ブルース・ブラザース(The Blues Brothers)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブルース・ブラザース』(The Blues Brothers)は、1980年にジョン・ランディスが監督した、同名のR&B・ブルース音楽バンドを題材にしたアメリカ映画。主演はコメディアンのジョン・ベルーシとダン・エイクロイド。悪ガキだった二人が孤児院の存続のためにバンドで金を稼ぐ痛快コメディミュージカル映画。

『ブルース・ブラザース』の概要

『ブルース・ブラザース』(The Blues Brothers)とは、アメリカの人気番組『サタデー・ナイト・ライブ』に存在した、「ブルース・ブラザース」という人気コーナーのキャストとバンドをベースに、ストーリーをつけて映画化したもの。監督はジョン・ランディス、主演はジョン・ベルーシとダン・エイクロイド。
コメディ、アクション、ミュージカルなどの多数の要素が入り混じった映画である。また、主演のベルーシとエイクロイドによる、ブルースやR&B、ソウルミュージックなどの黒人音楽に対するリスペクトをあらわした作品でもある。日本での公開は1981年3月。
メンフィスサウンドの立役者スティーブ・クロッパーや、「ソウルの神様」レイ・チャールズ、「クイーン・オブ・ソウル」アレサ・フランクリンを初めとするバンドメンバーや客演ミュージシャンの顔ぶれの豪華さが大きく話題となり、現在でも音楽好きの中に根強いファンがいる。1998年には続編として『ブルース・ブラザース2000』も製作された。
また、「ザ・ブルース・ブラザーズ・バンド」名義でアルバムもリリースされている(ただし、映画やアルバム、イベントなど媒体ごとにそれぞれ微妙にメンバーの入れ替わりが発生している)。
黒いスーツ、ネクタイ、靴、サングラス、ソフト帽という格好は、ブルース・ミュージシャン達へのオマージュであったが、劇中の台詞や振る舞いから、そのような格好に「秘密組織のエージェント」というイメージを世間一般に浸透させた。その後さらに映画「MIB」や「マトリックス」の秘密エージェントの格好としてもオマージュされている。

『ブルース・ブラザース』のあらすじ・ストーリー

主人公の一人であるジョリエット・ジェイクが強盗の罪で被った3年の刑期を終えてシカゴ郊外のジョリエット刑務所を出所し、同じく主人公である弟のエルウッドが彼を迎えに来る。ここで、3年越しにかつてエルウッドとジェイクの2人が名乗っていた「ブルース・ブラザース」の再集合が実現する。そして兄弟は自分たちの育ったカトリックの孤児院に出所の挨拶に行くが、そこで、孤児院が5000ドルの固定資産税を払えないため政府から勧告され、立ち退きの瀬戸際にあることを知る。

孤児院を救うため、強盗や盗みによって得た金での援助を申し出る二人だが、犯罪で得た金は要らないと逆に院長に追い払われてしまう。
孤児院を救いたい一心で、二人はかつて孤児院で特別に世話を焼いてくれたカーティスに相談すると、ある教会のジェームス牧師(ジェームス・ブラウン)の礼拝に出席することを勧められる。気乗りのしないジェイクを、エルウッドがプロテスタント教会での礼拝に無理矢理連れてくると、ジェームス牧師の唄と踊りを交えたエキゾチックな説話を聞いたジェイクが突然神の啓示を受け、バンドで金を稼ぐことを決意する。続くエルウッドも啓示を受け、まずはかつてのバンドメンバーを集めることにした。

場末のバーでつまらない演奏をしていたメンバーを煽ったり、レストランの重役になっていた仲間を脅したり、ソウルフード店の店主になっていたメンバーを交渉して引き入れるなど、時には音楽を用いて、時には過激な手段を用いて兄弟は仲間を集める。
こうして二人は、昔のバンド仲間を探し出しあの手この手でバンドに引き入れ、音楽で金を稼いで孤児院を救う「聖なる任務」に立ち上がる。しかし、その過程で行った、スピード違反や大規模な器物損壊など度重なる違法行為や横暴の結果、行く手にはイリノイやシカゴの警官、州兵、マッチョなカントリー・ミュージック・バンド、ネオナチ極右団体、そしてジェイクの命を付けねらう謎の女が障害として待ち受ける。

それら全てを何とか撒くと、兄弟はあらゆるツテを使い、満席となった会場でコンサートを開催、大盛況を博す。その結果、目をつけられたレコード会社の社長に舞台裏で契約を受けた二人は、レコーディング費用として現金$10000を手付金で受け取る。孤児院存続に充分な額の金を得た二人は2人の専用スーパーカー「ブルース・モービル」に乗って警官やネオナチ極右団体などの追手を振り切りシカゴ市本庁舎に到着、孤児院を担当する窓口で期限前に納税を済ませるも、最大の厳戒態勢を持って動員された州警察や軍隊によって身柄を拘束され刑務所に収監される。
だがそれでもバンド「ブルース・ブラザース」は懲りることなく、刑務所の食堂施設でエルヴィス・プレスリーの“ジェイルハウス・ロック”を演奏し、大盛況を博していた。

『ブルース・ブラザース』の登場人物・キャラクター

ジョリエット・ジェイク

演:ジョン・ベルーシ
ブルース・ブラザースの兄にして、犯罪を繰り返す肥満体のアウトロー。バンドではボーカルを担当する。太っている割には運動が出来る。
本名はジェイコブ・パパジョージ。音楽と体育の成績がズバ抜けていて、幼いころから音楽に興味津々だった。用務員だったカーティスに聞かせられたR&Bやブルースのレコードの影響で本格的に音楽(とワル)に目覚めた。立派な悪ガキに成長し、神の教えを無視して非行に走りまくるようになる。
後にともにカーティスから音楽を学び意気投合したエルウッドと義兄弟の契りを交わし、「ジェイコブ・パパジョージ」から「ジョリエット”・ジェイク・ブルース」に名を変える。
劇中では投獄される前のコネや人脈を使って孤児院存続のために奮闘する。

エルウッド

画像左

演:ダン・エイクロイド
ブルース・ブラザースの弟にして、飛びぬけたテクニックを持つドライバーであり、機械いじりに長けたエンジニア。痩躯ながらプレイボーイで、劇中で破壊されたものの一応住居もあった。バンドではボーカルとハーモニカを演奏する。
本名はエルウッド・デラニー。子どものころは物静かで人見知り、かつ将来は警察官になるという夢を持っていた。しかしカーティスの教育で音楽に目覚め、ハーモニカを教わる。またジェイクとともに非行に走り、後に兄となる彼の影響か、憧れていた警察に罵声を浴びせる立派な悪ガキに成長した。
ジェイクとの義兄弟の契りで「エルウッド・デラニー」は「エルウッド・ブルース」に名を変える。
劇中では口先八丁手八丁を地で行き、子供騙しじみていながらも強烈な小細工と詐術で危機を切り抜ける。

カーティス

演:キャブ・キャロウェイ
ブルース・ブラザースの育ったセントヘレン孤児院の用務員。ブルース・ブラザースが孤児院を出た現在である映画劇中では具体的な描写はないが、設備の管理から家具の修理まで何でもこなし、こどもたちの世話をすることもある、みんなに慕われる父親のような存在であるとされている。
劇中ではブルース・ブラザースの前座として、またよき理解者として彼らを導きサポートした。
同じく劇中では語られていない、「ブルース歌手として酒場を転々としており、その際に人妻と不倫をし、一児をもうける。そのまま人妻と駆け落ちし、身を固めるつもりだったが、人妻は離婚を望まず夫のもとへ行き、夫に内緒で子を出産してしまう。その事実を知り、自分のあやまちを自覚して猛省した結果、根無し草の生活から足を洗い、聖ヘレン養護施設に献身することを誓った」というバックストーリーが存在する。

謎の女

演:キャリー・フィッシャー
映画を通じてブルース・ブラザース、特にジェイクの命を付けねらう謎の女。いち民間人としては異常な武器をこれでもかと使ってジェイクを殺そうと画策する。その使用武器は火炎放射機、遠隔起動式の爆弾、アサルトライフルなど多岐にわたる。
その正体は、かつてジェイクが結婚を誓った女性で、親戚一同を招いた盛大な結婚式をドタキャンされた恨みでジェイクを殺そうと目論んでいた。しかし、まだジェイクにはまだベタ惚れだったようで、彼の必死の謝罪をあっさりと受け入れてしまっていた。

ジェームス牧師

演:ジェームス・ブラウン
本名はクレオファス・ジェームス。プロテスタント教会での礼拝を通じてジェイクらに神の啓示を与えるきっかけを作った。
その礼拝は非常に特徴的で、序盤からまるで演説のように叫んだと思えば、突然BGMが鳴り響き牧師のボーカルによるライブがはじまるというもの。また、聴衆もそれに合わせて踊り始め教会はさながらダンスホールのようになった。

『ブルース・ブラザース』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

"We are on a mission from God." 俺たちは神の使命を帯びている

クレオファス牧師のミュージカル説教の最中に突如、神からの啓示を受け、バンドによる金稼ぎを決意するブルース・ブラザース。それを神の啓示とし、その後は「俺たちは神の使命を帯びている」という言葉であらゆる理屈を押し通そうとする。そのスタンスの通り、"細かいことはいい"というな力技で観客を圧倒する。その後のむちゃくちゃな行動も全てこの啓示と言葉から始まっており、この映画を語るにおいてはやはりこの言葉は欠かせないだろう。

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