萌えだけじゃない!がっつり面白いおすすめラノベ12選【虚構推理、他】

ライトノベルと言えば美少女がたくさん出てくる萌え系の作品が主流になって久しいが、ライトノベルは萌えだけにあらず。ハードボイルドアクションやミステリー、骨太のファンタジーにSFなど、広い裾野を持つジャンルなのだ。ここではシナリオで勝負する面白いライトノベル12選を紹介する。

このラノベの文章w

ネット上でよく見かけるアレだ。現在ライトノベルは月に100冊以上新刊が出ると言われている。
その中には商業作品とは思えないような『ヒドイ』作品が存在するのも事実だ。しかしそれだけが全てではなく、一般文芸しか読まない人でも違和感なく楽しめる作品というのも数多く存在するのだ。

今回は(1)文章がしっかりしていること。(2)キャラクターの勢いだけで話を進めていないこと。この辺りを基準に選んだので気になったら読んでみてほしい。

▼異世界×現実世界のハードボイルドアクション

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コップクラフト (ガガガ文庫)

ティラナ・エクセディリカ。異世界から来た見習い騎士。常識不足、白皙の美少女。
ケイ・マトバ。サンテレサ市警の敏腕刑事。猫アレルギーの不器用な男。
超空間ゲートで異世界とつながった都市サンテレサで、二人に命じられた合同捜査。
ことあるごとに対立し、罵りあいながらも、マトバとティラナは
共通の敵を追っていく。次第に二人の間には、奇妙な信頼が芽生えていき……。
『ドラグネット・ミラージュ』(竹書房刊)が大幅改稿で完全復活!痛快無比のポリスアクション!

作者は『フルメタル・パニックシリーズ』を送り出した賀東招二。
作品の雰囲気はアメリカの刑事ドラマに近い。
異世界とのゲートが開かれ、『妖精を巡る犯罪』が横行する架空都市サンテレサ市を硬派かつコミカルな筆致で書き上げている。

▼犯人は亡霊?異色のミステリー

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虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)

深夜、悲運のアイドルの亡霊は鉄骨を片手に街を徘徊する。
その都市伝説の名は――鋼人七瀬。

「そんなの推理じゃなくて、欺瞞じゃない!?」真実を求めるよりも過酷な、虚構の構築。自身もまた怪異的な存在である岩永琴子の推理と知略は本物の怪異が起こす事件を止めることができるのか。

幽霊、魔法、超能力などの超常現象はミステリではタブーとされている。
それでもこういうことができてしまうのはラノベならではといったところ。
『真相を突き止める』のではなく『真相をねじ曲げる』ために東奔西走する本作は本格ミステリー大賞を受賞した。

▼ファンタジー×ミステリ。この中に一人、裏切り者がいる。

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六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)

闇の底から『魔神』が目覚めるとき、運命の神は六人の勇者を選び出し、世界を救う力を授ける。地上最強を自称する少年アドレットは、その六人、『六花の勇者』に選ばれ、魔神復活を阻止するため、戦いへ向かう。だが、約束の地に集った勇者は、なぜか七人いた。その直後、霧幻結界が作動し、七人全員が森に閉じ込められてしまう。七人のうち誰かひとりが敵であることに気づいた勇者たちは疑心暗鬼に陥る。そして、その嫌疑がまっさきにかかったのはアドレットで―。伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、堂々始動。

こちらも一般文芸ではやりづらいファンタジーとミステリの組み合わせ。
話は単純で『6人選ばれるはずの勇者なのになぜか7人いる。偽物を探せ』といったもの。
普通のミステリを読み飽きた人におすすめ。

▼人気シナリオライターが放つSF(すこしふしぎ)な物語

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人類は衰退しました (ガガガ文庫)

にんげんさんは、かみさまです?

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は”妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が 大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の“調停官”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なことだろうとこの職を 選んだわたし。さっそく妖精さんたちのもとへ挨拶に出向いたのですが……。田中ロミオが長年の経験と風聞を駆使して挑む、全方位対象の新境地。

『人類』が衰退し、妖精が人間に変わって『人類』となった世界。
超常現象を引き起こすハイスペックな妖精とそれに振り回される主人公の『わたし』を巡る、絵本のような物語。
ドラえもんを目指したという作者の言葉通り、SF(すこしふしぎ)でやさしい話が展開される。それでいてブラックなこともやりだすからおもしろい。

▼経済ファンタジーと獣耳

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狼と香辛料 (電撃文庫)

行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが―。

中世ヨーロッパの世界観で主人公は行商人。ヒロインである狼のホロと旅をしつつも、度々問題に巻き込まれる。
そこで行われる経済バトルも面白いのだが、この作品の魅力はなんといってもヒロインだ。
高貴で狡猾。慎ましくも大胆。好感の持てるヒロインなので胸焼けすることはないはずだ。

▼幻書に溺れた人間の顛末

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ダンタリアンの書架 (角川スニーカー文庫)

ヒューイは、かつて所領の半分を1冊の稀覯本と引き替えにしたほどの蒐書狂である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書の全てを引き継いだ。条件は一つ、“書架”を引き継げ―と。遺品整理に屋敷を訪れたヒューイは、本が溢れる地下室で、静かに本を読む少女と出会う。漆黒のドレスに身を包み、胸に大きな錠前をぶら下げた少女ダリアン。彼女こそ、禁断の“幻書”を納める“ダンタリアンの書架”への入り口、悪魔の叡智への扉だった―。

『幻書』という不思議な力を持つ本をめぐるダークファンタジー。
ライトノベルらしい面もあるが、幻書を手にした人間の顛末にはゾッとさせられる場面も。
コンセプトは世にも奇妙な物語に近い。

▼感情を持つロボットの切なさ

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雨の日のアイリス (電撃文庫)

ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路から取り出したデータを再構築した情報―彼女が見、聴き、感じたことの…そして願っていたことの、全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語。

テーマは「破壊と再生」
なぜ生きるのか。なぜ死ななければならないのか。
読めば読むほど作品に隠された深いテーマに気がつくだろう。
間違いなく泣けるラノベ。良質なジュブナイル作品。

▼シリアスな青春もの

umi-aoi8008g8
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