖父は鈴には自分の血が流れている事に改めて気づく。

そして、鈴と理久に
「お前達は私より先に死ぬな」と言うのであった。

まっさらになった理久

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