ドールズフロントライン(ドルフロ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ドールズフロントライン』とは、中国のサンボーンが開発しているスマートフォン用のゲームアプリである。民間軍事会社の指揮官であるプレイヤーは、第三次世界大戦により荒廃した近未来を舞台に、人工知能の反乱により襲い来る機械の兵士たちを撃退するため、銃の名前を冠する戦術人形と呼ばれる機械の少女を率いて戦うことになる。

(このエピソードの時系列は「低体温症」の直後となる)
鉄血のエルダーブレインはS05地区のグリフィン隔離施設「プリンセス・マリオン」を襲撃しM4のメンタルに侵入、これによりM4はメンタルを損傷、スティグマを解除され意識不明となった。その後、M4不在のAR小隊に隊長代理としてRO635を迎えたグリフィンは「低体温症」作戦において鉄血の高等人形アーキテクトを捕獲した。
それからしばらく後。

目を覚ましたM4は、自分が鉄血の司令室にいることに気がついた。エルダーブレインの襲撃によって気を失ってからいったいどれほどの時間が経過したのか、なぜ鉄血の司令室にいるのか。困惑するM4に呼びかける声があった。それは、グリフィンのP08からの通信であった。P08は、M4に助力を要請してきたのだ。何が起きているのかわからないといった様子のM4に、SR-3MPヴィーフリは「M4が目を覚まさないからこうなった」「AR小隊は自分たちのことはどうでもいいと思っている」と非難を投げかける。そんなヴィーフリを諫めて団結を呼びかけるP08に、M4は現状の説明を求めた。
P08によると、鉄血はグリフィンへ総攻撃を敢行。ジュピター砲などを投入したことでグリフィンの管轄地域のほとんどは陥落、他のAR小隊メンバーも所在不明となっているという。この状況で上級指揮モジュールを持った人形はM4しかいないため、M4が指揮を執らないとP08たちの部隊も壊滅するしかないという。状況を理解したM4は臨時指揮官として戦うことを決意。副官権限を得たP08は、電子マップを展開して戦況の説明を開始した。
今回の作戦においては、鉄血は後方に厳重に警備されたAIコアを配置してそこから前線のボスに指令を出すという戦術を取っており、AIコアの撃破は困難なため各地の通信施設を破壊して指令系統を分断するしかないという。既に複数の部隊が鉄血の通信施設に向かっており、それらの部隊を指揮して通信施設を破壊するのがM4の役目であった。
M4はそれを了解しながらも、この状況に不信感を抱かざるを得なかった。グリフィンは壊滅寸前、AR小隊の仲間も指揮官も不在で自分は鉄血の司令室から出ることができない。これは何かがおかしい、と。しかし、まずは目の前のグリフィン人形たちを助けることが優先だと思い直し、作戦指揮に取り掛かるのだった。

夜間作戦の中で、M99が鉄血の指揮拠点周辺に高等人形「ハンター」が出現したと報告してきた。今回の鉄血は信号隠蔽を使用しているため、しらみ潰しに捜索しないと発見が難しいのだという。リスクの大きい作戦を取るしかないからこそM4の指揮が重要なのだと言うヴィーフリ。

M4による指揮が奏功し、ハンターを撃破したP08たち。ヴィーフリは鉄血の指揮拠点に通信施設がないか捜索していたが、この拠点には通信施設が設置されていなかった。次の指揮拠点へ向かおうとしたヴィーフリだったが、撃破されたはずのハンターが再起動してヴィーフリを襲う。そして、爆発音の後、ヴィーフリからの通信は途絶えた。自分の判断の甘さを悔いるM4を、P08は仲間の犠牲を無駄にしてはならないと慰める。
その直後、P08は工廠付近で鉄血の通信信号を発見したと報告してきた。P08は工廠内を調べると言う。単身での捜索は危険だと制止するM4だったが、P08はいちばん経験豊富なのは自分だと言うと、工廠捜索の間に敵部隊を足止めするようM4に要請した。
戦線を支えきれなくなったM99がしきりに催促する中でP08は鉄血の通信施設を発見。すぐに破壊したP08だったが、次の瞬間、通信装置に仕掛けられていた爆弾が起動した。別れの言葉を残してP08は工廠と共に爆死してしまった。ヴィーフリに続きP08まで自身の指揮によって失ってしまったM4は、AR-15の爆死を思い出し絶望するのだった。

それから20分後、M99たちは無事に戦闘エリアから脱出していた。P08の犠牲によって得られたチャンスであった。M99は落ち込むM4を励まし、一人でも無事に生き延びて仲間たちのメンタルモデルを持ち帰れれば犠牲にも意味があったのだと言う。仲間を犠牲にしての勝利という重圧に苦しむM4。そして、P08が失われたことでM99が新たな臨時副官となった。
続いて作戦エリアに現れたのは高等人形「エクスキューショナー」だった。エリアの捜索中、コルトSAAは倉庫から爆弾を発見。「何かに使えるだろう」とM4はコルトSAAに爆薬所持の許可を出した。
作戦の中、高台の建物の資料室に入り込んでいたAAT-52はエクスキューショナーの信号を検知した。しかし、エクスキューショナーの本体はここではなく司令部にいるという。つまり、この建物に指令系統の中継を行う通信施設があると推測される。捜索に向かうAAT-52だったが、突如建物内の照明が全て消え、持っていた暗視システムも機能しなくなった。EMP攻撃によるものだと判断したM4は、捜索を諦めて撤退するよう命じる。しかし、この暗闇の中では撤退すら難しいと言うAAT-52。Super-SASSは、自分がAAT-52の救助に向かうことを提案。M99もそれに賛成し、逡巡しながらもM4はSuper-SASSによる救助作戦を承認した。
鉄血の哨戒部隊をやり過ごしたSuper-SASSはAAT-52と合流。待機中にAAT-52はP08が通信装置の機能を解除したプロセスをモジュール化してより迅速に処理できるよう準備していた。ここには爆発物もなかったし安心して通信施設を処理できると言うAAT-52に、「なんで爆発物がないか、ちゃんと考えたことある?」と問いかける声があった。放送施設から流れてきた声の主は鉄血の高等人形「アーキテクト」だった。グリフィンに捕獲されたはずのアーキテクトが鉄血を指揮していることに驚くAAT-52。アーキテクトは別れの言葉と共に砲撃を行い、AAT-52たちは居室ごと吹き飛ばされてしまった。また仲間を失って悲しむM99を嘲笑するアーキテクトは、エルダーブレインの命令で投降したふりをしてグリフィンに潜入、解体されてAIコアだけになっていたウロボロスを奪回することが目的だったのだと語ると、このまま逃げ回って鉄血部隊に追い詰められるかアーキテクト自身と直接対決して潰されるかを選べ、と宣告するのだった。

M4の動きがないことを不審に思ったアーキテクトは挑発するために通信してきた。しかし、M4はその挑発には乗らなかった。「勝利のためには代価が必要」と言うM99に、M4はアーキテクト撃破のための作戦指示を出すのだった。
想定を下回るグリフィンの攻撃に拍子抜けしたアーキテクトは高笑いしながら挑発を繰り返すが、その間にM99たちはアーキテクトが籠城している指揮拠点の構造を解析。M4は、コルトSAAによる爆破処理まで時間稼ぎの小競り合いを続けるよう指示を出す。M99は、お調子者のアーキテクトがしびれを切らして拠点から出てくる可能性を指摘するが、M4は今回のアーキテクトの行動はこれまでと違うと判断していた。
拠点での小競り合いで損傷しながらも有効打を受けていないアーキテクトは勝ち誇ったように通信で再び挑発してくる。しかし、M4は動じることなく次の指示を出した。その瞬間、アーキテクトの指揮拠点は地下から爆破されていた。炎上し倒壊する拠点の中で狼狽えるアーキテクトだったが、その口調はアーキテクトのものではなかった。裏を掻かれ敗北しながらも強い相手との戦いの喜びにうち震えるのは、アーキテクトのメンタルモジュールに偽装し、自身の躯体が完成するまでアーキテクトのダミーを動かしていたウロボロスであった。
思わぬ相手の出現で慌てて逃走を図るコルトSAAだったが、本来の躯体を取り戻したウロボロスの追撃を逃れることはできなかった。高らかに復活を宣言したウロボロスは、M4を強敵と認めた上で、徹底的に恐怖を叩き込んだ上でずたずたに切り刻むのだと言う。「前菜代わり」と言ってコルトSAAを破壊したウロボロスは、ハンター、エクスキューショナー、アーキテクトの新たなダミーを再起動させM4たちの部隊を包囲した。そんな中、M99はM4が閉じ込められている鉄血司令室のドアロック解除のパスワードを教える。M99によると、M16はM4を守るために鉄血司令部に閉じ込めたのだという。M4はM16の想いに感謝しながらも、自分の力で立ち向かうためにドアの外に出るのだった。

長い戦いの末、M4は刺し違える形でウロボロスを撃破。グリフィンの救援ヘリが到着し、生存したM99は脱出を開始した。M4を犠牲にして生き延びたことを詫びるM99に、M4は「私たちを覚えている人がいる限り消えることはない」と言う。M99は、この戦いの全てのデータを持ち帰り後々に伝えることを死にゆくM4に約束して戦場を離れるのだった。

この仮想戦闘シミュレーションの結果を見たペルシカは落胆していた。これまでの70戦全てでグリフィンが勝利しながらもM4は必ず最後に自己犠牲を選択していた。「M4は死を望んでいるのでは」と疑念を抱くペルシカ。そこに現れたヘリアンは、これ以上のシミュレーションは時間と費用の浪費ではないかと言う。ペルシカは、これまでのデータでM4のメンタルモデル修復のためのデータは取れたと答える。ペルシカによると、これは単にM4のメンタルモデル修復のためだけでなく、I.O.P.社製の人形と鉄血工造製の人形のAI技術の差異をテストするためのものでもあるという。I.O.P.社製人形の指揮ネットワークはネット型であるのに対して鉄血工造製の指揮ネットワークはツリー型であり、柔軟性と引き換えに効率が高いというのだ。このシステムはグリフィンの人形に使用することはできないが、研究中の新型AI搭載ドローン(註:妖精システム。時系列ではこの後に開発されることになる)に使用可能だと答えるペルシカ。
M4の身を案じるペルシカは、ヘリアンに「AR小隊をあまり危険な任務に投入しないでほしい」と言うが、ヘリアンは、鉄血のエルダーブレインが自らM4を狙って襲撃してきたのだと言う。ペルシカは、亡きリコリスが作り出したエルダーブレインは、M4のメンタルモデルに何らかの答えを求めているのだと推察するのだった。

一方その頃、グリフィン基地内にある秘密の看守室で、アーキテクトはメンタルモデルだけになったウロボロスと会話していた。自分のメンタルコアを使用しての仮想シミュレーションで自分が敗北したことでふてくされたウロボロスを慰めるアーキテクトは、「お利口にしてればグリフィンも考え方を変えるかも」と、協力的姿勢を見せれば再び躯体を作ってもらえる可能性を示唆するが、ウロボロスは「どうせ利用されるだけだ」と聞く耳を持たなかった。「アーキテクトの性格がシミュレーション上ぐらいにまともであれば自分が捕らえられることはなかった」と罵るウロボロスだが、アーキテクトは再び鉄血に仕えるつもりはないと断言する。呆れるウロボロス。アーキテクトは、「グリフィンが好きだからではなく自分自身が好きだから投降した」と言うと、ウロボロスはウロボロス自身を好きかと問う。ウロボロスは、その問いに言葉を濁すのだった(註:この理由は後々の「邪神ちゃんドロップキック」コラボシナリオ内で判明する)。そして、アーキテクトは、好きなことだけをしている自分が最も鉄血人形らしい人形だと言う。エルダーブレインの命令に従うことこそが鉄血の存在意義だと考えていたウロボロスは、驚きながら「おぬしが鉄血の何を知っているという」と言うが、アーキテクトは鉄血AIの製作者であるリコリスの名前を挙げ、リコリスが存在する限り「あたしたちは真の自由を得られないのよ」と言う。アーキテクトは、鉄血人形の造物主が死してなお自分たちの生き方を縛っていることを知っているかのようであった。

深層映写01「認知混迷」

UMP45は、思い出したくないけど消したくない過去の記憶に苛まれる

(このエピソードの時系列はEP08緊急の直後である)
エルダーブレインによるメンタルモデル破損から復活したM4は、急いで他のAR小隊メンバーと合流しようとしていた。まだ細部の調整が終わっていないとして引き止めるペルシカだったがM4の決意は固く、ペルシカも引き下がらざるを得なかった。メンタルモデルの制限を解いて以降、これまでとは違い荒々しさが目立つようになったM4の人格に何らかの変調を感じるペルシカだったが、彼女には急いで行わなければならない作戦があった。M16が16LABへ向かわせたものの、ドリーマーによって撃墜されたドローンの残骸を回収しなければならないのだ。しかし、クルーガーの指示で配置転換を行った今のグリフィンには、ペルシカの指示で動かせる戦術人形部隊が不在だった。そこでペルシカは404小隊の窓口となっているある人物へと連絡を取る。

その頃、404小隊はメンテナンスを終えていた。非正規部隊であるためグリフィンの最新式施設でサポートを受けられず、廃墟の地下にこっそり作られた小汚い施設でメンテを受けることに不満を漏らす416だが、G11は別段気にしていなかった。そこに通信が入り、すぐにペルシカから依頼された任務を受諾する404小隊。その任務には電子戦を伴うため、新しい接続モジュールをインストールする必要があった。
そして、新たな任務に備えて電子戦の訓練を開始する404小隊。これまで電子戦の経験がない416とG11は尻込みするが、UMP9のサポートにより感覚変換を行うことで電子ネットワーク内でも通常と同じ感覚で戦闘するのだから心配はいらないと説明するUMP45。ただし、電子戦で敗北すると戦術人形の電脳が焼き切れたりメンタルモデルが破壊される、つまり現実世界での敗北と同じように命がけであるとも。

その訓練後、UMP45はメンタルモデルの不調を訴えていた。封印していたはずの古い記憶データがフラッシュバックを起こしている、と。404小隊の整備を担当するデールは新規モジュールの副作用で実害はないと言うが、触れたくないが消したくはない過去の記憶に悩まされるUMP45は釈然としなかった。その過去の記憶データは、人形が人間に従って生きることへの疑問を投げかける。それを口にしていた人形はもうこの世にいないはずであった。
404小隊の他のメンバーは、いつも冷静なUMP45が珍しく動揺していることに危惧を感じていた。

404小隊の新たな任務は、汚染地域内にある鉄血の重要拠点・S15地区に墜落したドローンの回収であった。そのドローンは極めて重要であり、何を犠牲にしても回収しなければならないという。しかし、その詳細は説明されなかった。厄介な任務であるが報酬は極めて高額。裏にある事情を察するものの、404小隊としては引き受けざるを得なかった。デールの相棒で連絡や情報提供を担当するシーアは、デールが問題のないただの副作用としたUMP45の不調には別の要因があるのでは、と言う。その調整のためにも再度電子戦の訓練をする必要があった。

UMP45は、自分が「戦術人形UMP45」になった時の記憶を思い出していた。大戦による大規模破壊で電子ネットワーク自体が限定的になった今となっては時代遅れの電子戦専用人形である自分に適当にあてがわれた銃がUMP45であり、スティグマシステムによって自分がその名で呼ばれるようになったこと、必要とされたのは強い銃で戦う人形で電子ネットワークに潜れる人形ではなかったことを。使い捨てられる予定の人形、それがUMP45だった。

電子戦を終え再調整を行ったUMP45だったが、未だに不調は続いていた。そこに現れたシーアは、訓練用のネットワークに手違いで他の戦術人形のメンタルモデルがまぎれ込んだという。デールのうっかりが招いた事故ではあるが、グリフィンの戦術人形のメンタルモデルが欠損したとなればこちらにとばっちりが降りかかる。404小隊は、実戦訓練としてネットワーク上に取り残されたメンタルモデルの断片を回収することとなった。他のメンバーはUMP45の不調を心配するが、UMP45は皆の不安を打ち消すように普段通りに振る舞ってみせていた。

404小隊によりメンタルモデルが復元されたことで、グリフィンの新人指揮官の元へ配属された途端に意識を失っていた新人の戦術人形・KLINが目を覚ました。配属早々動けなくなっていた割に、目を覚ますといきなり威勢よくまくしたてるKLINに戸惑うカリーナ。子供のような外見ながら自分がグリフィンのナンバーワン人形だと主張して射撃場に向かうKLINだったが、カリーナはこのKLINの突然の機能停止と再起動に何らかの外部要因を疑っていた。

実戦訓練を終え出発準備を整えた404小隊に、ペルシカからの貸与物資が届いた。16LABの新装備「妖精」である。戦闘支援ドローンに自律型AIを積んだこの新装備のテストも作戦中に実施してほしいというのだ。早速ドローンを起動させたUMP45だが、可愛らしく喋る妖精を模したキャラクターの立体映像が表示されて戸惑う。この妖精が持つ信号探知能力が今回の作戦では有用だと説明するシーア。UMP45は、この妖精を開発したのがペルシカ単独ではないのではと思って尋ねるが、シーアもそれを把握してはいなかった。珍しく他者のことを詮索するUMP45を不思議に思うシーア。しかし、UMP45はその詮索を冗談だとして止めるのだった。

その頃、鉄血の司令室ではデストロイヤーが上司であるドリーマーにドローンの回収を急かしていた。鉄血の統括者であるエルダーブレインからは何の指令もないからと回収を面倒くさがっていたドリーマーだったが、自分の行動が無駄だったと知ったM16がどんな顔をするかを見るためだけに回収をしてもいいかという気分になっていた。
ドリーマーはデストロイヤーに回収を命令するが、デストロイヤーは電子戦型人形ではないからドローンの居場所を探知することもできず、その上ここのところ連戦連敗のため出撃を渋っていた。ドリーマーへ新型のボディを要求するデストロイヤー。鉄血人形の製造ラインを管理しているのはドリーマーで、その権限を利用して自分を強化していることを羨むデストロイヤーは自分も大幅に強化されたいと思っていたのだ。デストロイヤーの懇願に思うところがあったのか珍しく素直に承諾したドリーマー。しかし、その笑いは何かろくでもないことを考えている時のものだった。

深層映写02「双曲関数」

落ちこぼれ人形のUMP45は、同型機であるUMP40に励まされて少しずつ前向きになっていった

新たなボディを手に入れて勝ち誇るデストロイヤーだったが、その姿は「巨大なザコ機械兵」だった

夜陰に紛れてS15地区に潜入した404小隊。S15地区は北蘭島事件(第三次世界大戦の遠因となった全世界規模の汚染災害)によって世界中にばら撒かれた変異物質であるコーラップスに汚染されているため、ごく稀ではあるがE.L.I.D感染者、つまりコーラップス汚染によりゾンビ化した人間が徘徊している。そのこともあってかゾンビ映画の話題で盛り上がる404小隊だった。そんな中、UMP45が電子戦の準備のため離脱すると、UMP9はUMP45の様子がおかしいことを皆に問いかける。UMP45が何かに感染しているのではないかと疑うG11。

鉄血のネットワークに何者かが侵入したことを検知したデストロイヤーだったが、その信号はグリフィンのものではなかった。しかし、電子戦型ではないデストロイヤーには発信者を正確に識別することができなかった。ドリーマーからグリフィンと鉄血のネットワークシステムの違いを説明されるデストロイヤー。ドリーマーは、仲間ではないなら「傘」に感染したグリフィンの人形ではないかと推理する。「傘」ウイルスは、グリフィンのシステムを鉄血のものに書き換えて鉄血の命令系統に組み込むものであった。ドリーマーは堂々と侵入してきた相手を面白がると、ボディの改装中でメンタルモデルだけが起動しているデストロイヤーに迎撃の指揮を命令する。更にドリーマーは、自分が書いた恐怖心を煽る内容の警告放送をデストロイヤーに命じるのだった。
偵察拠点を確保してドローン捜索を開始した404小隊。そんな中で匿秘回線でデールに連絡したUMP9は、UMP45のメンタルモデルの状況を聞く。そこでデールは、UMP45のデータ送受信量が極端に上下していることを確認した。異常というほどではないが気がかりな状況ではあった。そこに電子戦の準備を終えたUMP45が戻ってくる。同時に、鉄血が警告放送を開始した。侵入者を煽りたてるデストロイヤーだったが、既にグリフィン内ではデストロイヤーは「負け犬のバカ」と認識されているため皆相手にしない。しかしデストロイヤーはそれを見越した上で「自分は大幅に改造強化されている」と誇らしげに宣言するのだった。

UMP45は、この放送を「相手のハッタリ」と断じる。背後には別の高等鉄血人形がいて、詳細がわかっていない状況でこちらを脅かしてボロを出すのを狙っているのだと。そして、ドローンの探索には拠点に設置されたジャミング装置の破壊が必要であると。ジャミング装置の破壊と聞いて、以前のウロボロスとの戦い(イベント「キューブ作戦」)を思い出す404小隊。
一方、ドリーマーは侵入者の正体を既に特定していた。ウロボロスとの戦いを介して「傘」ウイルスを感染させていたUMP45である、と。ドリーマーは、あれから1年ずっと機会を伺っていた。そのUMP45を挑発すべくドリーマーはデストロイヤーに新たな放送を命令する。ドリーマーにとって、もはやドローンはどうでもよくなっていた。UMP45を追い詰めた挙句に鉄血人形に仕立てあげる、それがドリーマーの求める愉悦だった。

G11の狙撃によりジャミング装置を無力化した404小隊。UMP45もそれに呼応してドローンの位置を特定していた。しかし、そのタイミングで再度デストロイヤーの放送が開始される。その放送で素性を特定され、驚きを隠せないUMP45。正体と所在を把握しているとして恐怖を煽る宣言(文面はドリーマー考案)で勝ち誇るデストロイヤー。ドリーマーは、UMP45の恐怖が頂点に達したところで「傘」ウイルスを活性化させて彼女を支配しようとしているのだ。

作戦中止と撤退を要請するUMP9、それに同調する416。しかし、UMP45はそれが相手の狙いだと断じる。相手が把握しているのは自分だけで他の小隊メンバーの行動までは認識していないはずだと。そこでUMP45が囮となり、その間に他のメンバーがドローンを回収する。それがUMP45の作戦だった。
作戦行動中、偵察拠点に移動したG11が工廠から大型の鉄血機体の識別信号をキャッチした。それこそがデストロイヤーの新たなボディであった。高らかな宣言と共に工廠を破壊して粉塵の中から現れたデストロイヤーの新たな姿。
それを見たG11は思わず吹き出してしまうのだった。黒光りする小山のような巨体。それは、超巨大サイズに拡大されたダイナーゲート(鉄血の代表的なザコ機械兵、本来は犬程度の大きさ)だった。「話が違う」と激怒してのたうち回るデストロイヤー。ドリーマーはあくまでうっかりミスを主張するが、明らかにデストロイヤーへの嫌がらせだった。その巨大なダイナーゲート、コードネーム「ケルベロス」は見た目こそ残念だが、巨大なミサイルランチャーとビーム砲を持ち、獣の敏捷性と大きさに見合うパワーを持つ強敵であることに間違いはなかった。
猛スピードでUMP45を追走するケルベロスは、ドリーマーがなぜUMP45に執着するかを尋ねる。ドリーマーはその問いに「直感」と答えるのだった。そもそも、発端となったウロボロスの一件にしても404小隊が出てきたのはドリーマーにとっては偶然だった。度重なる偶然がドリーマーのUMP45への執着となっていた。ケルベロスでUMP45の至近距離に近付き、ケルベロスのボディから発する鉄血の信号を「傘」に送り込み、UMP45のシステムを書き換えて鉄血人形と化したUMP45で他の404小隊を抹殺する。それがドリーマーの計画だった。

デストロイヤーが入っているケルベロスがUMP45を、そして3体の同型機がそれぞれ他の404小隊メンバーを追いかけて分断する。このドリーマーの作戦により窮地に陥った404小隊。しかし、そこへ通信が入る。通信の主はDSR-50、この拠点に侵入したものの分断された状態で閉じ込められた先客の戦術人形部隊リーダーであった。共同での脱出作戦を提案してきたDSR-50に応じたUMP45は、生還のためにDSR-50とその仲間の救助を引き受けるのだった。UMP45はDSR-50の狙撃手としての腕を知っており、彼女がいればケルベロスの破壊が楽になると判断したのだ。
UMP45が囮になる作戦に反対するUMP9。しかしUMP45は、自分は任務のために自己犠牲を選ぶ人形ではない、生存する策があると説得。ようやく説得に応じたUMP9はドローン回収へと向かうのだった。

UMP9はまた匿秘回線でシーアとデールに連絡する。そこでデールからもたらされたのは、この拠点にある鉄血の回線からUMP45の電脳に不正アクセスが連続して行われているという報告だった。UMP45に鉄血のウイルスが感染しているという事実に驚くUMP9。UMP45はシーアたちや404小隊との接続を遮断していた。
416は、あの利己的で他人を囮に使うのが得意なUMP45が自ら囮を買って出たことに驚いていた。UMP45がそこまでするということはきっと何か意味がある、そう判断した416はG11を伴い作戦行動を開始する。

G11と416による制圧射撃に翻弄されながらもUMP45に信号を照射可能な距離まで近付いたケルベロス。ドリーマーは愉悦に満ちた声でデータ書き換えの指示を出すのだった。
重装甲でまともにダメージが入らないケルベロスに苦戦するG11たち。UMP9は、装甲型目標の破壊を得意とするDSR-50と合流できるまでケルベロスの足止めをするよう指示を出す。
一方、全ての通信を遮断して鉄血が自分の電脳に侵入してくるのを阻止しようとするUMP45は、またもフラッシュバックする過去の記憶に苦しめられていた。

まだUMP45がグリフィンで実戦配備へ向けての訓練を行っていた頃。
電脳の容量の大半を電子戦モジュールに取られているため上級射撃管制システムを搭載できなかったUMP45は、射撃訓練では不合格続きだった。他の人形よりも多く練習しているのにまるで成果が上がらないことで、UMP45はすっかり自分を駄目な人形だと思い込んでいた。そこに現れて彼女を励ましてくれた陽気で快活な戦術人形は、彼女と同様に電子戦用に造られた人形を流用しUMPシリーズの銃をあてがわれた「UMP40」だった。同じ悩みを持ちながらも前向きでいつもUMP45を支えてくれたUMP40は、彼女にとってまさしく優しく頼れる姉であった。

ドリーマーが勝手に「傘」ウイルスの権限を使用したことを咎める警告音が鳴り続けるが、ドリーマーにとってはUMP45を鉄血人形に仕立て上げて仲間と殺し合わせることの方が重要であった。その凄惨な光景を見ることこそがドリーマーにとって何より優先する欲望だったからだ。
しかし、書き換えられたはずのUMP45のシステムはドリーマーの命令を拒絶する。鉄血のネットワークシステムを持ちながら、より上位の権限でドリーマーの命令を拒否するUMP45の異常性にある仮説を見出したドリーマーは、驚愕から狂喜へと至る。予測以上に面白い結果が得られるならば想定外の事態でも構わなかったのだ。

UMP9はドローン回収に成功し、デストロイヤーを搭載したケルベロスはUMP45の位置を特定するために棒立ちになったところをG11とDSR-50の同時狙撃により破壊された。しかし、わずかな隙間から鉄血のネットワークに侵入されたUMP45の電脳は、ドリーマーが基地内全部のサーバーを利用して送り込んだ攻撃プログラムを受けて著しいダメージを受けていた。

UMP45がUMP40とのチームで行動していた頃。
任務のさなか、どちらかが犠牲にならなければ停止しないセキュリティシステムに阻まれたUMP40とUMP45。UMP45にとって、思い出したくはないけれど絶対に消したくない記憶の断片だった。

目を見開いたまま動かなくなったUMP45の元に駆け付けたUMP9。UMP45は電脳を完全に焼き切られる寸前で鉄血のネットワーク攻撃を遮断したものの、その機能は停止していた。指揮が可能な人形が不在な状況では、疲弊した404小隊がここから脱出する手段がない。生存のためにはこの場でUMP45の電脳に潜って修復しなければならなかった。電脳に潜っている間は無防備になるため見つかったらそのまま破壊される。しかし指揮のないまま戦っても結果は同じである。残った404小隊メンバーは、少しでも可能性のある方へ賭けるのだった。

深層映写03「対立行為」

UMP40は愛する妹のUMP45に「自分のために生きる」という願いを託して自身の破壊を命じた

新しいボディであったケルベロスを撃破されたデストロイヤーは、再びメンタルモデルだけの状態で目を覚ました。UMP45の信号が消えたことを確認したドリーマーは、UMP45が機能停止するまで攻撃プログラム送信を中継できたデストロイヤーの任務達成を讃える。しかし、そこに至るまでのデストロイヤーの不手際に言及したドリーマーは、これまでの余裕のある態度から一変して別人のように口汚い怒声でデストロイヤーを叱りつけた。豹変したドリーマーに恐怖するデストロイヤー。激情を叩きつけてすっきりしたのか元の口調に戻ったドリーマーは、404小隊とその協力者を皆殺しにすべく最後の作戦を開始する。

一方、UMP45の電脳内部に潜った416とG11は、UMP9の指示で破損したUMP45の記憶断片を回収する作業を開始した。鉄血のネットワーク攻撃を最小限に防いだUMP45の攻性防壁が、今度は416たちを阻む敵として立ち塞がる。通常の戦術人形であるUMP9は、指揮官として多方面の情報を処理する能力に乏しいため非常に疲弊していた。人間の指揮官の大変さを今更思い知るUMP9だった。
回収した断片はデールが修復していくが、その過程でUMP45の他者に知られたくない記憶データに触れざるを得なくなる。UMP9は、自分の知らないUMP45のことを知りたい気持ちと、それを見てしまうことに怯える気持ちの両方に苛まれていた。
他愛もない口喧嘩をしながらUMP45の記憶回収を続ける416とG11。そんな中で416は、自分はいずれ汚れ稼業の404小隊を離れて再度表舞台に戻りたいという願いを口にする。それに対して、既に違法人形である自分たちはもう表舞台に戻れないとG11は言う。しかし、416は可能性がある限り諦めたくないと応える。そんな416に「成したことがその人の本質を表すわけじゃない」と突然含蓄のあることを言うG11だったが、それは彼女が観たアニメの受け売りだった。感心から一転落胆する416。
一方、鉄血の拠点では、ドリーマーが今度こそデストロイヤーの注文通りに全機能を強化したセクシー美女のボディを用意していた。喜びつつもまだドリーマーが素直に要望を汲んでくれたことを信じきれないデストロイヤー。3時間近く行動を起こさない404小隊を「包囲網の隅っこで死にかけてる」と侮るデストロイヤーだったが、ドリーマーはまだ諦めずに反撃の機会を伺っているのだと推測していた。そして、404小隊が諦めていないのならUMP45はまだ生きているのではとの予測に至った。ドリーマーは、反撃の機会を潰すためにデストロイヤーの改装が終了したらすぐに出撃するよう命じた。更に、ケルベロスの予備機もデストロイヤーに貸し与えた。

416は、長時間にわたる電脳に潜っての作戦にすっかり疲れ果てていた。元々電子戦用ではない416にとっては勝手の違うことばかりであったからだ。しかし、回収すべき破損データもあと少し。416は、UMP9に「もしUMP45を助けられなかったら今後は小隊をどうするのか」と問う。しかしUMP9は、そんな先のことまでは考えていないという。その場その場をなんとかクリアするだけで手いっぱいで、UMP45のように用意周到にはなれないのだ、と。鉄血の捜索部隊が404小隊の行方を探している中、自分にとって最後の家族である小隊メンバーを守る決意を胸に作戦指揮を執るUMP9だった。

警報を受けて慌てて電脳から現実世界に戻った416とG11。彼女らを待っていたのは鉄血の警告通信だった。初めて見るタイプの鉄血人形だったが、G11はその馬鹿っぽい喋り方を聞いてすぐに「デストロイヤーだ」と気付いた。余裕しゃくしゃくに降伏勧告をするつもりがすっかり小馬鹿にされて逆上するデストロイヤーは、機体性能を誇示して404小隊抹殺を宣言するが、UMP9は「正規軍の戦術人形より性能が下なら勝てる」と判断、迎撃態勢を整えるよう指示を出した。

これはUMP45にとって、思い出したくないが絶対に忘れたくない記憶。
国家保安局による鉄血工造の違法研究摘発作戦に貸し出されたUMP40とUMP45だったが、鉄血によるシステム書き換え攻撃を受けた国家保安局の戦闘部隊は同士討ちでほぼ壊滅。電子戦支援部隊であったUMP40とUMP45も味方であったはずの人形を破壊しながら逃走を続けていた。そんな中、UMP40はこの作戦失敗が仕組まれていたこと、自分がそのために送り込まれた鉄血製のスパイ人形だったことを告げる。そしてUMP45はUMP40の予備機であった。二人はこの後、時限式セキュリティプログラムで電脳を破壊されこの事件は闇に葬られるはずだった。しかし、UMP40はこのままで終わらないよう準備をしてきたのだ。UMP45の指揮官権限を書き換え、自分以外の誰からの命令も拒絶するように。そして、どちらかの破壊が停止条件となるセキュリティプログラムが起動し、選択を迫られるUMP45。それでもUMP40を殺せず躊躇するUMP45だったが、UMP40はそんな彼女を激しく叱咤した。遂に生き残ることを決断したUMP45は、最愛の姉の求めに応じてUMP40の頭を撃ち抜いたのだった。「何があっても、あんたは生き残らなきゃいけないの」「人形だって、自分のために生きることが許されていいはずよ」「他人のためじゃなく、自分のために」それがUMP40の遺した言葉だった。

新型のボディ「ガイア」を手に入れたデストロイヤーと、その指揮する部隊は手ごわく、充分な指揮を受けられない416とG11では歯が立たない。撤退を主張するUMP9だが、ここで退いたら押し込まれるだけだと反対する416。自分の指揮能力の低さに絶望し戦いを諦めようとするUMP9だったが、その前に現れたのは電脳の応急修理を終えたUMP45であった。シーアの情報支援により既に戦況を把握していたUMP45は、手薄なルートを使ってデストロイヤーを破壊し包囲網を突破する作戦を立てる。そしてUMP45は、自分が倒れていた間に戦線を支えてくれていた小隊のメンバーに「ありがとう」と告げる。それはあまりに彼女らしくない言葉だった。「そんなことより私たちの得意な方をやりましょ」と闘志を燃やす416。UMP45は、夜明けまで生き残ってみんなで脱出することを誓う。

これは、脱出にまつわる記憶であり今に繋がる記憶。
UMP40を喪い、悲しみの中で鉄血の工廠から脱出するUMP45。その前に立ちはだかったのはこの作戦に国家保安局の戦闘部隊メンバーとして参加していたM16だった。UMP45を電子戦支援部隊を装った敵の工作員と認識したM16は彼女に銃を向け、UMP45は最愛の姉の遺言を守るため生き残ろうとする。
この戦いは決着することはなく、今に至る。

UMP45の復活で作戦能力を取り戻した404小隊の反撃によって隙を衝かれ、包囲網を突破された挙句せっかくの新型ボディを失ったデストロイヤーは、またメンタルモデルの状態で目を覚ました。デストロイヤーの度重なる失策を指摘するドリーマーだったが、今回は特に声を荒げて叱責することはなかった。号泣しながら謝るデストロイヤーを宥めるドリーマーは、あの脱出劇の背後には強力な助っ人がいたのではないかと推測していた。作戦失敗はデストロイヤーだけではなく自身の失策でもあったとするドリーマー。それに、この作戦ではドリーマーにとってはM16の残したドローンを回収するよりもっと大きな収穫があった。UMP45の過去についての情報は、エルダーブレインにとって自身の誕生に関わりのある話であった。そして、新たに鉄血に加わったM16にとっても重要なものであった。

深層映写04「虚数迷宮」(ランキング戦)

S15地区の包囲網を突破し脱出した404小隊。そこに聞こえてきたのはグリフィンのヘリアンによる大規模な警告放送だった。S15地区近辺に展開していたグリフィン部隊全軍への撤退命令、それが放送内容である。先の戦闘でUMP45に照射された「傘」ウイルスの活性化データを大出力で無差別放射しながら鉄血の大軍が攻め込んできたのだ。潜在的感染者となっていたグリフィンの人形がこのデータ照射を浴びれば瞬く間に鉄血にコントロールを奪われてしまう。大急ぎで退避するグリフィン部隊を1体でも多く救助して多額の報酬を入手するため、連戦で疲弊していた404小隊は気を取り直して避難経路の確保に向かうのだった。

深層映写 / 音声ファイルの断片より類推された情報

UMP40とUMP45はまだエルダーブレインに占拠される前の鉄血工造が造った違法人形「DSI-8型」である。電子戦人形として作られたのは、ウイルスモジュールを電子戦モジュールに偽装するためである。UMP40は自分の任務を知っているが、UMP45はUMP40の予備機なのでUMP40が破壊されるまでそれらの情報データは解放されない。

UMP40については鉄血工造でもオーダーに応じて作っただけで使用目的は知らされていない。黒幕がUMP40をグリフィンに送り込んだ目的は、国家保安局の作戦を失敗させて鉄血工造が開発していた統括人工知能エルダーブレインを暴走させるため。

国家保安局による鉄血工廠制圧作戦(後に「胡蝶事件」と呼ばれる)には戦闘部隊メンバーとしてM16や416が参加しており、当時はエリート人形であった416はグリフィンからの電子戦支援部隊であったUMP45を「話す価値のない下っ端人形」と認識していた。一方でM16はUMP45に気さくに声をかけている。

鉄血工廠に潜入した国家保安局の戦術人形が同士討ちを始めたのは、「傘」ウイルスの原型といえるウイルスモジュールで戦術人形のネットワークプロトコルを書き換えたため。

この作戦に参加するはずだった416は命令違反を犯したことで解任、左遷された。この件にはUMP45が関わっていたらしく、M16はUMP40を通してUMP45へ謝罪している。この時416に解任命令を下したのがパートナーであったM16だったことが今なお416がM16を恨み、執着する原因となっている。

UMP40は、自分とUMP45が同型の人形であることを利用して、登録上はUMP45と「2体で1体」になるよう設定していた。このため時限式セキュリティプログラムによる自壊はどちらか1体が破壊されると停止する。

UMP40は自分が非合法な目的で作られた使い捨ての駒であると認識していたため、内心で人間の命令に従うことを嫌悪していた。UMP40は破壊される前にUMP45の指揮官を自分に設定していたため、指揮官登録されている存在がこの世にいないUMP45は誰の命令も受け付けることはない。ドリーマーがプロトコルを書き換えても指揮官権限がUMP40のままであるため、UMP45はエルダーブレインや鉄血の高等人形の命令を拒絶できる。

クリスマスイベント「雪夜の無礼講ノクターン」

デストロイヤーにそうとは知らずプレゼントを渡した指揮官は、グリフィンの皆の待つパーティー会場へ向かうのだった

今日は楽しいクリスマス。パーティーを待ち望んで浮かれる鉄血のデストロイヤーだったが、エージェントは今の鉄血の備蓄状況ではとてもじゃないがパーティーを開く余裕がないことをデストロイヤーに告げて倉庫の管理業務を命令する。実際に自分の目で鉄血の備蓄が枯渇しかかっていることを確認し落胆するデストロイヤー。そこに現れたドリーマーは、グリフィンの基地では今年もクリスマスパーティーが開催されることを告げる。自分たちよりも貧乏所帯だと思っていたグリフィンがクリスマスを祝う余裕があることに腹を立てたデストロイヤーは、偵察の名目で出撃する。居合わせたゲーガーも思うところがあったのか、デストロイヤーに同行を申し出るのだった。
一方その頃、404小隊は寝ているG11をグリフィン指揮官の居室に預けると、ある目的を果たすために出動していった。

グリフィン基地では、カリーナを司会に戦術人形たちによるクリスマスパーティーが始まろうとしていた。カリーナが司会を務めているのは、急用で不在となった指揮官の代わりである。指揮官不在ということでざわめく人形たちだったが、カリーナはプレゼント交換会の開催を宣言する。その中には指揮官のプレゼントもあるという。人形たちは、誰が指揮官からのプレゼントを受け取るかで大騒ぎをはじめた。スプリングフィールドは、まだプレゼントを用意していない人形たちのために近所でプレゼントの調達を提案。その提案に従って多くの戦術人形が基地から出撃していった。
その様子を盗み見していたデストロイヤーは、プレゼント交換会の情報を聞きつけてそのプレゼントを強奪する計画を思いつく。鹵獲・改造されてグリフィン部隊に使役されている鉄血の機械兵ダイナーゲートの中にグリフィン仕様の塗装をした鉄血側のダイナーゲートを混ぜ、パーティー中に暴れさせてその混乱に乗じてプレゼントを奪うというのがデストロイヤーの作戦だった。ゲーガーも、その際に軟禁されているアーキテクトをグリフィン基地から奪回できると考えてデストロイヤーに協力することを決めた。デストロイヤーはグリフィン仕様に塗装した自軍のダイナーゲートにグリフィンの識別信号を偽装する装置を組み込むとグリフィン基地へと送り込む。ゲーガーはデストロイヤーの作戦からグリフィンの目を逸らすため、自分の指揮下にある部隊で陽動を仕掛けた。指揮官不在の中、カリーナが代理指揮官を務めるグリフィン部隊はゲーガーの部隊と戦うことになるのだった。
うまく偽装したダイナーゲートをグリフィン基地に投入したデストロイヤー。しかし、想定外の事態が発生した。プレゼントの総取りを目論むグリフィンのART-556は、パーティーを混乱させるためグリフィンのダイナーゲートを鉄血仕様の外装に取り換えて会場に放り込むことを画策していた。そして、ART-556が選んだのがよりにもよってデストロイヤーが送り込んだグリフィン偽装ダイナーゲートだったのだ。戸惑うデストロイヤーだったが、ART-556の計画に相乗りして最後に彼女からプレゼントを全部奪えばいいと思い、そのまま放置するのだった。
盛況のプレゼント交換会場。そこに1機の鉄血ダイナーゲートが現れた。逃げ出すダイナーゲートを追って会場にいた人形たちが飛び出したのを見計らって煙突からロープ伝いに降りてきたART-556は、プレゼントを全部袋に詰めるとダミーの箱を残して逃げ出した。その直後、逃げ回った末に会場に戻って来たダイナーゲートはデストロイヤーの指令通りプレゼント箱の山に突っ込もうとする。しかし、その直前でダイナーゲートは動かなくなってしまった。不審に思って集まってきた戦術人形たちがダイナーゲートを取り囲んだ瞬間、ダイナーゲートはART-556が仕掛けた自爆装置によって爆発。プレゼント箱の山は炎上し、戦術人形たちの綺麗な衣装も吹っ飛んでしまった。想定外の爆発で計画が台無しになったデストロイヤーは激怒するが、偽装ダイナーゲートが他にも残っていることを確認すると作戦続行を決意する。
その頃、消火活動を終えたグリフィン人形たちは縄で吊られて黒焦げになった人形を発見した。逃げ出したところでうっかり爆発に巻き込まれたART-556だった。咄嗟に「消火の手伝いに来た」と言い訳をするART-556だったが、背負っている袋とその中身がバレてしまった。おまけにグリフィン仕様ダイナーゲートの外装を持っていたことまで指摘され、プレゼント泥棒が明るみに出てしまった。そしてART-556は吊るされたままぐるぐる巻きにされてしまうのだった。

その頃、サプライズプレゼントを買うために街に出かけていたグリフィン指揮官が帰ってきて早々に見たものは、焼け焦げたパーティー会場と嘆き悲しむカリーナや戦術人形たち、そして吊るされているART-556だった。あっけに取られた指揮官だったが気を取り直すと、人形たちにプレゼントを買ってきたことを告げる。大喜びの人形たちは指揮官を取り囲む。そこにカリーナが鉄血部隊の出現を告げる。それと同時に、デストロイヤーの操る偽装ダイナーゲートたちが指揮官に飛びかかり、プレゼントを奪って散り散りに逃げていった。せっかくのプレゼントを奪われたことで怒り狂った人形たちは、指揮官の命令を待たずにダイナーゲートを追って飛び出していく。
そのダイナーゲートの中の1機は、プレゼントを持ってアーキテクトが軟禁されている居室を訪れると部屋の中にプレゼントを投げ込んだ。そのダイナーゲートをコントロールしているのがゲーガーであることに気付いたアーキテクトは、ゲーガーが「毎年プレゼントをくれる」という約束を守ってくれたことを知って優しく微笑むのだった。

奪ったプレゼントを全てグリフィン人形に奪回されたデストロイヤーは、これまでの努力が徒労に終わったことによる悲しみから大声で泣き出してしまう。その泣き声を聞いたグリフィンの指揮官がやってきたことでデストロイヤーは茂みの中に隠れるが、それを「プレゼントを貰い損ねて泣いている戦術人形」だと勘違いした指揮官は、余っているプレゼントをあげるから、と泣き止むよう宥める。喜びのあまり茂みから飛び出したデストロイヤーは指揮官の顎に勢い余って頭突きしてしまったが、特に謝ることもなく脳震盪で朦朧としている指揮官の手からプレゼントを取って走り去ってしまった。顎を強打したことで相手の姿を確認できなかった指揮官は、他の基地でプレゼントを貰えなかった子だろうと思っていた。そして、指揮官は迎えに来たスプリングフィールドらと共にクリスマスパーティーへと向かうのだった。

〈余談〉
カリーナは、爆発によって生じた基地の修繕費用についてグリフィン本部と協議した結果、指揮官の負担にすることを決断するのだった。

〈さらに余談〉
盛り上がっているクリスマスパーティー。穏やかなクリスマスソングに飽き足らないスオミは、CDプレイヤーのCDを勝手に交換する。スウェーデン出身で熱烈なヘヴィメタルの愛好家であるスオミが選んだ音楽はもちろん爆音が轟くデスメタル。あっという間にパーティーの平和な雰囲気は消え去ってしまった。

〈さらに余談〉
寝ている間にグリフィン指揮官の居室に預けられていたG11は目を覚ますと自分がグリフィン基地にいることを知り、UMP45が遂に自分をグリフィンに売り飛ばしたのではと勘違いする。そこにやってきたのは416をはじめ404小隊の面々だった。416たちは、G11の大好きなホラー映画に出てくる怪物の絶版フィギュアをわざわざ遠くまで買い付けに行っていたのだ。G11は、小隊の仲間の温かい心遣いに感涙するのだった。

特異点01「大撤退」

正規軍の裏切りで仲間を失ったM4を救ったのは、喪失したはずのAR-15だった

(EP10「煉獄」から続く)
不審な動きを見せている正規軍のカーター将軍を監視していた国家保安局・反逆小隊の隊長・アンジェリアは、カーター将軍と鉄血のエルダーブレインの双方が狙っているM4をどちらにも渡さないため傷ついたM4の救助を命令。それを任されたのは、かつてエルダーブレインのダミーと共に自爆したが残骸から回収・再生され、現在は反逆小隊の傭兵となっているAR-15であった。自分とM4の経緯を知りながらM4の救助を命令するアンジェリアに反発するAR-15だったが、雇い主であるアンジェリアの命令には逆らえずM4を救助に向かう。
AR-15の背に負われている最中に目を覚ましたM4は、喪失したはずのAR-15が自分を助けたという事実に混乱する。AR-15は、先の戦い(EP10を参照)の後にSOPIIが失踪したこと、そしてRO635がメンタルモデルを抜き取られた残骸となって発見されたことを告げる。SOPIIが破壊されたROからメンタルモデルを抜き取って逃げたのだと推測するAR-15。M4は、喪失したと思っていたAR-15が現れたこと、そしてようやく再会できたSOPIIたちとまた離れ離れになったことに思考が追いつかないままAR-15に連れられて反逆小隊のセーフハウスへ向かうのだった。
M4を追う鉄血の部隊を撃退しながら逃走を続ける反逆小隊。最新鋭の電子戦人形であるAK-12は、複数体の軍用人形をたやすくコントロールして鉄血を撃破する。M4は、その性能に驚く。
ようやく反逆小隊のセーフハウスに辿り着いたM4たち。AK-12は、エルダーブレインに侵入されたことで再度破損したM4のメンタルモデルをアップグレードし、更に素体の強化改造にも着手する。AK-12は、M4の素体が他のグリフィン人形と違いほぼ軍用品であることに感心する。その最中、AR-15はグリフィンを陥れROたちを破壊したのは正規軍であったこと、実行犯がエゴールであったことを伝える。全てが軍の陰謀であったことを知り、愕然とするM4。しかし、気を取り直したM4は、たとえ相手が軍であっても必ず復讐することを誓う。
一方、アンジェリアは反逆小隊のもう一人のメンバーであるAN-94に命じて正規軍の指揮サーバーから情報を奪取。そのことから、正規軍はOGASプロトコルと古代文明の遺跡に執着していることが判明した。アンジェリアは、正規軍の狙いがOGASプロトコルによる遺跡の起動にあると推測する。そして、30年前の遺跡調査の参加者にカーター将軍と現在I.O.P.社のCEOとなっているハーヴェル・ウィトキンの名前を発見する。アンジェリアは、なぜ鉄血工造が戦術人形の指揮システムにソ連時代の旧式システムであるOGASプロトコルを採用したのかを疑問に思うのだった。
国家保安局の支援が滞っていることに苛立つアンジェリアは、局上層部の動きが鈍いことを不審に思っていた。そして、支援が得られない中で自身の作戦をより確実に遂行するため、404小隊を動員することを決めた。アンジェリアが404小隊に依頼したのは鉄血支配地域の最深部にあるメインデータベースからの情報奪取。その報酬は、UMP45が最も求めている情報である胡蝶事件の黒幕についてだった。
グリフィン部隊を追撃する鉄血のエクスキューショナー率いる部隊を撃退し、アンジェリアやAN-94と合流したM4たち。アップグレードを終えたM4が持っているM16の形見のケースを見たアンジェリアは、それがケースではなく鉄血製の小型砲であることをM4に教える。アンジェリアは、この砲は強力すぎるため自分の指示があった時だけ使用するようM4に命じる。そして、404小隊も今回の作戦に加わることを皆に告げるのだった。

その頃、反逆小隊の助けによって撤退に成功したグリフィン部隊。しかし、その損害は甚大だった。取り残された人形をできるだけ多く回収して戦場を離脱するようカリーナは指揮官に要請する。指揮官がグリフィン本部に向かわせた伝令であるMP7は本部に到着し、指揮官による撤退作戦が遂行中であること、そしてグリフィンは正規軍に見捨てられたことをヘリアンへ告げる。
グリフィン本部では、正規軍がこの一件を「制御不能に陥った民間軍事会社によるテロ事件」と公表したことをヘリアンが報告していた。クルーガーは、軍が自分たちを使い捨ての盾にすることまでは予測していたがテロリストの汚名を着せて切り捨てることまでは予測の外であった。グリフィンの担当地域は正規軍の占領下に置かれることが決定。クルーガーは本部残存の戦術人形をヘリアンに預けると、自分だけがグリフィン本部に残って逮捕されることを決断する。そして、ハーヴェルへ連絡して後事を託すのだった。
通りすがりの404小隊の支援により拠点のあるS11地区まで脱出することができたグリフィン部隊。カリーナは残存部隊を束ねての再起を指揮官に呼びかける。それと同時刻に、クルーガーは軍により拘禁されていた。

〈隠しシナリオ:メッセンジャー〉
撤退作戦中に合流したグリフィンの新型人形・CZ2000は、これから向かう撤退ルート上に鉄血の司令部を発見したと伝えてきた。更に、その鉄血司令部付近に隠れていた戦術人形・Thunderからはその地域の鉄血部隊の配置と侵入ルートが送られてきた。より安全な撤退作戦のために鉄血司令部を先行して撃破することを提案するCZ2000。Thunderは現地での支援を申し出るのだった。

特異点02「もう一つの月」

正規軍の裏切りによりテロリストの汚名を着せられたクルーガーは逮捕されることになった

エージェントは仇敵であるグリフィン指揮官を暗殺すべく司令所へと乗り込んできた

yuku_sakana
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