十二国記(ラノベ・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『十二国記』とは、小野不由美による小説、及びそれを原作とするアニメなどのメディアミックス作品である。女子高生の中嶋陽子は、人の顔色を気にして生きてきた。そんな陽子の前に、麒麟の景麒を名乗る青年が現れ彼女を王と呼ぶ。陽子は本来の故郷である十二国世界へ渡り、様々な戦いを経て王になる覚悟を決めるのだった。ある者は権力とそれに伴う責任に向き合い、ある者はコンプレックスに向き合って成長を遂げる。古代中国風の異世界を舞台にした異世界ファンタジーでありながら、不思議なリアリティを持つ作品である。

包荒(ほうこう)

アニメ未登場。
節下郷にて、山野を保全する官である山師を務める。幼い頃から山野に親しみ、一日中鳥や虫、一本の木をずっと見守るなどしていた。包荒にとって、山師は天職と言える。山毛欅に奇病が流行った時、枯れた木が高値で売れると喜ぶ民に対し、包荒は山毛欅の林が消えることで災厄が起きると予期し、皆に警告する。猟木師(新しい草木の種を売る浮民。浮民とは難民の一種で旅券を持たずに旅をしたり、本来所属するべき郷から離れた者のこと)の興慶の協力の下、標沖と共に山毛欅の奇病を治す薬草を探す。青条なる薬草を見つけるが、繁殖が難しいため奇病を食い止めるのに時間がかかった。標沖に青条を託して王宮に届けてもらい、残った青条を守る。

興慶(きょうけい)

アニメ未登場。
寡黙で無駄口を叩かない男。猟木師。包荒とは職務上天敵と言えるが、顔なじみである。山木欅の奇病を治すべく、包荒から標仲を紹介される。本人が言うには芳国の出身。政変により生まれてすぐ国を出て、4歳の頃両親により、猟木師に売り渡された。それ以降は猟木師後共に諸国を遍歴した。
包荒に協力すべく猟木師の仲間と別れて、包荒、標仲に猟木師押しての知識や技術を教え、青条の発見と育成に貢献した。興慶自身はいざこざが元で管理を殺してしまい、包荒と漂沖から金を渡されて国外に逃がされた。

巧州国(こうしゅうこく)

巧州国は、十二国世界の国の一つである。陽子らが初めに流れ着いた国で、半獣や海客に対する差別意識が十二の国で特に強い。半獣を雇うと重い税を課す、半獣には土地も戸籍も与えないなど、半獣である楽俊は特にその憂き目に遭っていた。海客は見つけ次第逮捕される。裁判により、「悪い海客」とされれば処刑されることもある。「良い海客」とされた場合は後見人が付く。作中では陽子らが逮捕された。
『月の影 影の海』で巧国の麒麟である塙麟が死亡(原作では『書簡』で病死したと語られる)。これに伴い王も死に、『月の万里黎明の空』の時点では妖魔がはびこり国が荒れ果てていた。難民が多く慶国などに押し寄せることとなった。楽俊は巧国の荒廃に伴い、母を雁国に呼ぼうとした。麒麟が生まれる捨身木に新たな麒麟の卵果が実ったが、まだ麒麟が生まれておらず、新王即位には早くても数年かかる模様。

塙王(こうこう)/錯王(さくおう)

声:土師孝也

『月の影 影の海』に登場。50年の間、巧国を治めていた。元難民を受け入れるなどしたが、これは他国の王への劣等感や、国を治めることへのプレッシャーから行っていたことであり、他者を慈しむ余裕も度量もない。実際、巧国での難民たちの環境は、良いとは言えないものであった。胎果ながら数百年も国を治め、名君の誉れ高い延王・尚隆に嫉妬していた。胎果や海客を「災いの種」と認識して忌み嫌い、見つけ次第逮捕、処刑まで行わせる。また半獣も嫌っており、土地や戸籍を与えなかった。
元々実直にして強い責任感を持った人物である。それだけに思い込みが激しい面もあり、胎果の王には国を良く治める何かがあると思い込んでいた。慶国に胎果の王(陽子)が立つとの知らせを受け、慶国で偽王となる舒栄を援護。優香を世界を救う海客と見なして接触し、陽子を殺させようとする。
塙麟が失道の病にかかっても考えを改めることはなく、遂には自ら陽子を殺そうとするが、塙麟が陽子を庇った形になり自ら麒麟を殺してしまう。塙麟の死に伴い自らも死亡した。おくり名は錯王。

息子と娘がおり、『書簡』 において錯王の子らは、父の過ちにより荒廃した国を少しでも良くしようと田畑を耕していた。錯王の子らは陽子による慶国に来てほしいとの要請を断り、「新王に少しでもいい状態で国をお渡しする為、国の土地の状態を良くしておくのだ」と言った。
巧国は王が倒れて間もないのに妖魔がはびこっており、他国の民から「よほどひどい王だったのだろう」と言われている。

塙麟(こうりん)/塙和(こうわ)

声:佐々木優子

巧国の麒麟。塙王の暴政が元で失道の病にかかる。何度も王を諫めるも聞き入れられることはなかった。優香と接触し、塙王側の味方に引き入れる。王が陽子たちを斬ろうと振り上げた剣をその身に受け死亡(原作では失道の病による病死。アニメにおける『書簡』のエピソードで語られた)。陽子を庇ったのは、主に王殺しの罪を追わせない為だった。おくり名は塙和(こうわ)。

白尹灑(はくいさい)

塙麟の女怪。大きな翼と、猫のような爪を持ち、全身が毛に覆われている。塙王により、塙麟が刺され死亡した後、遺体を抱いて去った。

楽俊の母

声:滝沢久美子

楽俊を上庠(学校のような場所)に入れるために夫の給田を売り、小作人として生活していた。何もかも売り払ったが、楽俊の学問の為、夫の残した書物だけは売らなかった。息子と同じく優しく穏やかな人物であり、人間不信に陥っていた陽子の心を癒す。『書簡』では、陽子が単身楽俊の母の元を訪れている。この時、陽子が王であることは楽俊から手紙で伝えられていたはずだが、平伏はしなかった。陽子自身も楽俊の友人として彼の母を訪れた為、王位についたことなどは話していない。楽俊曰く「しっかり者」。雁国の大学で賄いとして雇ってもいいとの話がついているとは楽俊の談。

達姐(たっき)

声:津田匠子

巧国の人物。陽子、優香、郁也に家に押し入られるが、陽子らに夫の服を与えるなどした。これは親切心ではなく陽子、優香を母の経営する娼館に売ろうとしたためで、陽子の人間不信の一因となる。

松山誠三(まつやま せいぞう)

声:渡部猛

1945年7月29日、空襲の最中蝕に巻き込まれて十二国世界に流されて来た海客。初めは慶国で戸籍を得ていたが、予王の死に伴って国が荒れたため巧国に逃れる。郁也から終戦の日を知らされてあと半月で戦争が終わったのに、こんな言葉も通じない世界に流されたと嘆いた。この時、近隣に住む十二国世界の住民から「わけのわからない言葉(日本語)で喚くな」と言われている。この住民の言葉を通訳した陽子に、「お前は何者だ」と口にした。陽子は、誠三とのやりとりから、十二国世界の言葉が中国語に似ているものの、すぐに理解できるものではないことなどを知る。
当初は同じ海客として親切にしたが、役人に陽子たちのことを知らせ、逮捕させた。役人に知らせたのは、陽子が十二国世界での言葉に不自由しないのを妬んでのことである。

恭州国(きょうしゅうこく)

えどまち
えどまち
@edono78

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