巨獣特捜ジャスピオン(特撮テレビ)のネタバレ解説・考察まとめ

巨獣特捜ジャスピオンとは、1985年に放映された東映製作の特撮ヒーロー番組で、宇宙刑事ギャバンより始まる「メタルヒーローシリーズ」の第4作目である。銀河の野生児・ジャスピオンが超惑星戦闘母艦ダイレオンを駆り、宇宙の魔王・サタンゴースが操る巨獣、更には無法者のエイリアンらと宇宙を股にかけた戦いを繰り広げる。等身大ヒーローと巨獣の戦い等、野心的な試みが数多くなされた作品である。

『巨獣特捜ジャスピオン』の概要

本作品は、前3作品までの「宇宙刑事シリーズ」から一線を引き、新設定のもとに制作された。
本作は、バンダイの杉浦幸昌の「ウルトラマンの主役はヒーローではなく怪獣である」という分析から始まっている。当時のバンダイは怪獣を大々的に売り出そうと考えていたため、本作における怪獣「巨獣」が本作の主役である。また、宇宙刑事シリーズでの実績から、本作は制作費に恵まれた事から、巨獣や巨大メカの活躍シーン等、従来の等身大ヒーローものに比べて特撮シーンに力が入れられており、宇宙刑事シリーズで定番となったビデオ合成による画作りだけでなく、等身大戦・巨大戦ともにワイヤーアクションが取り入れられるなど、演出の幅を広げている。
宇宙刑事の特徴であるスーツ、銃と剣を武器とした戦い、巨大母艦・バイク・戦車などのメカニックといった主人公側の基本フォーマットを踏襲しつつも、変身時にキーワードを叫ばない、ヒーロー然とした宇宙刑事とは好対照なコミカルなジャスピオンのキャラクター等身大ヒーローと巨大怪獣の戦いなど、多くの面で差別化を図るべく、野心的な試みがなされている。
キャストでは主役のジャスピオンを「コータローまかりとおる!」や「伊賀野カバ丸」で主演を務めた当時売り出し中のJAC(ジャパン・アクション・クラブ)俳優・黒崎輝が担当し、ヒロインのアンリには「星雲仮面マシンマン」の葉山真紀や前作「宇宙刑事シャイダー」第41話でゲスト出演した塚田聖見、準レギュラーのエジンには特撮作品では「大戦隊ゴーグルファイブ」以来となる仲谷昇が演じている。黒崎氏は当時俳優・歌手で売れっ子だったために本作の撮影スケジュール調整が難航し、素面での活躍ができないことが危惧されたことから、代わりにアクションをこなすキャラクターとして「宇宙刑事シャリバン」でシャリバン=伊賀電を演じた渡洋史をブーメラン役として起用している。また、サタンゴースの息子マッドギャランには「大戦隊ゴーグルファイブ」と「科学戦隊ダイナマン」と2年続けてブラックヒーローを演じた春田純一が担当している。渡も春田もイメージチェンジを狙った演技となり、渡はクールな戦士を、春田は冷酷非情な悪役をそれぞれ演じており、役者としてのターニングポイントとなっている。さらに当時まだ無名だった高畑淳子が、第29話から登場するギルザを演じている。

銀河バイブルとは

宇宙における数々の出来事を記した聖書。少なくとも数万年前から存在しており、仙人エジンの家系は代々銀河バイブルを守り続けていた。しかし3万年前、エジンの家系が住んでいた惑星は大彗星に巻き込まれて消滅し、銀河バイブルも宇宙各地に飛び散ってしまった。
当初エジンによって発見されたバイブルの一部には、「サタンゴース蘇る時、銀河宇宙は跋扈する巨獣に蹂躙され滅びる。」と記されていた。
第12話にて、「サタンゴースを倒すには、黄金の卵から生まれる黄金の鳥が必要」と記述されたバイブルの一部が新たに見つかった。
さらに第35話にて、「一人の勇者が空から降りてきて黄金の鳥を手にし、サタンゴースを倒す。勇者は光に打たれし若者、黄金の鳥は光に打たれし5人の子供の手のひらにあり。」「光の中の赤子の中に戻る。(その前の文字はバイブルが欠けているため判読出来ず)」と記述されたバイブルの破片が新たに見つかり、勇者がジャスピオンであることが判明する。ジャスピオンは最終的に「光に打たれし5人の子供」と「光に打たれし赤子」を見つけ出し、バイブルに記された「黄金の鳥」が変化した黄金の剣にて、サタンゴースを打倒することに成功する。

ジャスピオンとその仲間たち

ジャスピオン(演:黒崎輝)

初期のスタイル。アフロヘアは当時のヒーローとしては斬新であった。

こちらは後期のスタイル。髪型と共に、性格まで落ち着いた感じになった。

本編の主人公にして、銀河の野生児。銀河連邦の動物保護官ゲーリーと動物学者アンナの息子であったが、幼い頃に宇宙船の事故で両親を失った所、長老エジンに助けられ、惑星エジンの豊かな大自然の中で宇宙生物に囲まれて育ったという経歴を持つ。
自由奔放かつ自然を愛する優しい性格で、物語当初は奔放さが強く目立っていたが、激戦が続くうちに冷静な判断力が身につき、より精悍になった。野生児ながらも頭脳明晰で、メカの操縦も難なくこなす能力がある。地上での移動時は、マツダ・RX-7(初代)を使用。第35話にてダイレオン操縦中に謎の光に打たれ、新たに見つかった銀河バイブルに記された「サタンゴースを倒す、光に打たれし勇者」であることが判明する。
メタルヒーローシリーズ史上唯一の地球人名を持たない主人公で、変身前後で名前を使い分けることもない(ただし「俺が正義だ!巨獣特捜ジャスピオンビデオスペシャル」のクレジットでは、メタルテックスーツ装着後の姿は「強化ジャスピオン」と記し区別化されている)。

アンリ(演:塚田聖見)

男勝りでお転婆なヒロイン。ジャスピオンとは良き凸凹コンビだ。

ジャスピオンのパートナーとしてエジンが作った女性型アンドロイド。初期の頃は一人称が「オイラ」であるなど、まるで男のように荒っぽい言動が特徴であったが、第13話でジャスピオンによって足の裏(靴の裏)にある言語ロムを世界五十カ国のものに交換されてからは女性らしくなり、口調も「私」に変わってややおしとやかな性格となったが、御転婆ぶりは終始変わらなかった。
普段はダイレオンに常駐していたり、ジャスピオンと共に調査を行う事が多いが、戦闘時にはレーザーライフルを武器として戦う事もある。目には異次元透視装置、各種センサー、足底には推進装置を備えている(子供を抱えて飛び立つことができるほどのパワーがある)。新体操も得意としている。水に飛び込んだり強い衝撃を受けるとすぐに停止してしまうという欠点があるが、頭を回すか歯に特殊な棒状の機械の先端を当てると再起動する。 水については、第19話のラストで水着を着て鴨川シーワールドのプールに入っているシーンがあるため、改良された模様。

珍獣ミーヤ

ジャスピオンらとはよき友達。本作のマスコットキャラ的存在。

宇宙の珍獣。第1話の舞台・ビージー星にて、ハンターに親を殺された上、捕らわれて見世物にされていたところをジャスピオンに助けられて以来、彼と行動を共にするようになる。
トゲの生えた甲羅が背中にあり、危機に直面すると背中を向けてトゲを撃ち出す能力がある。名前の通り「ミーヤ、ミーヤ」と鳴き、巨獣を探知する能力がある。当初は「ミーヤ、ミーヤ」と鳴くだけであったが、後にアンリが言葉を教え、その影響により片言だが少しだけ言葉を話せるようになる。

エジン(演:仲谷昇)

大予言者にして宇宙の仙人、そして科学者と多芸多才な人物。

惑星エジンに住む宇宙の仙人にして大予言者。またジャスピオンの育ての親にして優秀な科学者という側面も持っており、ジャスピオンの装備、マシンは全て彼が作り上げた。年齢は一万歳。エジンの家系は数万年も昔から銀河バイブルを守り、その内容を人々に伝えてきたが、3万年前にエジンの家系の星は大彗星に巻き込まれて壊滅し、銀河バイブルも広い宇宙に飛び散ってしまった。普段はエジン星に留まっているが、度々ジャスピオンに対し助言を与えたりといったサポートを行っている。最終回にて、光に打たれし赤子の捜索の時間稼ぎのため大サタンゴースに挑むも愛用の杖を破壊され、自身も致命傷を負い、ジャスピオンに看取られながら息を引き取る。戦い終えた後、ジャスピオンたちの手で地球の大地に葬られ、愛用の杖は墓標となった。

ブーメラン(演:渡洋史)

その名の如く、ブーメランを武器に戦う青年。

第6話より登場した、マッドギャラン打倒を誓う孤高の青年。インターポール捜査官だった兄をマッドギャランに殺されて以降、マッドギャランに復讐すべく活動する。その名の通りブーメランを武器とする。最初は自分1人の力でマッドギャラン軍団を倒そうとしていたが、第8話からジャスピオンのことを認めて正式に協力するようになる。
第12話でマッドギャランに対しての力不足を感じ、外国に修行の旅に出て、中盤からしばらく登場しなくなる。その間南米で武装強盗団を倒したことでスカウトされ国際連邦保安官となり、マッドギャランと結託した犯罪組織を追って第31話で再登場を果たした。二つのブーメランを十文字に組み合わせて投げる「クロスカッター」を身に着けたが、マッドギャランには通じず敗北する。マッドギャラン打倒をジャスピオンに託し、自身はサタンゴースの被害に遭っている人々を守るために日本を再び離れた。

南原健一郎(演:佐々木功)

第15話で家族と共に初登場した、フリーのカメラマン。山中で偶然にも黄金の鳥を撮影したことからマッドギャラン軍団に狙われることとなってしまって以降、家族との平和な生活を取り戻すためジャスピオンに協力する。
一時は黄金の鳥を探し出すために子供たちと別れるが、第22話で再会を果たす。第27話で家族と共に北海道へ移住したが、第36話からはエジンの里で暮らすようになる。以降は光に打たれし子供の行方を調査するようにもなる。

南原かの子(演:曽根清美)

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