Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

神楽鈴奈:ランチメイト症候群

精神科医の町沢静夫が提唱したコミュニケーション関連の精神病で、学校や職場で一緒に食事をする相手(ランチメイト)がいないことに一種の恐怖を覚えるというもの。ちなみにこの名称は、町沢静夫のカウンセリングを受けに来る患者のひとりが、食事をする相手のことを「ランチメイト」と表現したことからきている。
この精神病を患った患者は主に、ひとりで食事をすることへの恐れと、食事をひとりでするような自分は人間としては無価値なのではないかという不安を抱えており、そして「学校や職場でひとりで食事をすることはその人には友人がいなく、友人がいないことは魅力がない。だからひとりでの食事は周囲から魅力や価値のない人間だと思われるだろう」というネガティブな考え方に至る。

そして、断られることを「無価値な自分」への不安を誘発することから極度に恐れており、自分から誰かを食事に誘うことができず、さらにひとりで食事する姿を誰かに見られないように図書館やトイレなどに隠れたりすることが多い。もっと酷い場合は食事の摂取に消極的になり、仕事や学校が長続きできず、就職や進学を断念することもある。鈴奈はこの症状通りにひとりでいること、ひとりで食事をすること、相手に断られることを恐れており、現実はおろかメビウスでもトイレに隠れて食事をすることが多かった。

天本彩声:異性恐怖症(いせいきょうふしょう)

一般的に女性に見られる精神病で、「子供の頃に男の子からいじめを受けた」「レイプされた」「父親(もしくは兄弟)から虐待を受けた」といった男性絡みの辛い経験を持つ人間が、男性に対するトラウマとして表れる心理の一種。彩声は思春期の頃からたびたび痴漢や現実でのStorkこと大洋からの覗き被害にあってきており、この時から男性不信を芽生えさせていたが、7年前の田所が起こした地下アイドル襲撃事件で異性恐怖症を本格的に発症することになった。

琵琶坂永至:サイコパス(精神病質)

反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物的精神医学などの分野で使われることが多い。犯罪心理学者のロバート・D・ヘア、オックスフォード大学の心理学専門家ケヴィン・ダットンによると、以下の特徴にあてはまる人間がサイコパスであると定義されている。

・良心と人間的な感情が異常に欠如している
・極端に冷酷で他人にそっけなく接することが多い
・慢性的に平然と嘘をつく
・エゴイズムで自分の利益や結果を優先する
・自分で行動に対する責任が全く取れない
・罪悪感が皆無で無慈悲
・自尊心が過大で自己中心的
・口が達者で表面は魅力的

これらがサイコパスにあてはまる人間の主な特徴となっているが、現状ではチェックリストのみが診断基準であるので医学的にサイコパスと同じ状態であっても反社会性と見て取れるほどの凶悪さや残忍さがなければサイコパスとはならない。また一方で、反社会性などの診断基準を満たす人間は幼少期からの素行問題など行動面の異常を示すことが多く、永至も幼少期から動物虐待や級友への暴行傷害などを働くという異常さを見せていた。

スイートP:トランスヴェチシズム(異性装癖)

従来の社会にある服装規範に違和感を持ち、性や役割や文化などを気にせず自由でありたい人間が自ら異性の服装を選ぶ精神病に敷て嗜好の一種。一般的に言う男装や女装みたいなもの。スイートPは現実で幼い頃から少女趣味に目覚めており、男性として生まれた自分にとってそれは認められないものだと理解していても、表向きは普通の男性として振る舞う一方、ネット上で自分の外見や性別を偽ることでの楽曲作成で趣味と空想全開に精を出していた。

Stork:窃視症(せっししょう)

裸体などを覗き見ることによって性的快感を得る精神病で、警戒していない見知らぬ人間の裸や衣服を脱ぐ行為、もしくは他の人間の性行為を見ることで得られる強い性的嗜好を言う。日常語では「のぞき癖」「出歯亀」などと呼ばれている。

現実でのStorkはクリスチャンである母の厳しい教育の影響で性、高校生になるまではずっと性的なものについて触れることはおろか、見ることすら一度もなかった。そのため、抑圧された性的感情はかなりのもので、クラスメイトから見せられたアダルト雑誌やビデオが切っ掛けとなって窃視症を拗らせてから性的感情を爆発させることになり、覗き癖を身につけてしまった。

少年ドール:回避性パーソナリティ障害

広範囲にわたって持続してきた社会的活動の抑制、「自分は場違いだ」「自分なんか相応しくない」という卑屈と見て取れる感覚、他者からの否定的な評価に対する過敏さ、社会的な交流の回避などのパターンによって特徴づけられるパーソナリティー(人格)障害。通称「APD(Avoidant Personality Disorder)」。
この精神病患者は自分は社会的に不適格で実力や魅力に欠けていると考え、笑われること、恥をかくこと、排除されること、嫌われることに対して極端なまでの恐怖を抱き、社会的な交流を徹底的に避けようとする傾向にある。そして自分は一人ぼっちで、社会から取り残されている感覚を訴える傾向もまた然りとなっている。

少年ドールも現実では自分に自信を持てず、この症状の通りに他人の前に恥をかくこと、他人に嫌われることを極度に恐れている。そして、友達が欲しい、誰かに認めてほしいという本音をひた隠しにし、自分は一人ぼっちでも生きていけるという思い込みで不満と空虚を塗りつぶしていた。

梔子:失声症(しっせいしょう)

ストレスや心的外傷などによる心因性の原因から声を発することができなくなった状態。一見すると「発声器官に問題はないのに、ある時を境にしゃべることができなくなった」ということから似たような病状として失語症があるが、失語症は脳の言語野への物理的な障害により語彙記憶や言語の意味理解などに困難をきたしたもので、全く別の病状である。

修学旅行に行っている中、家が火事になったという知らせを耳にして旅行先から駆けつけてきた梔子が目にしたものは、火事で帰らぬ人となった両親と姉の姿だった。そんな突然すぎる家族の死に、絶望という名の心の傷を深く負った梔子は失声症となり、その後のメビウスでも元凶である永至の姿を目にしたことで再び声を失ってしまっている。

ミレイ:自己愛性パーソナリティ障害

ありのままの自分を愛する、受け入れることができず、「自分は優れている」「自分は素晴らしく特別で偉大な存在」でなければならないと思い込むパーソナリティ障害のひとつ。通称「NPD(Narcissistic Perosonality Disorder)」。
この精神病に対する療法については、患者はたいてい自分が問題であると全く認識していないため、効果的なものが何ひとつ見つかっていなく、治療自体が困難だとされている。

一ノ瀬家の令嬢として甘やかされて育てられてきたが為に、物心ついた時からミレイはこのパーソナリティ障害を患い、どんな環境においても自分が一番でなくてはならない、全てが自分の思い通りにならないと気が済まなくなってしまった。そのため、父親のコネでさまざまな職を転職したが、この障害からくる性格のせいでどれも長続きせず、さらに三流企業の御曹司など上流階級の人間たちと見合いを繰り返していたが、一流相手ではないことが納得できないことと、見合いの相手からもその性格では相手にしきれないということで先に断られている。

シャドウナイフ:中二病(ちゅうにびょう)

精神病の中でもポピュラーで知名度が高い部類に入るもので、日本の教育制度における中学2年生頃の思春期に見られる、自己愛に満ちた空想や言動、嗜好などを揶揄したネットスラング。ちなみに「病」という表現を含んでいるが、実際に治療が必要とされる医学的な意味での病気又は精神疾患とは無関係なものとなっている。

現実でのはシャドウナイフは中学、高校とアニメ好きをネタにいじめられてきたことが明らかなトラウマとなっており、ヒーローになりきっていじめっ子に復讐する妄想を日夜膨らませ続けていた。これがきっかけで中二病をこじらせ、μに見初められて楽士として迎えられた際、メビウスに対して最初に望んだものは、「アニメキャラクターそのものになる」という、長年積み重ねてきた妄想の具現化そのものだった。

ソーン:グリーフ

直訳すれば「深い悲しみ」「悲嘆」を意味する言葉で、家族や恋人など大切な人間を喪った時に起こる身体・精神上の変化を指す。ソーンのような死別からくる悲しみだけではなく、離婚や絶縁などその他の理由やきっかけによって関係が切れたり、可愛がっていたペットが死ぬなど様々な状況で経験しやすいものとなっている。
こうしたことからグリーフは喪失に対する自然な反応で、誰にでもいつかは起こり得るものとなっており、症例としては以下のようなものがある。

・物忘れが激しくなり、鍵などの物や言いかけた言葉を頻繁に忘れる
・家族や友人など多くの人間と一緒にいても寂しくなる
・溢れ出すような気持ちに圧倒される
・気持ちが落ち着いた時期が続いたと思うと突然鬱になる
・大切な人が亡くなった事実が信じられず、いつか帰ってくるという幻想を見るようになる
・懐かしい場所に行ったり、亡くなった人がつけていた香水の匂いなどを嗅ぐと突然悲しくなる
・亡くなった人が死に至った過程を何回も人に説明してしまう
・懐かしい曲を聴くと寂しい気持ちになる

これらの症例からグリーフは人それぞれによって異なる症状があり、恋人や家族など最愛の人の死後涙が止まらない人間もいれば、しばらくの間ショックで悲しみを感じない人間もいる。ソーンの場合は一凛が死んだという事実が信じられず、自分を捨ててでも一凛が生きてここにいるという幻想に浸るという症例になっており、その歪んだ幻想と笙悟への怨念が、理想の世界であるはずのメビウスを鳥籠の如き地獄へと作り変える原因となった。

ウィキッド:ソシオパス(反社会性人格障害)

サイコパスと同じ反社会的人格を現して言葉にして精神病だが、こちらは環境が主な切っ掛けとなっており、後天性の精神病であると考えられている。要因として考えられるものを挙げるとするならば、例えば生まれ育った家庭環境が悪く、身体的や精神的虐待を受けていた、幼少期のトラウマなどがあり、ウィキッドこと水口茉莉絵も現実では心ない両親の虐待を受け続け、さらに祖父からもその両親が原因で折檻を受けるというトラウマを幼少期に抱えている。

そして、ソシオパスが犯罪を犯すときは自らのリスクやその場の成り行きを考慮せず、無計画かつ衝動的に実行する傾向があり、ちょっとした詰めの甘さで犯罪が露見して追い込まれたり、逮捕される確率が高くなる。さらにすぐに興奮・感情的になりやすく、暴力行為に走るケースも多いということが確認されている。この暴力的になるケースについてはウィキッドも例外ではなく、思い通りにいかないと激怒しだしたり、気に入らない相手と見なせばすぐに攻撃するなど凶暴性をこれでもかとばかりに見せつける。

女主人公ならば見ることができる新たな展開

本作で初めて追加された主人公の性別変更によって、多少だがシナリオの展開が変更する要素がある。それも楽士ルートのストーリーと合わせて本作にとって大きな注目要素となっており、ここで具体例を3つほど紹介する。

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