十二国記(ラノベ・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『十二国記』とは、小野不由美による小説、及びそれを原作とするアニメなどのメディアミックス作品である。女子高生の中嶋陽子は、人の顔色を気にして生きてきた。そんな陽子の前に、麒麟の景麒を名乗る青年が現れ彼女を王と呼ぶ。陽子は本来の故郷である十二国世界へ渡り、様々な戦いを経て王になる覚悟を決めるのだった。ある者は権力とそれに伴う責任に向き合い、ある者はコンプレックスに向き合って成長を遂げる。古代中国風の異世界を舞台にした異世界ファンタジーでありながら、不思議なリアリティを持つ作品である。

声:津田匠子

楽俊曰く「女神様」であり、蓬山に住む。実際には女仙のトップに当たる。役職は碧霞玄君。慈愛に満ち、人界と天界の橋渡しとして王に助言を贈ることもある。王の即位や天勅を受ける際に同席することはない。別名を玉葉といい、麒麟からも「玉葉様」と呼ばれる。
『風の海 迷宮の岸』では、胎果ゆえに麒麟としての自信が持てずにいた泰麒を元気づけるべく景麒と会わせている。不器用さゆえに、却って泰麒の自信をなくさせたと景麒に注意を促した。
若くもあり、また年配のようでもあると評される。美貌の誉れが高く、十二国世界では「玉葉」とは美女の代名詞でもある。一般人でもこの女仙にあやかって、器量よしの娘を「玉葉」と呼ぶことが多い。その為、『十二国記』においては「玉葉」の名を持つ女性が複数登場する。このことは『書簡』にて、楽俊が陽子に鸞を介して説明している。陽子の家臣にも玉葉という人物がおり、陽子から「器量よしだったんだね」と言われた。祥瓊が里家にいた時も身分を隠す意味で玉葉と呼ばれていた(祥瓊曰く「平凡な名」)。ちなみに、故人ではあるが、楽俊の母方の叔母も玉葉と呼ばれていた。

禎衛(ていえい)

声:豊口めぐみ

女仙の筆頭。自分でもいつ昇山したか覚えていないほどの古株であり、まとめ役としての風格も持つ。アニメにおいては500年前延麒が蓬山に戻って来た時点では新参者で、初めて見る麒麟(延麒)の美しさに感嘆していた。

蓉可(ようか)

声:ゆかな

泰麒の世話をしていた女仙の一人。13歳で昇仙(仙となること)を決意し、誓いを立てて五穀(稲や麦といった五種の穀物)を断ち、3年間西王母の廟に通い16歳で召し上げられた過去を持つ。初めて世話をした麒麟が泰麒であった。主だった世話役として、泰麒に十二国世界について教えるなどした。泰麒に「転変が出来なくても少しもかまわない」と言い、日に日に転変や、王の選別に関する自信の無さから、元気をなくしていく泰麒を気にかけていた。陽子たちに、蓬山での泰麒の思い出を話している。

少春(しょうしゅん)

出典: neoapo.com

声:釘宮理恵

雁国の出。故郷を王に滅ぼされた。西王母廟の柱を不眠不休で支え、賛饗一千唱を行ったことで昇山した。延麒が蓬山に来た際、その世話をしていた。延麒に荒れ切った祖国の様子を見せている。

海客・蓬莱(かいきゃく・ほうらい)

海客や、蓬莱(日本)にいる人物を記す。海客とは、胎果とは違い日本で生まれた人物である。楽俊が言うには、山客(中国から来た人物)よりも海客の方が多い。海客は交わってはならない世界から来たものとして差別を受けるが、国によっては保護もする。雁国では海客の保護に力を入れている。一つには、王と麒麟が蓬莱の生まれ(胎果)である為、同じ蓬莱の出身者が文化や言葉の違う世界でも暮らしやすいように配慮していると思われる。十二国世界の言語は古代中国語に似ており、仙籍に入らない限り意思の疎通に苦労する。

浅野郁也(あさの いくや)

出典: shan.client.jp

声:うえだゆうじ

アニメオリジナルキャラクター。陽子たちと共に十二国世界に流される。陽子とは幼馴染み。優香と付き合っている。陽子、優香と共に十二国世界に渡る。巧国で崖から転落し、長らく行方不明だった。『風の万里 黎明の空』で再登場。仙籍に入っていないため十二国世界の住民と言葉は通じなかったが、旅芸人一座にて経理などをしていた。言葉は通じないが、郁也が暴れたりせず、金を持ち逃げするわけでもなかったのでと旅芸人の一座に置いてもらっていた形となる。

妖魔の存在や言葉が通じないことなど、蓬莱とは違う世界観により情緒不安定となる。十二国世界に来た理由を自分なりに探し、一種のゲームと捉え自分のゲームを終わらせることを支えにするようになった。鈴が慶国に向かう途中で出会い、鈴と共にいた清秀の村が蝕で失われたと聞いて世界に恨まれているとの恐怖を抱く。清秀に自分が憎いかと尋ね、「何?分かんねえよ」と言った清秀の言葉が分からないこともあってその場から逃げ出した。郁也を追おうとした清秀の死の遠因を作ったとも言える。
清秀の死後は鈴と別れて昇紘に保護された(昇紘は仙籍にある為、海客の郁也とも会話ができる)。縋る物がない状況の中で昇紘に従い、小司馬共々慶国の里家を襲撃する。桂桂と清秀を重ね合わせ、清秀や世界に恨まれているとの恐怖心から彼を狙撃した。昇紘の別邸に身を寄せていたが、そこにやってきた陽子と再会し、それまでの経緯を聞く。昇紘に従っていることを咎められ陽子の命により、昇紘の部下として捕縛される。
その後、別の場所に移されて、鈴を通じて陽子が危険である旨を桓魋らに知らせようとした。桓魋の下に向かう道中で小司馬に出くわし、彼に平伏しなかったため殺される。

杉本優香(すぎもと ゆか)

声:石津彩

アニメオリジナルキャラクター。陽子とは同じ学校のクラスメイト。級友たちにそっけない態度を取っていた為、クラスでは浮いた存在だった。ファンタジー小説を好み、十二国世界に飛ばされたことはむしろ喜んでいた。陽子、郁也とは違い、十二国世界に渡る前から異世界との交流による変異を受け入れる。単なる海客なので十二国世界の言葉は理解できない(仙の陽子とは話ができる)。
陽子が麒麟に選ばれた王であると聞いたが、それは間違いで、「自分こそが王ではないか」と思っていた。十二国世界では、簡単に現地人を信じ結果窮地に陥る(達姐を信じて遊郭に売られそうになるなど)陽子の八方美人的な考えに振り回されるのは、もう沢山だと一人離れた際塙麟と接触する。「あなたをお待ちしていました」との塙麟の言葉に、ますます本当に選ばれたのが自分だとの考えを強め、そのまま塙王に利用される。陽子と対立する中、同じ海客の壁落人から「革命をしたかったが何もできず、気付いたらこの世界にいた」「あなたはこの世界で何もしていない。帰りなさい」と言われ現実や真の自分を受け入れずにいたことを指摘された。王としての気構えを持ち始めた陽子と再会し、優香は十二国世界へは陽子と一緒に来ただけであり、本来の居場所が蓬莱、つまり日本であることを痛感していく。塙麟の死に伴い陽子と和解した。

景麒奪還や、塙王との戦いを経て日本に帰ることを決意し、陽子の代わりに当たり前の人生を送ると誓った。そして「陽子は家では無理をしていたようだから、今は自由かもしれない」と、暗に娘を苦しめていたと自らを責める陽子の母に「中嶋さんは帰りたかったと思います」と告げた。
自分や陽子と同じく「神隠し」にあった人物がおり、その人物の周辺で怪事件が起きるとの噂を聞く。優香は高里要やその弟・卓と接触する。高里家からの帰り、汕子から「王の敵か?」と脅されたが、「私は王の友人だ」と返答したため制裁を受けずに済んだ。

壁落人(へき・らくじん)

声:田中秀幸

学生紛争の時期(1969年)に流されてきた海客。元は東大生だった。現在は雁国の庠序なる教育機関で子供に処世術(生活科学)などの勉強を教えている。「(日本は)革命に失敗した(学生紛争でも変わらなかった)国」として故郷、つまり蓬莱への未練はない。東大では古代中国語を学んでいたので漢語、漢文の基礎があったが、それでも十二国世界での会話を習得するのに30年以上の時間を要している。
陽子が難なく十二国世界の言葉を操れていることから、「あなたは神仙か妖かもしれない」と、陽子が海客ではないと指摘する。陽子に延王の助けを乞うように進言した人物。

高里卓(たかさと すぐる)

声:阪口大助/野田順子(幼少期)

要の弟。素行不良で最低ランクの高校に通う。「祟る」と噂される兄を嫌いつつ、そんな感情を持つ自分にも嫌悪を抱く。神隠しにあった要について調べている優香に、淡い恋心を持つようになる。優香が兄を目的に自分に近づいたと悟り、またも兄を憎む気持ちが生じて苛立っていた。
要が雪の夜に外に出される原因となった「コップを落とした」張本人だが、祖母を怖れて兄に責任を押し付ける形になった。尚、コップを落とした理由は兄を招く白い手を見たのが原因であり、ほんの少しだが十二国世界に触れている。

原型となる小説『魔性の子』では祖母の教育の下、人の顔色をうかがう性格となった。そのストレスを発散するかのごとく不良少年として補導された経験も少なくない。要が神隠しに遭った事件が元でいじめられていた過去を持つ。アニメでは生き延びたが、原作では両親と共に、傲濫、辿子に殺された。

えどまち
えどまち
@edono78

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