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3glisa_999のレビュー・評価・感想

SLAM DUNK / スラムダンク / スラダン
10

スポーツ漫画の金字塔

普段あまり漫画を読まないという人でも、1度は目を通したことがあるのではないだろうか。そう思わせられるほどに、あらゆる世代に知れ渡るスポーツ漫画の傑作がこの『スラムダンク』だ。

主人公、桜木花道は自らを「天才」と称するが、彼は根っからの「努力家」である。いや、正確にはこうと決めたらなりふり構わず突き進む「バカ」というべきか。もちろん、これは最上級の誉め言葉である。
そして桜木以外にも言えることだが、この漫画には「生まれながらの天才」はいない。持って生まれた素質に差はあるものの、皆涙と汗に塗れながら苦しい練習を乗り越えてきた者たちなのだ。

高校生活はたったの3年、さらにバスケットをプレイできる時間はそれよりもっと短い。この漫画が名作たる所以は、その潔くも寂しい、しかしこの上なく爽やかなエンディングに集約されていると思うのだ。
激戦を制し続け、赤木を始め部員の悲願である全国制覇を見事に成し遂げる、そんな結末を皆は待っていただろう。しかし実際は、桜木の言い放った「今」に持てる力の全てを賭け、湘北は散っていった。
彼らはその後大学に進学し、あるいは日本代表に選出され、またあるいはバスケから離れる者もいるかもしれない。そして恐らく、あの「今」に勝る瞬間に再び出会うことは難しいだろう。
その一瞬の輝きが、長きにわたり私たちを掴んで離さないのである。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
9

ラッセル・クロウの演技が素晴らしい

「ビューティフル・マインド」はアカデミー賞を4部門受賞した名作と言われる作品です。主演はラッセル・クロウ。男っぽい役が多い印象がありますが、この作品では非常に繊細な主人公ジョンを演じています。
ジョンの印象は序盤から中盤は数学の天才だが、変わったところのある人です。ルームメイトがとてもいい人で、変わっているジョンの理解者であったり、天才なゆえに黒ずくめの怪しい男からスパイ的な仕事を頼まれたり、かなり波乱万丈な人生を送ることになります。
しかしジョンの結婚後、ルームメイトとその姪っ子、黒ずくめの男が統合失調症による幻覚だとわかります。ここからが、壮絶です。幻覚だとわかっているのになかなか彼らとの縁を切れません。ジョンが一生懸命彼らと話していても、はたから見れば、誰もいないのに話しているように見えるのです。時には、ルームメイトがジョンの赤ちゃんをお風呂に入れると思い込み、赤ちゃんをおぼれさせてしまいそうになったりします。
ジョンは長い年月をかけて、彼らと折り合いを付けようとします。病気との闘いを支えたのは、大事な家族と数学に対する情熱です。ついにノーベル賞を受賞するまでになります。幻覚である彼らは、若い姿のままジョンの前に何度も現れますが、ジョンはどんどん年を取っていくのです。その対比がまた切なくもあります。

谷山浩子 / Hiroko Taniyama
8

フォークミュージックと管弦楽をバックにしたマザーグース

1970年代にデビューしたシンガーソングライターです。NHK「みんなのうた」など子ども番組にも多数の歌を出しているので、「まっくら森」や「しっぽのきもち」など、一度は彼女の曲を聞いたことのある人が多いのでは。また、ジブリ映画「ゲド戦記」の劇中歌として使われた「テル—の唄」の作曲もしています。(劇中の唄は手嶌葵さんが歌っています。)70年代、80年代はフォークミュージックらしい曲が中心でしたが、90年代以降は管弦楽をバックにした曲が増え、音の雰囲気が変わりました。歌詞はファンタジーな設定のものが多いのですが、ただ幻想的で美しいものだけではありません。「身近に潜む怖いもの」「未知なる怖いもの」を表現したものも多く、それを親しみやすい明るいメロディーにのせている「マザーグース」っぽい曲もたくさんあります。独特の歌詞や曲の世界観が合う人は、どっぷりハマれますので、少しダークなおとぎ話などに興味のある方は聞いてみてください。2005年に出したベストアルバム「白と黒」は、まさにその名の通り「明るく美しい世界観の歌」と「ダークでちょっと怖い世界観の歌」両方を集めているので、どんなアーティストなのかを1枚で知る入門編としてお勧めです。