夏色キセキ(スフィア)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『夏色キセキ』は2012年4月から6月まで放送されたテレビアニメ。
2009年の結成当初から温められていた寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生による声優ユニット「スフィア」の4人を主演にしたアニメの企画が実現したもので、静岡県下田市に住む女子中学2年生4人の日常と、御石様と呼ばれる願い事を叶える不思議な石の力によって巻き起こる「キセキ」が描かれている。
作品の舞台となった下田市民からは作品終了後も愛されており、キャラクターの誕生日が近付くと「誕生日会」と銘打ったオフ会イベントが行われている。

永遠に繰り返す8月26日を過ごす夏海達。オーディションのパフォーマンスを成功させたら終わらない8月26日が終わると思われたが、またも8月26日に戻ってしまった。

「思い残した事はないはずなのに何故?」と困惑する夏海達だが、自分達を取り巻く不思議な現象は何故起きるのか、何故自分達は8月26日を繰り返すのか、と御石様に関するヒントを探して姫石神社の社伝を読み漁っていた凛子が辿り着いた結論は「御石様の力とさよならする」という事だった。

全てをやりきり、この夏休みに大満足の優香は未練のない様子だが、再び時が動き出したら今度こそ紗季との別れをしなければならず、夏海には「覚悟」が必要だった。

勿論、紗季も淋しい気持ちは持っていたが、「終わらないものは思い出になってくれない」という言葉によって全員がキセキとのさよならを決意する。

また、ライブ中のMCで紗季を演じた高垣彩陽が使ったり、スフィアライブ恒例の朗読劇でネタにされたりするなどスフィアのメンバーにとってもお気に入りのセリフである。

『夏色キセキ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アニメの補完をしてくれるコミック

開始早々夏海と紗季が大喧嘩を始め、いきなりの絶交宣言と最悪な雰囲気の中で始まる『夏色キセキ』だが、アニメの前日談を描いたコミック1巻では紗季が両親に呼び止められ、何かを告げられるシーンと、それ以降練習に来なくなるシーンがあるため「紗季が転校するのでは?」と、コミック版を読んでいた読者はアニメ放送前から予想出来ていた。

TwitterなどのSNSに書き込まれた視聴者の感想を見ると、コミック版を読んでいるか否かで大きく評価が分かれており、予備知識としてまずはコミック1巻を読んでからアニメ1話を見るのが最も混乱する事なく『夏色キセキ』に入れる「鉄板パターン」である。

スフィアの実話から来ている交換ノート

1話で荷物を整理する紗季の部屋から見付かった交換ノートだが、これは実際にスフィアの4人で交換ノートをやっていた時に高垣彩陽のところで止まっていたという実話から来ている、いわゆる内輪ネタ。(ノートのサインやイラストも本人達が書いている)

BDのコメンタリーで高垣彩陽がそれを話した時、メンバーから「ノートが来ない」といじられていた。

初期の構想で夏海達は自転車通学予定だった

夏色キセキの企画段階で夏海達は自転車通学の予定だったが、下田南中学校のモデルとなった下田東中学校は急な坂の上にあり、自転車通学は辛いという事で却下となった。

また、スフィアの4人もロケハンに同行しており自分達の足で坂を歩いて学校まで向かい、徒歩で中学校に向かう夏海達の気分を体験していた。

OPで4人が待ち合わせをしている場所

OPで4人が下田公園(キービジュアルにもなっている)で集合しているカットがあるが、現実的な観点で見ると市街地から外れたところにある下田公園から下田東中学校に向かうのはむしろ遠回りである。

また、下田公園を中間地点として、下田東中学校の丁度反対側に位置する下田中学校も下田公園経由で向かうのは遠回りなので待ち合わせ場所にするのは現実的ではない。

もっとも、これはフィクションの世界に於ける地理の話なので、ロケハン中に家が学校の近くという設定を明かされた優香が、夏海達と待ち合わせるためわざわざ遠回りして学校に向かう必要はあるのかといった事や、実際の下田市の地理と照らし合わせて出て来た疑問や矛盾点を気にしてはならない。

夏海達の憧れるアイドル

夏海達が憧れているフォーシーズンだが、水島精二のTwitterのツイートによると「フォーシーズンのモデルは、モー娘。やZONE(選んだ理由は個人的な好み)」とコメントしている。

最初は直球でスフィアにしようという案もあったが、さすがにやりすぎという事で断念した。

ちなみに、2013年に放送された『勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。』でスフィアの4人が本人役で出演しているが、監督もスタッフも制作会社も違うため『夏色キセキ』とは無関係である。

4話収録の裏話

優香と紗季、凛子と夏海と中身が入れ替わり、普段は見られない表情とセリフで楽しませてくれた4話『ユカまっしぐら』だが、4話放送直後の2012年4月28日に行われたライブのMCで語った裏話によると、収録のスケジュールに2週間余裕があった事もあり、入れ替わった後のセリフを夏海は豊崎愛生、紗季は戸松遥、優香は高垣彩陽、凛子は寿美菜子が、1回目はそれぞれサンプルとして演じていた。

ある意味本番である2回目はそのサンプルを聞きながら収録(但し完コピ「物真似」ではダメという監督からの指示を踏まえて演技)したとの事で、4話は2週間といういつもの倍近い時間を掛けて収録しており、夏海達を演じるスフィアの4人も普段以上に力を込めて演じているだけあって非常に人気の高い回となっている。

意外とサプライズではなかった紗季の転校先

1話で東京の田舎に引っ越すと言った紗季だが、東京の何処に引っ越すかという事に関しては一貫して明言を避けており、放送当初から紗季の転校先は何処かという考察が盛んに行われていた。

ヒントは「東京の田舎の方」という紗季の言葉だけだったが、東京の行政区分を見たら八丈島、伊豆大島といった伊豆諸島も行政的には東京都であり、当初から伊豆諸島のどれかというのは紗季の転校先として有力な候補だった。(更に決定的な伏線として、7話で「伊豆七島は伊豆か否か」という事を巡って優香と夏海が言い争いをするシーンがある)

なので、東京は東京でも八丈島という、夏海達には予想外な転校先でも視聴者から見ればむしろ予想通りで本当に当たってしまったという、違う意味で驚く声の方が大きかった。(アニメでは「島」とだけ言っているが、船の航路や作中の景色から特定。また、コミック版では「八丈島」と名前を出している)

水島監督が語る『夏色キセキ』制作裏話

1クール、たった12話(もしくは13話)と思われがちなアニメだが、アニメの制作は非常に時間が掛かり、最低でも1年以上の準備期間が必要と言われている。

一方の『夏色キセキ』だが、監督を務めた水島精二に監督のオファーが来たのは2011年6月(後年のインタビューによると前述の通りスフィアの結成当初から企画自体は進行していたものの、上手く形にならず当時の監督が降板してしまったため)であり、やむを得ない事情はあったとはいえ、放送まで1年もないという業界では考えられないタイミングのオファーに対して真っ先に口から出た言葉は「遅いよ!」だったとインタビューで語っている。

最終話の完成も放送の3日前だったという話からも過酷な現場だった事が伺えるが、水島精二が『夏色キセキ』に携わっている間、基本的には作業(ほぼ徹夜)と睡眠の繰り返しで、食事も野菜と水と豆乳だけという生活を送っていたところ、体重が3ヶ月で12キロも落ちたという、驚くべき逸話を残している。

「自身の経験した中で最も大変だった、しんどい現場だった」と語る一方で「スフィアの4人を主役にしたアニメを作る機会があればまた一緒にやりたい」とも語っており、水島精二にとっても『夏色キセキ』は思い出の作品になっている。

『夏色キセキ』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):スフィア『Non stop road』

作詞 - 畑亜貴 / 作曲 - 江並哲志 / 編曲 - 虹音 / 歌 - スフィア

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