グラフィックノベル「フロム・ヘル」の解説まとめ!熱烈な支持を受ける漫画!

『フロム・ヘル』は19世紀末に起きた「切り裂きジャック」事件を題材にしたグラフィックノベルだ。魔術的な世界観を背景に、当時のイギリス社会と20世紀への移り変わりが描かれる。
アラン・ムーアの代表作であり、原語版、日本語版ともに大変評価が高い。

グラフィックノベル (Graphic novel)とは?

従来の漫画とは異なり、「文学的」な内容を含んでいるという趣旨で命名されている。

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通常は長く複雑なストーリーを備えた、しばしば大人の読者が対象とされる、厚い形式のアメリカン・コミックを指す

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参考画像

グラフィックノベルは通常のコミックでもなく、漫画とも異なる。ストーリーをコミックに近くしたものだが、デザインにこだわっている。

▼数あるグラフィック・ノベルの代表作

それが今回ご紹介するFROM HELL。

▼1888年 イギリスで起きた猟奇殺人事件。犯人は「切り裂きジャック」と呼ばれた

フロム・ヘル

アラン・ムーア原作、エディ・キャンベル作画のグラフィックノベル。及びそれを原作とした2001年製作の映画。切り裂きジャックを作品の題材に使用している。
原本は1999年に単行本発売。日本語版は2009年10月にみすず書房から上下巻で刊行(柳下毅一郎翻訳)。

最初に読んだときは、4章でとてもついていけないような口上が続いて、読んでいるだけで気分が悪くなりそうだった(4章は途中から多少斜め読みしようとした)のだが、最後まで読むとそれも作者の狙いだったことがわかるという、恐るべきコミック。大胆不敵とはこのことだ。

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▼綿密な調査に基づいて、徹底的に「現実に起きたこと」に即している

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あらすじ

1888年のロンドンが舞台。残虐な娼婦連続殺人事件が発生し、アバーライン警部が捜査に当たる。数年前に妻子を亡くしてから無気力、そして刹那的に生きていた彼は、捜査の途中で出会った赤毛の娼婦メアリーと惹かれあうようになる。被害者たちの知られざる共通項と、この殺人事件の裏にフリーメイソンが関わっているのを嗅ぎ付けたアバーライン警部だが、殺人者の手はメアリーにも伸びていた。

▼圧巻な世界観

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コマ割りについて見ると、日本の漫画はコマの大きさや形を操って、ときには大きなコマのダイナミックな構図に読者の視線を釘付けにし、あるいは小さくてイレギュラーな形のコマで視線を流れるように移動させ、シーンを疾走させるといった巧緻きわまりないテクニックで物語を動的に体感させてくれるという印象があります。

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それと比較すると『フロム・ヘル』のコマ割りは、文芸作品で一行の文字数が決まっているのと同じように、コマの形や大きさがほとんど均一です。考えてみると文芸作品を読む際には、活字の大きさや行の長さが一定であるからこそ、読み手は一文の表す内容だけに依存して自分で視線をコントロールしています。一文を何度も読み返して考えたり、前後の行との間の“行間”を読み解いたりし、まったく同じ文章が物語全体の中の別々の箇所で繰り返されていたら、それらの箇所を結びつけるような物語の立体構造に気づきます。ムーアの作品はそれと同じような読まれ方をしたときに、最大の効果をあげるように描かれています。

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▼アラン・ムーア自身が自作のなかで最も完成度の高い一作と自負している

Alan Moore

1953年11月18日生まれ(61歳)
イギリス ノーザンプトン出身
漫画原作者・小説家・脚本家
ジャンルは、SF・フィクション・ノンフィクション・スーパーヒーロー

コマの細部に込められた意味とニュアンスを読み解き、周到に埋め込まれた伏線、隠し部屋のようなサイド・ストーリーを味わい尽くしながら、完成された物語世界に浸りたい。 読み終わるすべての読者が、必ずカタルシスを味わうだろう。

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